あらすじ
サチは美しく利発な少女だった。だが彼女は誘拐され、何年も男に監禁された。教育を、青春を奪われ、子を産まされ……けれどようやく事件は発覚し、生還を果たす。しかしそれは新たな苦痛の始まりだった。旧弊な価値観のまま変化のない住人による嫌がらせや無理解に疲弊する彼女の元へこの骨が本物のサチだと白骨死体が送りつけられる――。重なる悪意の根幹に何があるのか。衝撃のミステリ。(解説・大矢博子)
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Posted by ブクログ
ひたすら辛く悲しい物語だった。犯罪そのものより、犯罪を生み出していることに気づかない社会に私達は生きていること。小さく狭いコミュニティで暮らしている私にとって、深く考えさせられる作品だった。
色々な方が書かれているように、最後のシーンだけが唯一の救いでした。
1つ分からない事は加代ママの心理です。自殺を図ったのは保身や息子を守りたいが故の行動だったのか、それともサチを解放させたかったのか。
他の意図があったのか。どうだったのかなぁ。。
Posted by ブクログ
物語の設定から、実在の長期監禁事件を思い起こさせる部分があり、読み始めた時点で気分が重くなりました。
犯行の異常性は言うまでもありませんが、それと同じくらい印象に残ったのは舞台となる田舎町の空気。古い価値観に囚われを踏みにじっていく様子に強い嫌悪感を覚えました。不遇だからといって、他人の幸せを奪ってよいはずがない。その身勝手な様が、より心の“苦み”を強くさせられます。
一方で、エピローグで描かれる現在のサチの姿にわずかながら救いを感じました。少なくとも不幸ではない場所にたどり着けたことに安堵しつつ、現実には同じ結末を迎えられない被害者も多いのだろうと思うと、心の中に棘が引っかかったような痛みが残りました。
Posted by ブクログ
馬伏町を通して昭和の田舎の慣習の気持ち悪さで一杯になった。
読む前はあらすじの少女誘拐のそれ以降がテーマかなと思っていたけど、彼女が住んでいた町の男尊女卑というか、女は男の3歩下がってみたいな文化がテーマだとわかった。現代ではここまではそうそうないと思うけど、外の情報が全く入ってこず、変わらないことを望み続ける閉鎖的な地域だとどんなに理不尽な慣習でも残ることの絶望感を感じた。
外の情報は全く入っこないのに、中の情報は筒抜けで誰にも苦しさをわかってもらえない、理解してくれないことの心の悲鳴は誰にも聞こえない。
Posted by ブクログ
櫛木さんはこういう閉じられような田舎の嫌な感じ書くのすごくうまい。馬伏町をおそらく出たことないであろう人たち、お父さん世代だけでなくサチの同級生達も含めて嫌な感じがすごい。
皆から見下されている、スナックのママが一番ちゃんと周りと時代を見れてる。
最後、サチたちが馬伏を捨てて幸せになれていてよかった。
Posted by ブクログ
イヤミス作品。割と私はイヤミスが好きだとわかった笑
監禁場面も興味深く読んだけど、この時代背景が自分にピッタリなのも面白い。そしてこの昭和なままの村の感性が考えさせられた。スナックのママの言葉が刺さる。最後の解説も読んで刺さる。
よく何かの犯罪が起こった時に、この犯人が今後生まれないような社会を…とか言うけど、こういうことかもね。
Posted by ブクログ
諦められないけれど、順応していくしかない田舎町、根強く残る男が上、長男が敬われ、女は男のために動く。長男以外は何も与えられない。腐っていく感情。
サチが救い出されても、周りの反応は冷たい。
言いたいことがあっても飲み込んでいる。
とうに、限界はきているのに。
全身で叫んでいるというのに、誰も気がつかない。わかろうとしない、寄り添わない。
無知無学、大人たちの対応、感情をぶつける場所、社会、閉鎖的コミュニティ、無関心…。
狭い世界で生きていくしかなかった人々。
届かない悲鳴。
ラスト、誰も知らない東京に行けたのは救い。
Posted by ブクログ
もう40年以上前、当時小学5年生の女の子が
目撃情報からわずか3分の間に消息が
わからなくなり未だに解決していない事件が
広島にはある。
方言やら閉鎖的な民度やらがなんだか身近に
感じられて胸糞悪さが飛び抜けていました。
ただ、
櫛木作品ならもっとえげつなく描けたのでは?
もっと!もっと!!!もっと来い!って
なりました。
サチに興味をなくしたアイツが、エリカをも
毒牙にかけ、悲劇が繰り返されるとか
加代ママのような救いの手はサチには
届かないとか。容赦ない胸糞悪さを求めていたので
コッコの存在に救われる思いはあったけど
結果ハッピーエンドなのは少しがっかり
(と言っていいのか分からないけど)