櫛木理宇のレビュー一覧
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ネタバレホーンテッド・キャンパスは、リズムがいいね。
ちょっとしっかり書かれた本だとか、重ためな内容の本を読んだ後に読むと、スルスル読めてかなりメリハリ。ライトに読めて楽しい。
雪大のメンバーたちの様子に微笑ましく、21作目ということで、常連感があって「帰ってきた!」ような気持ちになって嬉しいです。
が、読み始めた当初は私も20代半ばで、雪大メンバーとは5〜6歳ほどしか離れていなかったのに、今や15歳程度離れているという悲しさ。
読み始めた時は同世代ながらも、ちょっと前の大学生を見る感覚で若いなぁと思ってた。
今ではもう、今時の若者たちを見つめるばばあの心境よ!
第3話で相談に来る香月が37歳で、森司が「37歳にしては若いな」と思うシーンが描かれているけど、大学生からすると37歳はおっさんなんだよね!
はい、私はおばはんです!
ちょっとここの年齢と描写のシーンは、個人的に衝撃を受けたよ。
↓ネタバレ
今回はサブタイトルにあるように「影」が3話共通で登場しました。
1話目は影から「魔」に、2話目は影のまま、3話目は影から「鬼」に変容していきました。
影のままでいられる時には良いけれど、
死んだ後も影として長年を過ごし、また思念(恨みの強さかな)によって影から全く別物になってしまう。
2話目がほのぼのとした雰囲気で、さらに久々に森司のお母様の“明るさ”に触れる物語だったから、3話がズドーンと来るんじゃないかって恐々読んでました。
ホーンテッド・キャンパスでたまにある、ものすごいズドーンではなかったけれど、鬼に変容した彼女の話は精神的になかなかズドーンと重たい話。
そしてその重たさが、森司とこよみちゃんが近づけました。
もうそれ、プロポーズじゃん!
おばはんからすると20歳そこそこの子たちは、我が子同然よ。にまにま。
ってなっちゃう! -
Posted by ブクログ
やはりハズレのない櫛木さん。櫛木作品との出会いは「世界が赫に染まる日に」。装丁は印象的だったが、正直内容はまぁそこまで印象に残ってなかった。その後「FEED」の改題「少女葬」でそのグロ描写と息苦しくなるような閉塞感に激ハマり。それから「寄居虫女」や「赤と白」「チェインドッグ」の改題「死刑にいたる病」「殺人監禁依存症」ですっかりその世界観のファンに。最近では「氷の致死量」や「老い蜂」「209号室には知らない子供がいる」「鵜頭川村事件」を読んだ。やはりハズレなし。すこし作風が違うように感じてあえて読んでいなかった「ホーンテッドキャンパス」のシリーズも読んでみた。
と、過去作のお話はこの辺にして、今作は「少年籠城」とのタイトル。今までのタイトルに比べて面白そうとは思えない。だがそれは読むと覆される。舞台は地方の温泉街。脛に傷のある者たちが引き寄せられるように集まる泥首。子供がいなくなっても誰も気に留めない。学校にも通えず戸籍も不明瞭。識字率も低い。そしてそんな土地柄には特殊な性的嗜好者もいる。そんな街で育った司と幾也。2人は成長し、司はこども食堂を継いだ。幾也は警察官になるも自己肯定できない。そんなある日、河原で男児の惨殺遺体が見つかった。疑われたのは15歳の少年、当真。当真札付きのワル。職質した警官を傷つけ、銃を奪い子ども食堂に立て籠る。ここでタイトルを思い出す。この籠城の結末は?犯人は当真なのか?
率直な感想、現代日本にもこんな地域や現実があるのだろうか?私が知らないだけなのか?バックパッカーをしていた頃にアジア諸国を周った。その時に見た光景に似ている。ここまで露骨ではないにしろ、未だにこども食堂とかあるのはその問題が残っているからか。昨今キックバックで叩かれつくしている行政に期待できるのか?子供からしたら大人の不甲斐なさを感じずにはいられないだろう。櫛木さんの社会派作品でもっと問題提起して欲しい。 -
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「この世にはキリストだのアッラーだのいろんな神様がいて、神様が違うごとに常識や正義も変わる。だが子どもを飢えさせないってのは、世界共通の、唯一絶対の正義なんだ」この言葉を聞いて、心理学を学んでいた「やぎら食堂」の店長柳楽司は親の店を継いだ。
その店で起きた少年二人の籠城事件。
疑われる小児わいせつ殺人事件の犯人は彼らなのか⁈行き詰まるサスペンスの中で、少しづつ真相が暴かれていく。
子どもを飢えさせないために店に立つ司。
食事にも愛にも飢えた子どもたち。
自分の欲望のために子供達を見殺しにする大人たち。
親の本当の愛とはなんなのか?
殺された子供達に描写には目を背けたくなったが、籠城事件の解決に向けたサスペンスに読む手が止まらなくなった。 -
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これはすごい。櫛木というとシリアルキラーを登場させたり、オカルト系を執筆したりと様々なジャンルに手を伸ばしてきたが本作はその中でも新たな地平、さらに言ってしまえば最高傑作のラインを超えたのではないか。
冤罪を疑ってきた死刑囚の死、それが元刑事を動かす。彼は孫と共にネットを駆使して世論を動かす。そんな中、真犯人を名乗る人物から新聞社に一通の証拠が送られてくる。
実際にあった事件を基にしながら、登場人物全員に焦点が当てられた展開は完全に娯楽小説のそれだ。真犯人に迫る展開はサスペンス小説のそれだし、ロジカルに謎が解かれていく点はミステリ小説のよう。様々なジャンルを飲み込み、結末にひた走る様に息を飲め。 -
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「神様って、いねぇんだな」
主人公の櫂のこの台詞が非常に印象的です。
未成年保護法については度々議論されている問題ですが、櫂と文稀、学校では全く接点の無かった2人が復讐劇を通じて友情を育んでいく姿に、苦しい、というか悲しいというか、とにかく全編を通して胸が締め付けられます。
実際にあった事件も例に挙がっているので、大切な人間を傷つけられた櫂の怒りも手に取るように伝わって来ます。
非常に友達思いで気持ちの良い性格をしているので、余計に彼の苦しむ姿に感情移入してしまい、また文稀も友情という感情すら理解出来ないまま中学生になってしまったのに、櫂に対して徐々に初めての気持ちを抱いて行く様子に、どうか2人とも幸せになってくれ!!と本を持つ手に力が入りました。
文稀の書き連ねる日記が明らかになって行くにつれて、何度も天を仰ぎました。(私は悲しかったり感動すると天を仰ぐ癖があるようです)
クライマックスではどうか、どうか!と祈り続けながらページを捲り、そしてやはり天を仰ぎました。
これからも永遠に続く議論でしょうけれど、実際に本書のような事件が起こり、苦しみが生まれてしまうかもしれないという、櫛木さんの警鐘かも知れません。
ところで、先日友人に「毎回そんなに感情移入しながら読んでいて疲れないのか?」と問われましたが、非常に疲れます。(良い意味で) -
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相変わらず安定の楽しさ&怖さです。ラブコメの進展にはあまり期待しない、と思いつつも、けっこう進展は……してるよね? だけど小指か……なんだかなあ、この純粋さが逆に羨ましくなってきます。そして戻ってしまった例の記憶のシーンでは、抱腹絶倒でした。藍さんお疲れさまです。
そしてホラーの部分。第一話からいきなり怖い。真相がわかっても怖いしラストの展開も怖い。だけれど一番怖かったのは、あんな目に遭わされてもなお思いを絶ちきれずに、あんな屑に執着せざるをえない彼女の悲しさでした。取り憑かれた方よりも取り憑く方が悲劇に思えましたよ。その点では第三話も怖かったのだけれど、あちらの方がましだったかも。 -
Posted by ブクログ
くるたんさんに「櫛木理宇さんならこの作品」と教えていただいた一冊です。ありがとうございます!面白かったです。
1987年『北簑辺郡連続幼女殺人事件』が起き死刑判決を受けていた容疑者の一人、亀井戸建が獄中で病死します。
当時、栃木県警の捜査一課の刑事だった星野誠司は冤罪の疑いを持ち、孫の旭とその幼なじみの晢の協力を得て、再調査を始めます。
SNSを使って世論を動かしていこうとすると、真犯人(タイガー)と名乗る人物が新聞社に証拠の品を送ってきます。
そしてついに真犯人は3人目の幼女を監禁している画像を送ってきますが…。
著者の櫛木さんがエッセイの中で、この作品は「後味の悪くない、ザッツ・エンタテイメント」です。とおっしゃっているそうです。
事件は不快で薄暗く、幼女が何人も殺され、いやなやつもたくさん出てくるけれど、最後はすっきり解決して読者にストレスを感じさせない”エンタメミステリー”を第一に目指したそうです。
そのために、書く側が楽しもうということで”殺人実話”と”冤罪”の要素をこれでもかとぶちこんだそうです。
確かに「足利事件」などの実話がたくさんでてきます。
以下、ネタバレ含みます。これから読まれる方はお気をつけください。
獄中死した亀井戸建には同情すべき点が数多くあり、真犯人には全く同情の余地がありません。
確かに読み応えのあるエンタメ小説で、事件はおぞましいけれど、星は5つつけるしかないと思いました。