青山美智子のレビュー一覧
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ミニチュア写真家の田中さんとの共著とも言える作品。
このことを知ってから私の印象はガラリと変わった。
知らずに読んでいたときは、「日常の些細な出来事から、自分のしていた行動や思考を反省し、先に進もう、楽しくやっていこう」というファンタジー系のいつものパターン(いい意味で)の度が増しているような気がして、数日前まで桜木紫乃を読んでいたのもあってその落差にモヤモヤしていた。
でも読み終わって改めて各章の始めと終わりにあるミニチュア作品を見ると、実に内容にぴったりの作品で嬉しくなった。
「遊園地ぐるぐるめ」はミニチュア作品も併せての連作短編集なんだ。
ぐるぐるめの意味も結局わからないところがいい。
小説として楽しかったポイントは、トマト抜きのサラリーマンが営業マンとして再登場したこと(連作短編集の醍醐味)と、各章のこれまでのシーンを振り返りつつその語り手が別の人になっていたこと。
この点は小説として楽しかった。 -
Posted by ブクログ
見えない紐が紡ぐ再生の物語です。――
青山さんの静かなる輝きを感じました。
単なる「心温まる癒やし系小説」の枠には
収まらない。
緻密に計算された構造美と、
人間の普遍的な営みに対する深い肯定感に満ちた、
秀逸な連作短編集です。
本作が小説として極めて優れている点は、
その構造の「循環性」にあると思います。
一見すると、
迷える人々がラジオの声に救われるという
一方向の構図に思えますが、
ある章の主人公が発した何気ない一言や
小さな善意が、他者へと伝播し、
巡り巡って全く見知らぬ次の章の主人公の
背中を押していきます。
目に見えない運命の紐を、
極上のミステリーのように鮮やかに描き出す手腕には感嘆です。
そうこの作品はミステリーなのです。
さらに、
タイトルにも冠されている「月」のモチーフの扱い方が実にお見事です。
作中では、
満ち欠けを繰り返す月の満ち干が、人間のバイオリズムや人生の機微に重ね合わせて描かれます。
とりわけ印象的なのは、
光を失ったように見える
「新月」へのまなざしです。
月が見えない夜、それは月が消えたのではなく、
次の満ちが始まるための「準備と始まりの瞬間」。
青山さんは、
挫折や停滞を「終わり」ではなく、
次なる豊穣へのプロセスとして全肯定しています。
最後のエピローグにおいて、
すべての伏線が美しく回収されて、
ポッドキャストの配信者自身の物語へと
収束していく構成は圧巻です。
他者を癒やし続けていた存在もまた、
実は不器用な一人の人間であり、
網の目のように張り巡らされた他者との繋がりに救われていた
『月の立つ林で』は、
巧みなプロットの妙を愉しむ文学的エンターテインメントでありながら、
読み終えた後に日常の景色を一変させてしまう力を持っている。 -
Posted by ブクログ
田中達也さんのミニチュア作品が好きで手に取った短編集。
美味しそうなご飯といきいきとしたミニチュア人形たちの作る遊園地の1日を記した作品。
一つの作品をテーマに繋がっている短編なので読みやすかった。いろんな人生を送ってきた人たちがその1日だけを楽しむためにやってくる場所。そこが遊園地なのだなと。
全ての短編と収録されている全ての写真に出てくるピエロのお話がとても良かった。別の日のピエロの1日も見てみたい。
"猫はいいな、とピエロは思いました。
だけど、猫になりたいのではありませんでした。
あこがれるのと、なりたいのとは、違うのでした。"
この愛おしいピエロが迎えてくれる、どこかにある「ぐるぐるめ」多分気づいていないだけできっと行けるのではないかなと思わせてくれる本だった。
遊園地でご飯を食べたいなぁ。 -
Posted by ブクログ
平成の終わりから物語が始まって、更に平成の始まりの瞬間へと未来から過去へ時代を遡りながら描かれる6篇の短編集。
観光客で賑わう鎌倉の街並みを舞台に、双子のおじいさん案内係と摩訶不思議な所長が悩みを抱えた人々を救う物語。
どの短編の主人公も抱えてる悩みや立場は違うもののどれも身近な悩みで、あるある分かるわかると頷きながら感情移入しながら読んで、たどり着いた答えにぐっと来て…。
記憶の中の鎌倉の街並みはいつも活気があって賑やかだけど、うずまき案内所の中は静かでほんのりとしたファンタジーの空気。その対比がまたいい。
うずまきのようにぐるりと、周り巡り繋がるストーリーはメモ必須。過去から現代へ読む順番を入れ替えて読んでも新しい発見があって楽しそう。
個人的に心が疲れた時は青山さんの本に手が伸びることが多いけど今回もドンピシャ、癒やされました。久しぶりに鎌倉の街を歩きたくなってしまった。 -
Posted by ブクログ
2023.9.7
★4.1
悩みを抱えた人々が、不思議な猫に導かれて訪れる神社で、自分の心と向き合っていく連作短編集。
仕事や人間関係、将来への不安を抱える登場人物たちは、猫の“お告げ”をきっかけに少しずつ前へ進んでいく。優しい言葉と温かな人とのつながりに癒やされる作品。
青山さん〜やっぱり好き〜!
お告げを元に再スタートを切るひとたちの物語。
どの物語もあたたかくて優しくてほっこりする。
特にマンナカはじんときた。
青山さんの作品はいいと分かってるから、読みたいけどもったいない気がして読めない。でもやっぱ早くほかのも読みたい。
#さとの本棚 -
Posted by ブクログ
2023.7.7
☆4.3
鎌倉うずまき案内所 は、鎌倉にある不思議な「うずまき案内所」を舞台にした連作短編集。
悩みや迷いを抱えた人々が案内所を訪れ、そこでの出会いや小さな出来事をきっかけに、自分の心と向き合っていく。一見バラバラだった登場人物たちの物語が少しずつつながっていく構成も魅力で、読後には温かな気持ちになれる作品。
今回ファンタジー要素強めで、物語にうまく入り込めるかなって不安だったけど、そんな心配無用だった(^-^)
1話目の蚊取り線香の巻からすでに良いお話で、青山先生が紡ぐ言葉はもちろんすごく良くて、新しい道が切り開かれようとしているワクワク感が肌に感じられて、希望に満ち溢れていて本当に好き!!!
今回のお話は、年代別?になってたから、前のお話に登場した人物がちょこちょこ出てきて、面白かったし、その人達がどうだったかどうなったのか知れて安心した。
青山さんの、ドロドロな人間味溢れた小説読んでみたいなあ。
✍︎すべてが、無限に自由。
#さとの本棚