島田荘司のレビュー一覧
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ネタバレやっぱり島田作品はすごいなあ。スケールがどんなミステリよりも圧倒的に大きい。今回は、わりと先の読める展開だったけど、それでもユダヤ人とイスラムの対立とか、旧約聖書の出エジプト記など、サイドストーリーが勉強になる。
ネス湖のほとりの村も雰囲気があり、また少々飽食気味だか死体の演出もインパクトがある。
ロドニーの、ユダヤの唯一神ヤーハウェは暴力の神だとか、復讐を認めているとか、ユダヤ人とは思えない?思想が目新しかった。
飲んだくれのバーニーと、癇癪持ちのバグリー警部のコンビもおもしろかった。バーニーもあんなに飲んだくれてる割には思考力がある笑
最後の本物の御手洗の登場はかっこよかった!御手洗が -
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①ジェネレーションギャップ
②何度も演算したような、確かなミステリー
感想はこの2つです。
①のジェネレーションギャップ
とは、私は2021年にこの本を読みましたが、この本は1993年に発売していたようです。
私が生まれるよりも昔にできた本は、時代背景が大きく異なっていることが、非常に面白い点です。
この本の大きなテーマは、消費税が1989年から3%徴収という形で世間に浸透し始めた時期に、消費税を払いたくない老人が人を殺す という社会的で衝撃的な始まり方なのです。
当時の世間での消費税へのネゴは凄まじいものだったと、本を読んだり、歴史を調べてみても思います。
今でこそ当たり前となっている -
購入済み
龍臥亭事件と龍臥亭幻想に続いて読んだのですが、里美のキャラクターが石岡君視点からのものと随分違って違和感を感じます…。その点を除けば、他の島田作品と同様にかっちり構成されているので楽しんで読めると思います。
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ネタバレ島田氏の短編集としては珍しく吉敷も御手洗も出てこないノンシリーズ物ばかりだった。短編集とは云え、一番短いのが冒頭の「ドアX」の70ページでその他2編はどれも100ページを超える作品で、どちらかと云えば中編集といった方が正しいだろう。
ハリウッド女優を夢見る女性のあまりに出来すぎた世界が語られる「ドアX」はその明かされた真相からして長編『眩暈』の変調のような味わいがある。最後に志賀直哉氏の短編「出来事」を髣髴させるところは作者の手腕だが、「ドアX」の正体が途中で判るのが災いして却って蛇足になった感がある。
次の「首都高速の亡霊」はタランティーノの映画に触発されたような内容で、ある一点から語ら -
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孤独な少年ヨウイチが唯一心を許し、尊敬する人物である、隣人の真鍋さん。彼は、透明人間が存在すること、そして、納屋で透明人間になる薬を作っていることをヨウイチに告白する。
そんなある日、密室状態のホテルから一人の女性が蒸発するかのようにいなくなり、海岸で死体となって発見される。
真相が明らかにならないまま、26年の月日が経ち、一通の手紙を受け取ったヨウイチは驚愕の事実を知る・・・
子どもも読者として想定している為か、かなり展開が早く、SF的な要素も含んだ軽いお話かな?と思いきや、終盤の手紙をきっかけに、急に現実的で大きな話へと展開します。
自分を取り巻く環境でどうにもならないことがあったり