島田荘司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレティーンズ向け島田荘司!と思って飛びついたけど、かなり重いテーマな4篇。
京大を目指して予備校に通う、ぼくは珈琲店「進々堂」で京大医学部の御手洗さんと出逢う。
最初は大学や勉強について相談していたけれど、世界放浪の旅から帰ったばかりの御手洗さんが語る話は興味深くて。
ぼくが地元の漁師街で体験した大人の女性との切ない思い出
御手洗が英国で出会った発達障害をもちながら、重量上げの競技に打ち込む青年とその父親の奮闘
御手洗がLAで出逢った韓国老人の戦中の過酷さと悲願花
御手洗がシルクロードの西域、カシュガルで出逢った老人の過去と桜
ぼくのコークハイの思い出以外は、とにかく重くて辛いお話ばかりな -
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Posted by ブクログ
御手洗ものとしては、たいしたことないのかなあ。
しかしやっぱり面白いから、さすがの御手洗もの。
島田荘司という人は、物語をあり得ない方向にぶん投げてしまう。
読み手は、どうするんだよと呆れるわけだが、異世界に飛ばされた謎は、きれいな弧を描き、無事に現実へと戻ってくる。
そんなブーメランの名手なのだ。
その技法に、見事なトリックが組み合わさった時、占星術、斜め屋敷、奇想天動などという傑作が生まれるのだ。
この作品のように、トリックとしては無理を感じるものでは、その技法のみで読者を引き込む力が一層際立ってくる。
本格であり、社会派であり、ロマンチシズム溢れる御手洗ものは特に、このブーメランの技