島田荘司のレビュー一覧

  • ら抜き言葉殺人事件~吉敷竹史シリーズ13~

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    吉敷シリーズは初めて。女はヒステリーになりやすい、女は思い込みが、女は…ととかくテンプレ。
    わかりやすいストーリーと、真相に近づく感じ、最後に明かされる犯人と、ミステリとしては良かったんだけど、女性をテンプレにはめて考える思想が微妙に古い。1991年平成の小説なのにと思ったものの、よく考えたら30年も昔だった。典型的なおっさんの文章、典型的なヒステリックな女性の文章、再現度が高い(実際に会ったことはない)。
    ら抜き言葉とか言語学的な考察は特に事件の鍵とは関係ない。

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    2019年07月20日
  • 夜は千の鈴を鳴らす~吉敷竹史シリーズ9~

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    メインの事件がいつの間にかサブに回る構成でそれも現代の事件が24年前の事件に繋がる事になり、24年前の事件無くしては現代の事件が成立たなかったという凝ったプロットになっている。
    そして作者が今回選んだモチーフは「オリンピック」。
    この世界の祭りに新幹線開通を絡ませ、高度経済成長の荒波に人生を翻弄される姿を描きたかったのか。
    そしてやはり本作でも東京という「都市」に憧れ、殺人を犯してしまうという島田荘司氏の追い続ける都市の魔力というものが暗示されている。
    派手さはないが、やはりこのシリーズも読み逃せない。

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    2019年06月16日
  • 鍵のかかった部屋 5つの密室(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    クレセント錠に紐などを巻き付けて、外から鍵を掛けることによって完成するオーソドックスな密室トリック。
    これを使ってのアンソロジーミステリー五編。

    似鳥鶏「このトリックの問題点」
    このアンソロジーの発起人らしく、謎解きの議論をメインにした話。
    コミカルなのに探偵役が犯人に突きつける言葉がキツくて、笑って終わりと言うことにはなってるけど、犯人はもう居たたまれないし、このサークルにも大学にも居づらいだろう。

    友井羊「大叔母のこと」
    亡くなった大叔母の自宅にある鍵のかかった書斎を開けるために大叔母の過去に迫る若い男女。
    どんな人にも青春があり輝いていた時がある。そこに苦さや切なさがあっても。
    初読

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    2019年05月23日
  • Yの構図~吉敷竹史シリーズ6~

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    ネタバレ

    本作のメインとなる殺人事件は、実はさほど興味深いものではなく、真相もショッキングではあるが、私自身が予想していたそれとほぼ同じだった。
    だが読後の余韻は漠とした何かを残した。

    菊池刑事の、木山法子が瀕死の重体であるにも拘らず、傍にいられない無念さか、古川教諭の、生徒を思う心か、鳥越ゆかりの孤独か、それ以外かどうか判らない。それらは所謂ステレオタイプな設定だと思うからだ。
    しかし、何かは確かにある。

    やはり子供が人を殺したという事実への疎ましさだろうか。

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    2019年04月24日
  • ゴーグル男の怪(新潮文庫)

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    <あらすじ>
    煙草屋の店員が殺される事件が発生。
    死体の下から見つかった黄色く塗られたピン札。
    曖昧な目撃情報に怪しい容疑者《ゴーグル男》が浮上。
    目撃者の証言ではゴーグルの中は血と皮膚がはがれたように真っ赤だったという。
    犯人は核燃料製造会社の臨界事故で働いていた?
    そして更に殺害事件が発生。
    事件を追う刑事とゴーグル男の2つの視点で進む物語の真相とは?

    <オチ>
    犯人はアイドルを目指す女性で、黄色く塗られたピン札で詐欺を行おうとしたら、店員にバレて通報されそうになったので殺した。
    その女性をストーカーしてた男がいて、ポストから部屋を覗いてたときに赤いスプレーをかけられ、それを隠すためゴー

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    2019年04月06日
  • 星籠の海(上)

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    長い
    けど、人物の描写は丁寧
    個人的には本当に普通で平凡な人生を慎ましやかにおくってるだけなのにある日突然状況が180度変わっちゃうような残酷さみたいなものがちゃんと現実っぽくて好き

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    2019年04月03日
  • 御手洗潔の追憶(新潮文庫nex)

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    20190317
    水を、と思った。そうだ水だ、水を飲ませてやろう。急げば、今ならまだ間に合う。きっと間に合う。この子は助かる。助けなくては。それは自分の使命なのだ!
    そしてまた気づいた。(p168)

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    2019年03月20日
  • 羽衣伝説の記憶~吉敷竹史シリーズ12~

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    今回起こる事件が単に吉敷刑事と加納通子とを再開させるきっかけに過ぎない事からも判るように、あくまで主題は吉敷と通子の2人の関係の修復である。
    いや、正確には吉敷は通子の忌まわしい過去を取り払う憑物落しの役割を果たしている。

    最近特に見かけない純愛を扱っているだけに通子の結婚恐怖症の重要なファクターとなっている麻衣子の自殺に関する解明が、どうも飛躍した発想に思えてならない。
    非常に勿体無いと感じた。

    島田氏の提唱する魅力的な謎の提示とその論理的解明が仇になってしまった。そんな印象を覚えた。

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    2019年03月12日
  • 見えない女

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    光文社による裏表紙の紹介文によると本書は「異色の旅行推理集」となっている。
    確かに“異色”である。
    収録された3編全てにおいて主人公は名前すらない男で、しかも「早見優」、「カトリーヌ・ドヌーブ」といった実在の人物が出てくるあたり、実話のような錯覚を憶える。

    だが“推理集”というのは些か大袈裟だろう。確かに各編において謎はある。しかし本書は異国での恋を主体にした短編集であると私は認識した。
    恋愛にはある程度謎はつきものである。ここに収められている謎はその範疇を超えるものではないし、ミステリへと昇華しているものでもない。
    従って私は「異色の旅行恋愛集」と呼びたい。

    翻って内容について述べると、

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    2019年02月05日
  • 確率2/2の死~吉敷竹史シリーズ5~

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    この作品はシリーズ一作目ではないのですね。

    この作品自体は、ちょっと小奇麗にまとまりすぎかなぁ、という印象。

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    2019年01月20日
  • 最後のディナー

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    ネタバレ

    御手洗感の薄い短編だなぁ。
    石岡さんがなんだか可哀想だ。
    もうちょっとトリッキートリッキーしている方が好み。

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    2019年01月14日
  • 鍵のかかった部屋 5つの密室(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    似鳥鶏さん、友井羊さん、彩瀬まるさん、芦沢央さん、島田荘司さんの5人の作家さんによる同一トリックアンソロジー。
    お題としてトリック(紐で密室を作る)が先に設定されていて、作家さんが思い思いのストーリーに仕上げるなんて、面白い試み。

    似鳥鶏さん「このトリックの問題」はお題に忠実、かつ似鳥さんらしく面白い。

    友井羊さん「大叔母のこと」は、日常の謎のミステリ。気持ちが温かくなりました。

    彩瀬まるさん「神秘の彼女」、いきなり”金の廬舎那仏”が出てきて、もうノリがとっても面白い!いつトリックが出てくるのかなぁ、と思いながら読んでましたが、ラストで自分の頭の中で想像すればいいのかしら。あと、春さんと

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    2018年12月19日
  • 鍵のかかった部屋 5つの密室(新潮文庫nex)

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    ・このトリックの問題点/似鳥鶏
    ・大叔母のこと/友井羊
    ・神秘の彼女/彩瀬まる
    ・薄着の女/芹沢央
    ・世界にただひとりのサンタクロース/島田荘司

    似鳥と友井作品がおもしろかった。
    薄着の女は、ラスト2行で思わず笑った。
    島田荘司はこの短編集に入れる必要なかったのでは?他の作品の倍あるし、もともと長編の一部らしいし、個人的にはこれだけ浮いてる気がした。
    (キャリアが違うと言われればそれまでだけど)

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    2018年12月10日
  • 鍵のかかった部屋 5つの密室(新潮文庫nex)

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    島田荘司の存在感がすごい。なんというか、サークルの飲み会にふたまわりくらい年上のOBが来たみたいな。
    全体的にライトでミステリー色は薄め。さらっと読めて暇つぶしにはとてもいい。
    しかし、御手洗の新作の『短編版』収録って、新潮社の商売のやり方はすごいなぁ。

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    2018年11月18日
  • 鍵のかかった部屋 5つの密室(新潮文庫nex)

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    糸を使って密室を作る、というテーマで5人の作家が物語を作る。同じテーマなのに全く違った物語が生まれるおもしろさ。

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    2018年11月11日
  • 確率2/2の死~吉敷竹史シリーズ5~

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    ネタバレ

    う~ん、野球賭博と白いライトバンの後ろが連絡場所と何か関係あるのではないかとは感づいていたのだが、なるほど、誘拐事件が保険として絡んでくるとは読めなかった。

    『眩暈』、『アトポス』、そして『異邦の騎士』と、所謂島田流「本格ミステリ」が御伽噺めいた幻想性を前面に打ち出しているのに対し、この吉敷シリーズは市井の犯罪を描く贅肉を削ぎ落とした「本格推理小説」。
    この軽さがタイミング的に合っていて一服の清涼剤になった。

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    2018年10月29日
  • アルカトラズ幻想(下)

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    ネタバレ

    上巻で示された論文と容疑者。
    下巻では舞台が表題でもあるアルカトラズに飛びます。
    自分としてはいきなりな展開に感じましたが、この段階ではまだついていけました。
    ただ第4章のパンプキン王国となると、突然のファンタジー展開についていけなくなってしまいました。

    確かに文章としては読みやすく引き込まれるのですが
    上巻で息もつかせずに読ませる事件の展開が
    下巻では失速し急に無茶な構成になったように感じてしまいます。
    つまらないわけではなく、面白い部分も勿論あるのですが
    だからこそ継ぎ接ぎ感もありました。
    原爆の話など盛り込み過ぎな感じもしましたし
    描写や筆者の考え方に疑問を覚えた箇所もあります。

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    2018年10月26日
  • 鍵のかかった部屋 5つの密室(新潮文庫nex)

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    「クレセント錠に紐を使って外から鍵を掛けるトリックです」と、密室トリックのネタバラシを最初にやってしまい、そこから各作家がストーリーを組み立てた4作に、島田荘司先生の最新作『鳥居の密室』の原型になった短編を加えたアンソロジー。
    「これは双子トリックです」などとトリックを先に書く例は以前にもあったが、こういう競作の形をとるアイデアは斬新で面白かった。4作の中では友井羊さんのハートウォーミングな作品が良かった。でも、何と言っても島田先生、やはり貫禄勝ちだよね(^-^)。

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    2018年10月20日
  • 御手洗潔の追憶(新潮文庫nex)

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    最近の御手洗ものは「過去の事件」しかないので現在進行形の話を一応は知れるファンブック的な。
    里見ちゃんの話をあとがきを読むに一応は「これからの事件の構想」はあるんだなあ・・・と。いやもうホントに早くそっちを書いてほしいw
    しかし今の刊行ペースだとここで紹介されているものが全部読めるのはいつになるのだろう・・・

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    2018年10月19日
  • 眩暈

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    「占星術殺人事件」を愛読する青年の戦慄すべき日記。そこには荒涼たる世界の終焉が広がり、切断された男と女が合成され両性具有者となって彼に語りかける。醜悪な現実と蠱惑の幻想世界が今、驚天動地のトリックによって大いなる融合をはたす---------新たなミステリーの空域を雄々しく飛翔する島田庄司の圧倒的傑作!

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    背表紙に書いてあった上記の文章を見たら読まずにいられないでしょう、ヤッパリ。あまりにも突拍子なく強引な推理展開。でも面白かった。細かい部分が結構そそる。

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    2018年10月15日