島田荘司のレビュー一覧
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ミステリの巨人の奇想がついに歴史を捉え、真実を掴み、常識をひっくり返したか。
あまりにも膨大な歴史のテーマは、到底ミステリ小説1冊に収まりきれるものではなく、そこは島田節といつもの力業で何とかエンタメ小説の体裁を整えた感が強い。
写楽の謎を解明する目的の達成を優先したのために、ストーリーや人物たちがほとんど着地できずに終わってしまった。
島田ファン、ミステリファンの読み手としては不完全燃焼この上ない。
新潮の責任でしょ。
ライフワークとして積み上げていってもよかったのじゃないか。
船戸さんの満州国演義みたいに。
テーマが許さなかったのかなあ。
とりあえず出しとかなきゃみたいな、作中の出版と同じ -
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ネタバレ色々言いたいことはあるものの、
総じては、面白かった本。
江戸、寛政の時代、突然現れ世間をあっと驚かせ、10カ月という短い期間に多数の作品を残しながらも、忽然と消えた、「東洲斎写楽」。本名も生まれも、存在自体が謎、の写楽の正体について、フィクションとノンフィクションを織り交ぜながら、描いた意欲作。
そう、意欲作、という言葉がぴったりだと思います、この作品は。「一番に伝えたいこと」がとても壮大で、スリリングだからこそ、その他のことが若干粗い仕上がりになっています。
たとえば冒頭、写楽の肉筆画、に記載された欧文でのサイン。平賀源内?と思わせ、途中から一切でてこなくなったこの話はどこへ行ったの -
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ミステリー作家のなかでは唯一読むと行っていい島田荘司。
でも、いつも謎解きの部分にはあまり興味が無く(笑)、その叙情性ある作風に惹かれて読んでいる。
わけだけど、この作品にはミステリー要素自体がなかった。
言ってみればこれは御手洗版紀行文だな。
4つのエピソードが綴られている。
その中で印象的なのは第3話。
作者らしいミラクル要素が込められた曼珠沙華のお話。
いつも、こういうお話をどうやって思いつくのかと思う。
いくつもの人生の波瀾万丈が描かれて、ミステリー要素がないだけに、いつもよりより淡々と胸に響くものがある。
個人的には舞台の京都の街角や進々堂はなじみの場所なので、懐かしく思い出し -
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ネタバレ『進々堂ブレンド1974』喉スプレーから想起される浪人生の初恋
『シェフィールドの奇跡』イギリスの知的障害差別を克服しようとした重量あげ金メダリスト
『戻り橋と悲願花』大戦下の日本で虐げられた朝鮮人姉弟の過酷な労働生活。希望と絶望、悲しみと恨みが鮮烈。物語をまとめる彼岸花の存在感もよい。
『追憶のカシュガル』侵略の時代を経たムスリムの街でパンを売る少年、路上に寝起きする老人の過去。浪人生が語る御手洗の昔語り、に登場する人々の告白、とマトリョーシカのような語りの連鎖。
総合的にみて差別や迫害の存在がテーマになっているかんじで物悲しい。探偵ではない御手洗を語り部に据えて、より自由に物語をしているよ -
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御手洗潔シリーズ。
「UFO大通り」「傘を折る女」の中編2作。
2作とも、御手洗がちょっとした取っ掛かりから事件の大筋を推理出来てしまうのは流石としか言いようがないものであったが、事件状況そのものが普通でないというか、強引に作り出してきたなぁという印象。まぁ、普通でないヘンテコな現象を現実のものとして論理的に説明されるのが、このシリーズの面白いところなのだけれど。
あと、これはわざとなのだろうか、両方とも被害者の死因が同じときた。この2作だけじゃなくて、他の作品でもあったような。御手洗の専門分野と重なるからなのだろうが、島田センセー自身がお得意なのかな。 -
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大正時代の日本、箱根芦ノ湖に突如現れ、一夜にして姿を消した巨大軍艦の謎に御手洗潔が挑む。相変わらずスケールが大きくて夢のあるミステリだなあ。ロマノフ王朝最後の皇女、アナスタシアの生存説も、ロマンがある。
自らをアナスタシアだと主張した「アナ」という女性が実在したことは知らなくて、読み終わるまで島田さんの創作かと思っていた。思ったより史実が含まれていて驚いた。
(小説内の)真実は切なくて、救いがなくて辛い。アナスタシアの過去はただでさえ重たいのに、ちょっと描写がくどいかも・・・。ところどころ展開が無理やりな感じもしたけど、歴史ミステリーとしても楽しめた。