新潮社のミステリ新ライン。いわゆる新本格派の作家たちがズラリと揃って書き下ろすシリーズ。その第一弾として登場。
欠かせない作家ですもんね。で、もちろん御手洗。
舞台は海外。回想から物語が始まるのですが、全体を通じて、島田先生らしい作品になっているのではないでしょうかね。
脳内に存在する風景を、寸分違わず何度も描く作家。興味を持ち、接触を図った御手洗は、唯一描かれた奇妙な人物の姿に目をとめる。
やがてある町で、その絵をなぞったような事件が起こる。
画家には未来が見えるのか、それとも・・・。封印された過去が、今、甦る。
ミステリとしては申し分のないデキだと思います。さすがというべきでしょう。
やはり島田荘司。最後になってからぐるっとひっくり返された気がして、ああ、ミステリってこうだよね、と思わされます。
それを含めた上でこの星の数。
なんでかというと・・・。以下ネタバレになります。
あのですねーーー私はですねーーー。
全編に渡って御手洗出ずっぱり、っつーのが読みたいんですよーーー。
謎に翻弄されたりとか、犯人に出し抜かれて悔しがったりとか、最後にはやっぱりしてやったり! みたいな。
そんな御手洗が見たいんです!!!!!
まさかミタライと呼ばれている探偵が偽者だったなんて思わなかったんですけども、でもそれでも、随分と薄い描写だなーーと違和感はあったんですよね。
島田先生、しばらく御手洗書かなかったからか?! とか妙に勘繰ったりしちゃったくらいなんで。
なので、なんというか、ミタライ不足みたいな感じで、ミステリ的には申し分ないかと思いますが、ミタライ不足解消には至らなかったので・・・。
「えーーーーーそんなのナシだよーーーーーーーー」
ってのが読後一番言いたかったことでした。
そんなわけで、この星の数。嗚呼・・・御手洗の、こう、腹に響くようなのが読みたいです・・・先生、今年こそはどうかお願い・・・(=人=)ナムナム・・・
ちなみに私、月並みですが、御手洗シリーズでは『異邦の騎士』が一番好きです。
島田先生の作品の中では、『奇想、天を動かす』も好き。もう泣いた泣いた・・・。
今のところこれがツートップ。これに次ぐものを期待してます。