島田荘司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレなにか求心力のある、大抵はグロテスクでエロチックな歴史上のエピソードを持ってきてなぞったり、今回は「サロメ」「ハリウッド」などの別の要素を組み合わせたりで複雑雑多、でも一本の筋を貫くことで決して飽きさせなくこの長い長い話、重い重い本を出張の鞄に同梱する苦を厭わなくさせる力量は、京極や他のフォロワーからは大きく異なるところなのではないかな。
でもボスである島田はじめ、この一派どうしても好きになれない。人間が下品なような気がする。偏見か?
(以降モロネタバレ)
最後に気がついたのだが、アトピー患者を「怪物」ってしちゃってるんだよな。これちょっとひどくないか? -
Posted by ブクログ
ネタバレうーん、御手洗が登場する作品としてはイマイチだった作品。
著者が後書きで解説しているように、
・ユーゴスラビア紛争という民族紛争が生んだ悲劇
・医学的知識に基づいた血液型トリック
・日本のオンラインゲームで取引されるRMT
・ドゥブロブニクという自治都市を舞台に展開される「リベルタス」という寓話
これらの要素が複雑に絡み合いながら
物語が展開していくわけだけど、
それに成功しているとは言い難く、
物語として引き込まれないまま終わってしまった。
セルビア人の民兵組織が、活動資金を稼ぐために
日本のRMTで荒稼ぎしているという設定も
リアリティにかけるし
(韓国人組織とか中国の華僑とかだっ -
Posted by ブクログ
ネタバレさすが島田荘司!
巧みなストーリー構成で怪奇事件の謎解きにとどまらず、
事件が起きた根深い背景を歴史嫌いな私にもじわーっとわからせてくれる。
舞台は、ボスニア・ヘルツェゴヴィナで起きた怪奇事件。前編、後編の間(中編)では、日本で起きた怪奇事件を御手洗潔がさらっと解きます。
どちらも民族紛争を題材にしている。
1980年代までユーゴスラビアは、模範的な社会主義国と言われていた。しかし、社会主義国崩壊後に起きた内戦で、正教徒のセルビア人、カトリックのクロアチア人、イスラム教徒のモスリム人のスラブ系民族同士が三つ巴の殺し合いが行われた。
強烈な印象に残ったのは「民族浄化」。「穢れた血を薄める」。人 -
Posted by ブクログ
民族紛争という主題そのものが、平和ボケした島国に暮らす日本人にはどうしても理解が難しいなあ、ていうことが第一印象。知識としてすら知らないことが多いからなあ…。
表題作に関しては、創作寓話と絡めたトリックが相変わらず島田荘司らしい説得力で読ませます。その状況にどう現実味持たせるのよ?!てとこに見事に現実感をこじつける手腕が絶品。まさか臓器を抜いたのが××××ことを隠す為とは…。難を挙げれば、RPGを絡めたせいでページの割りに詰め込みすぎた感があることでしょうか。どうせならもう少し軽い扱い方でも良かった気がしますが、島田先生はこの世界が書きたかったんでしょう。仕方ない…。
「クロアチア人の手」 -
Posted by ブクログ
御手洗シリーズ短編集。
4編収録ですが、うち2編は事件は起こらず、番外編的な話です。
御手洗シリーズはやはり長編が好きです。短編だと御手洗がどうしてそういう考えに至ったのかというところがよくわからないままスピード解決してしまうのが残念。
シリーズが進んで御手洗がどんどん超人化するのに従い、最初の頃の御手洗にあった人懐っこさや魅力が薄れていっている気がする。年をとって落ち着いたといえばそうなんだけどちょっと寂しい。逆に石岡君はいつの間にこんな情けないおいちゃんになってしまったんだ。
「さらば遠い輝き」は同人誌みたいだと思ったらアンソロ収録と知って納得。
そのアンソロも買ってあるのでいずれ読もうと