島田荘司のレビュー一覧
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島田さんの本を読んでいると、どうも島田さんの言うことに「そ、そうか」という気になってしまう。
とにかく熱いのである。「~だから~なのだ」と言われたら、「そ、そうですか」と思い、「なんということだ!」と言われたら、「うむ、大変だ!」と思ってしまう(笑)。
けど、私はなんだかその熱さが憎めないのだ。その勢いに、その激情に、純粋に飲まれたくなるのである。
島田さんの作品は、ミステリーとしても物語としてもかなり強引でトンデモなところがあるけれど、そこを私は疑いながら読みたくないのだ。彼の熱さ、彼の勢いに、できることなら付いていきたいと思う。つまりは、そう思わせてくれるだけの魅力を、私が島田さんに感じているということだろう。
このお話も、ストーリーとしてはかなり強引で主人公やヒロインの言動にも「?」と首を傾げるところが少なくない。
しかし、そんな中にも溢れるような「若さ」が感じられてひと夏の青春モノとしては不思議な魅力がある。その向こう見ずでどこか透明な甘酸っぱさ、だからこそ突き進める可能性、みたいなものが、確かに感じられるのである。
途中までは、どうしてヒロインが主人公に好意を持ったのかよくわからなかったが、最後まで読むと彼女の心情がなんとなくわかる気になった。こういう「男の子」になら、確かに気を許したくなるかもしれない。 -
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小学生のヨウちゃんは、近所で印刷会社を経営する真鍋といろいろな話をするのが唯一の楽しみ。真鍋はヨウちゃんにさまざまなことを教えていく中で、「透明人間は存在する」と言いきります。そんななか、ヨウちゃんと真鍋の住むF市で殺人事件が起きます。殺害時の状況は、被害者が透明人間になったとしか思えないものでした。事件から少し経つと、真鍋はF市から去ります。
犯人は誰なのか?透明人間は本当に存在するのか?
この文庫版に限ったことかもしれませんが、挿絵の抽象画がとにかく恐怖をあおります。
途中まで、透明人間になる薬は本当に存在するのではないかと疑ってしまうような上手い書き方がされていて、引き込まれました。ソ連アゲをしていた序盤の記述と時勢から、真鍋の正体はうすうす気づけるものではありましたが、透明人間のトリックは破れませんでした。悔しい…(笑)
真鍋のような境遇の人間に、一時でも生きる幸せを感じさせることが出来たヨウちゃん。彼自身は真鍋との別れ方を後悔すると思いますが、真鍋自身は彼らに出会えたこと自体が幸せだったろうと思います。
「この納屋に、これまでのぼくのすべてがあった。生きる意味のすべてが。」 -
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ネタバレ<ネタバレ有り>
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御手洗シリーズ。以前ハードカバー版で読んだものを文庫版で再読。
眩暈。まさに眩暈。やっぱり読んでてくらくらきました。
古井教授の難解な講義の後の石岡君の「聞いていて意味が十分の一も解らなかった」という一文によってもたらされる安心感がすごい。
初読時どうしても理解できなかった部分があって、今回はその辺りをじっくりと読んだつもりなのですが、やっぱりわからない部分もありました。香織お母さんの胸が小さい云々のくだりは文庫化にあたって最後に加筆されていたので理解しましたが、結局未亡人を襲った両性具有者は一体だれだったかという謎は残りました。解説にもあったようにその辺りは読者の想像にお任せという感じなのかな。
その解説ですが、つまらなすぎてびっくりしました。難しい言葉を並べてるだけで意味がさっぱりわからず、長いので読み飛ばしてしまいました。解説が本文より難解って…。解説までを含めて1冊の本だと思うのでちょっと残念。
眩暈の御手洗のエキセントリックさには息を呑むものがあります。そんな御手洗に付き合いきれる石岡君も只者じゃないとあらためて思いました。 -
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この本に収録されている「糸ノコとジグザグ」は有栖川の「ジャバウォッキー」を読んだときからずっと気になっていて、随分前に読もうと思って購入してたのになぜかずっと積読になってました。さらには御手洗のコミカライズ第一弾でなぜかこれがチョイスされて、読もう読もうと思ってたものをやっと読みました!
いつものミステリの他ショートショートのようなものもあり、楽しめました。
お気に入りはやっぱり「糸ノコとジグザグ」、漫画で読んだときは御手洗のマツゲの濃さばかりが気になって内容ほとんど読んでなかったことが発覚しました。もったいない!読んでよかった!
糸ノコ以外では「渇いた都市」の皮肉な結末が好きです。そこに繋がるのか!と。これの「私」はてっきり石岡君だと思って読んでいたのですが、昭和53年の夏は「異邦の騎士」事件の真っ只中だったので違うみたいですね。
それにしても島荘先生は嫌な女を書くのが上手いなぁ。 -
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島田さんの提示する謎は、いつもとても派手で魅力的である。しかし、それだけに「トンデモ解決にならないかな・・・?」と心配してしまう気持ちも毎回ある(^^;)。
今回の謎はあまり派手さはなかったものの、とても不可解で魅力的だった。綿密に練られた誘拐計画、しかし犯人は身代金を受け取らずに、あっさり誘拐した子供を解放してしまったのだ。
解決にはなるほどね、と思ったものの、問題→解決までの調子があまりにあっさりしていたので、もったいない、と感じた。これだけの謎と解決を考えたにしては、なんだか中途半端だなと思ったのである。もうちょっと膨らませるか、あるいはぎゅっと濃縮して、キレのいい短編にした方がよかったのでは。
やっつけ仕事で書いた作品だったのかもしれないな、とも思った。クオリティはなかなか高い一品だけに、ちょっと残念である。 -
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「リベルタスの寓話」「クロアチア人の手」の2編収録。
ええと、毎度のことながら東欧史ほとんど知らないので、ううむ、あまりよくわからない…。いかんなあ、歴史の勉強不足…。
ただ、島田氏が書くとどれも史実のように思えてしまうらしく、よく本当にあったことかと問い合わせがあるそうで、巻末に後書きとして、自身の創作部分と史実部分との注釈がついていた。
ついていてもよくわからない自分が情けないが。
構成がやや変わっていて、「リベルタスの寓話」の前編と後編の間に、「クロアチア人の手」が入っている。最初、それがちょっと理解できなくて一生懸命繋がりを求めて読んでいた私。あ、なんだ、別の話か…。まあ、もちろん狙いがあっての構成なんだけど。
それにしても、マネーロンダリングの話はちょっとよくわからない。
バーチャルと現実のからみもイマイチピンとこず。
あぁ~、ダメだなあ私。わかってないことだらけ。
わかってないことだらけの上に、トリックというか謎解きというか、それも今一つだったなあ。 -
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御手洗潔シリーズの長編はある程度順番に読んできていますが、その中でもこれは特に長い。恐怖感を増す、ミスリードを誘う、また伏線のために必要だとはいえ、さすがに前半が長すぎたんじゃないかな・・・と思ってしまいました。ひとつの話としても成り立つ量です。
また、事件の根幹をなすトリックというかギミックについては、根拠はありませんが感覚的にかなり無理があるのではないかという感想。解決前にギミックを示すために実際とは異なる(言葉は悪いが「都合の良い」)描写になっているのでは、との疑念も。実物が存在しない上に恐らく私が正確に構造を理解していないと思うので何とも言えませんが。