あらすじ
ピアノと日本語を教えている笹森恭子が、自宅のベランダで首吊り自殺をした。部屋には、ある作家に誤りを指摘した手紙に対する返信が残されていた。警視庁捜査一課の吉敷竹史は、現場に不審を抱き、殺人説を唱える。そんな時、またもや自殺者が。しかも、恭子に来ていたのと同じ作家からの葉書が……。本格推理の鬼才が、現代の世相を鋭く抉った異色の長編力作。
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Posted by ブクログ
まずタイトルを見て、「何だこりゃ!?」と面食らった。『幽体離脱殺人事件』と1,2を争う変なタイトルである。
しかし、内容は吉敷シリーズで結構渋く、扱っているテーマも歪んだ学校教育という社会問題を挙げ、手堅く纏まっている。
この頃の島田荘司氏はこの動機付けのエピソードが面白く、謎解き部分が逆に添え物になっているきらいがある。
ただ今回は犯人が「ら抜き言葉」に執着する動機が純文学よりだったのが、惜しい所だ。
Posted by ブクログ
吉敷シリーズは初めて。女はヒステリーになりやすい、女は思い込みが、女は…ととかくテンプレ。
わかりやすいストーリーと、真相に近づく感じ、最後に明かされる犯人と、ミステリとしては良かったんだけど、女性をテンプレにはめて考える思想が微妙に古い。1991年平成の小説なのにと思ったものの、よく考えたら30年も昔だった。典型的なおっさんの文章、典型的なヒステリックな女性の文章、再現度が高い(実際に会ったことはない)。
ら抜き言葉とか言語学的な考察は特に事件の鍵とは関係ない。
Posted by ブクログ
全体として小粒で、
ミステリーとして見るべきところが
多いと言えない中編作品。
ただ、島田氏がいろんなところで言及してる
警察や教師など権威を持つモノへの厳しい目線、
外国人労働者など弱きもの達への温かな視線が
作品全体にしっかりと根を張っている作品で
ある種の社会派モノとしての面白さはある。
島田氏自身がこういった読者からの手紙を
もらったところから着想したのかも。
Posted by ブクログ
こじんまりとした長編の中に日本語問題、教育問題、男女差別問題、外国人就労者問題などの社会派テーマが含まれおり色々と考えさせられます。
「ら抜き言葉」という題材はとても魅力的ですが、笹森恭子をここまで「ら抜き言葉」に執着するものが何なのかという点に少し説得力が足りないような気がしました。
ラストはそれなりに驚きましたがミステリーとしては小粒かなと思いました。
Posted by ブクログ
島田荘司さんの作品は始めて読みました。社会派ミステリーと捉えれば良かったのでしょうか。
ストーリーより、因幡沼耕作の手紙やエッセイの方が読み応えがありました。
作者の価値観もある程度含まれているのだと思います。
推理小説として読むなら、吉敷竹史が探偵役にあたると思いますが、こういった類の小説でここまで活躍しない探偵も珍しいのでは?
思った以上に読みやすかったので良かったです。
Posted by ブクログ
作品全体としては理解し難い文もなく会話文が多いことも手伝って読みやすかったので軽く読むには持ってこいの一冊ではないでしょうか。
作家殺しの不可解な動機の特異性を除けば他の島田作品と比べると淡々とストーリーが展開していきます。
個人的にはもっと長い作品の方が楽しめ、またどんでん返しも大きいほうが好まれます。
ところどころに社会に対しての島田氏の考えが顔をのぞかせます。
Posted by ブクログ
吉敷シリーズ。ははあ。なるほどね〜確かに言葉によってはら抜きは言われてみれば気になるけど会話としては別にそこまで気にならないなあ。そのまま事件は終わらずなるほど!てな感じでした。