三津田信三のレビュー一覧
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七人怪談は、7人の作家さんがテーマを与えられ、それにそった内容の怪談を書くという形式になっていた。
澤村伊智 霊能者怪談
加門七海 実話系怪談
名梁和泉 異界系怪談
菊地秀行 時代劇怪談
霜島ケイ 民俗学怪談
福澤徹三 会社系怪談
三津田信三 建物系怪談
それぞれ怖い作品であったが、どれも読みやすくあっという間に読み終えてしまった。
霜島ケイさんの話では、主人公の行動によって最悪とも思える結果になってしまう。その後のことは書かれていないが、これから何が起こるのか想像するだけで恐ろしい。
でも、自分が主人公の立場でも同じように考えるだろうし、対応すると思う。その当たり前の行動が取り返しのつ -
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ことごとく民俗学の要素がでてきて、民俗学が好きな自分としてはその部分もとても面白く読めた。作者がよく取材や勉強をされたうえで、というのもとても伝わってくる。
ラストはゾッとして、光景が眼に浮かぶようだった。実質2日で一気に読んでしまった。没入感あるので一気読みおすすめです。
人里離れた、因習の残る村で起きる祟りのような殺人事件。俗信や呪いに翻弄される人たち。因縁のような、見えない縛りのようなもの。推理小説でありながら、民俗学知識や論理的思考どちらも出てくるところがいいですね。それでもホラー要素もちゃんと存在しているので日本の怪異が好きな人も楽しめると思います。
自分は巳一さん、二日子さん結構 -
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「刀城言耶」シリーズ“長編”第六弾。
今回の舞台は遊郭。
「遊郭」というと、江戸時代の吉原が思い浮かびますが、本作では昭和初期ーー戦前・戦中・戦後と三つの時代にまたがって、〈桃苑〉という廓町にある遊女屋で起こった不可解な身投げ事件を巡るお話でございます。
第一部は、遊女・初代緋桜の日記(戦前〈金瓶梅楼〉)
第二部は、遊郭の女将・半藤優子の語り(戦中〈梅遊記楼〉)
第三部は、作家・佐古壮介の原稿(戦後〈梅園楼〉)
・・という、それぞれ異なった形式で構成されていて、いつものパターン(刀城言耶が直接現地で事件に巻き込まれる)とは毛色が異なる展開となっております。
(※因みに第四部は「刀城言耶の解 -
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古い家に住むことになった夫婦。引っ越し早々、家の中で妙な物音や視線を感じ始め、徐々に「何か」が棲んでいる気配に気づく。妻は恐怖に耐えながらも家の過去を調べ、かつて住んでいた家族の不穏な出来事や、語られぬ因縁にたどり着く。やがてその「こわいもの」が現実に干渉し始め、平穏だった生活は崩壊寸前に──。
三津田信三さんらしい、じわじわとにじり寄る恐怖が読者を包み込む一冊。派手な演出はないが、静かな描写と繊細な心理の変化がリアルで、読後も残る“気配”に背筋が寒くなる。ホラーというより、“存在するかもしれない”不安と向き合う文学作品のよう。タイトルの通り、「こわいもの」はどこの家にも棲んでいるのかもしれ -
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三津田作品2冊目。ハマってしまいそうなムーブ。前から言ってるけど澤村伊智と似ている。澤村伊智から毒気(人怖)を引くと、三津田信三になる感じか。いや澤村伊智が三津田信三に影響されたんだね。ただ怖いだけじゃなくて思わぬ伏線回収があるところも癖になる。
この短編集も基本僕(三津田氏)が人から聞いた実話怪談という体で語られる(本当に聞いた話なのかもだけど)。
『怪談のテープ起こし』でもそうだったが、今作も怪異の解明はされず謎のまま終わる。三津田作品の特色なのか。
【収録作品】
「夢の家」
異業種交流会で出会った女性に次第に異様さを感じた男が夢の中で女に追い詰められていく。
夢の話が怖い。誘われるまま