三津田信三のレビュー一覧

  • 忌名の如き贄るもの

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    戦後間もない関西地方の村で起きた奇妙な殺人事件をテーマにした物語だが、特殊な読み方の語句が頻出する.尼耳(あまがみ)家、銀鏡(しろみ)家、虫絰(むしくびり)村、河皎(かわしろ)家等々.この村では7歳、14歳、21歳の子供に忌名(いな)の儀礼を執り行う風習があり、尼耳季千子(いちこ)が14歳の儀礼中に仮死状態になったことが話の発端となる.作家の刀城言耶がその事件の真相を探るべく村に出向くが、季千子と結婚を考えている発条福太も同行する.言耶が当所の警察と情報交換して真相を探る場面が楽しめた.さらに季千子の父 太市の隠し子 市糸郎が儀礼中に殺害され問題が複雑になっていく.19名の関係者が尼耳家の座敷

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    2024年06月05日
  • 逢魔宿り

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     結界が張られた山奥の家で七つの規則を守り「おこもり」をした少年の奇妙な体験談の『お籠りの家』、大人しい少年の描いた絵が暗示する事故に纏わる『予告画』、ある装幀家が雨の日に出会った老人と少女、少女の父親と思われる男性から奇妙な体験談を聞かされ恐ろしい推測が浮かび上がる表題作の『逢魔宿り』という、どの作品も「作者が他人から聞いた体験談を基に小説化したもの」であることが示されるも、まるで現実に起こった出来事ではないか、という徐々に忍び寄る恐怖が常に感じられて恐ろしく感じつつも面白かった。

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    2024年06月05日
  • 山魔の如き嗤うもの

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    「刀城言耶」シリーズ第四弾。

    怪奇小説家・刀城言耶の元に編集部付で原稿が送られてきます。
    それには、とある山村にある“集落の「成人参り」という儀式に臨んだ集落の地主、郷木家の四男・靖美が、迷い込んだ”忌み山”で遭遇した様々な怪異と、山中の奇怪な一軒家にいた家族がまるっと消えてしまったという不可思議な体験が綴られていました。
    これらの謎を解明すべく、件の山村を訪れた言耶ですが・・。

    まず思ったのが、 前三作に比べて読みやすくなっているな・・ということです。
    お陰で話が入ってきやすく、内容に没頭できたせいか、個人的には評判の良いシリーズ三作目の『首無の如き祟るもの』より本作の方が面白く読めまし

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    2024年06月02日
  • 密室の如き籠るもの

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    『水魑』に続き、三津田作品六作目。刀城言耶シリーズ、第一短編集。帯に騙されたせいで刊行順に読めなかった…。
    「首切」。言耶と偲の掛け合いがもっと見たい(笑)
    「迷家」。短いながらもちゃんとしたホラーでミステリィしてました。
    「隙魔」。身近な「隙間」を題材に、とても怖いが引き込まれる世界観でこの中では一番好き。
    「密室」。皆が知っている(よね?)狐狗狸さん、赤箱・・など、気になる単語に心躍る(ホラーものにこの表現はアレですが…笑)世界観は流石。真相にはなんとも言えぬ読後感あり。

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    2024年06月01日
  • 密室の如き籠るもの

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     刀城言耶シリーズ第5弾。本作は3つの短編+1つの中編からなる短編集になっており、消えた凶器、突如家が消える謎、知り得ないことを知ってしまう隙間に纏わる殺人事件、そして狐狗狸さんが発端の密室殺人事件等、いつも通り一人多重解決の方針で推理する刀城言耶のキャラは勿論、本格ミステリーに怪異を落とし込む独自の作風が面白かった。

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    2024年05月18日
  • 水魑の如き沈むもの

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    ネタバレ

    今作は出だしや序盤でオカルト色が強すぎる感じがした。
    クロ先輩の話では、(能力を持つという)修験者たちからの水使神社には超常的な力や仕掛けがあるという話を当たり前のように受け入れているし、正一少年の話でも一つ目蔵の周囲に結界が張られているというように、異能を当たり前のように出してきていて、拍子抜けというか残念というか。
    刀城言耶シリーズは、「一見オカルトに見える事件が推理で解き明かせる」。そして「(解明される直前の)最終版までオカルト的な気味悪さ・怖さが残る」というのが良さだと思っていたので、作品中で超常現象が肯定されているとその良さが死んでしまい、論理や常識を飛び越えてどうとでもできるように

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    2024年05月05日
  • そこに無い家に呼ばれる

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    ネタバレ

    母が亡くなってから2週間と少し。こんな話を読む心境ではないはずが、三津田さんにはスルスルと吸い寄せられ、母の遺影に見守られながら読みました。巷で大ヒットを飛ばしているいくつかのモキュメンタリーも読みましたが、やっぱり私は断然こっちが好き。なんとも言えない余韻があって、深い。

    何かが一つずつ減っていたり増えていたりしたら気をつけよって、わざわざそういうのを見つけて数えてしまうじゃあないですか(泣)。ラスト3頁は『逆転美人』並みの労力を感じました。というのは『逆転美人』の藤崎さんに失礼ですかね(笑)。怖かった。

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    2024年04月30日
  • スラッシャー 廃園の殺人

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    ネタバレ

     ホラー作家の一藍が作った廃園を探索する番組に参加した俳優、女優、スタッフたちがそこに潜む『影』によって次々に惨殺されていくスプラッタホラーが主なストーリーだったが、その背景にメタ要素や名作ホラー映画のオマージュがふんだんに盛り込まれていて「いつもとは毛並みが違う三津田信三作品だな。」という風に感じた。終盤で明かされる「影」の正体や動機はホラーの魅力故に、という感じで良かったが、終わり方が消化不良感が否めなかった。というよりは、続編ありきで作ったのかもしれないが…

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    2024年04月29日
  • 怪談のテープ起こし

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    ネタバレ

    著者の三津田氏が聞いた話という体裁で書かれた怪奇短編。加えて序章・幕間・終章にて担当編集者の異変を描き、現実に障りがあるような恐怖を描く、念の入れよう。実話なのかどうかはさして重要ではないけど、怪異が解明する、あるいは解消されることはほとんどないのが実話っぽさを増していると思った。『新耳袋』に載っていそうな話といえばいいのか。

    【収録作品】
    「死人のテープ起こし」
    ライターの吉柳が集めたという自殺者が最後に残した肉声テープを文書に起こしてもらう三津田氏。三つのサンプルに単なる死の実況ではなく不可解なものを感じる……
    文書の内容もかなり不気味なんだけど、それより三津田氏に吉柳を紹介した作家島村

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    2024年04月14日
  • 影牢 現代ホラー小説傑作集

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    傑作ホラーを集めたアンソロジー。1993年以降に発表された全8編を収録する。「七つのカップ」の姉妹編。
    浮遊する水(鈴木 光司)
    猿祈願(坂東 眞砂子)
    影牢(宮部 みゆき)
    集まった四人(三津田 信三)
    山荘奇譚(小池 真理子)
    バースデー・プレゼント(綾辻 行人)
    迷い子(加門 七海)
    赤い月、廃駅の上に(有栖川 有栖)

    読み終えると、なんとなくじんわりゾクッとくる作品ばかり。さすが実力派作家の皆様だと感じる。

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    2024年04月12日
  • 凶鳥の如き忌むもの

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    刀城言耶シリーズ二作目。
    信仰や神事に懐疑的な人間が複数おり、密室からの人間消失というシチュエーションも相俟って、前作と比べて、ミステリ色が強めな作品。
    特に中盤に差し込まれる、"人間消失講義"は完全にミステリ小説のそれでした。
    ただ序盤の信仰と儀式に関する説明や、ラストのとあるシーンなど、怪奇要素もしっかり残っており、シリーズ特有のミステリとホラーの良い塩梅を楽しめました。

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    2024年04月09日
  • 忌館 ホラー作家の棲む家

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    ネタバレ

    処女作とのことだが、三津田らしい作品だった。
    本作のジャンルはホラーだが、後発のホラー作品よりもミステリー(刀城言耶シリーズみたいな)に寄っていると感じた。それでいて刀城言耶シリーズを"裏返し"(; "逆さま"ではない)したような感触も受けた。
    刀城言耶シリーズが「オカルトに見える事件を推理・論理でミステリーとして解く」のに対して、家シリーズは「オカルトに見える事件を推理・論理でオカルトとして解いた」ように見える。
    本書で物語は完結しているように見えるが、あと2冊ある家シリーズの続編はどんな内容なのだろうか。
    また、三津田作品のなかに"逆さま&

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    2024年04月07日
  • 凶鳥の如き忌むもの

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    3.8。読んでいたら分かるのに分からなかっただけにやられた感というかインパクトあった。トリックも動機も。

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    2024年04月08日
  • 犯罪乱歩幻想

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    ネタバレ

    乱歩ワールドに挑んだ連作5編に「貞子」「ウルトラQ」トリビュート2編を加えた短編集。トリビュート作品でありつつ、間違いなく三津田氏独特の世界として成立しているのが面白い。
    ・「屋根裏の同居者」は原典は勿論だが、春日武彦『屋根裏に誰かいるんですよ』にかなり触発されたと思しい(参考文献にもある)。
    ・「赤過ぎる部屋」は猟奇趣味が語られる秘密倶楽部を舞台に二人称で書かれた作品。異常心理を扱った点で本作が乱歩の作品世界に最も近いように感じられた。
    ・「G坂の殺人事件」は作者自身(がモデルの人物)が殺人の被害者だったり、探偵役として登場するのがファンにはお馴染みの人物だったりと完全に三津田作品の世界。…

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    2024年10月05日
  • 忌名の如き贄るもの

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    ネタバレ

    今回も子どもに対して容赦ない地方の奇っ怪な儀礼、「忌名の儀礼」の李千子の体験に第一章から震える。人生の災厄を忌避するための儀礼でありながら、こっちの方が危険極まりないじゃないかw
    ヒヤリが半端ないホラーとミステリーの組み立てを存分に堪能した後は、いつにも増して残された事件の謎が大きく、推理が推理のままで終わっちゃったなと油断していたら終章でドカンと真相の爆弾が投下されてやられた~!怖くてしょうがなかった第三章の終わりの伏線がここにきて炸裂しようとは…。
    「マジかぁ…」と何度も呟いてしまう読後だった。

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    2024年02月20日
  • 厭魅の如き憑くもの

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    三津田信三さんが好きで、ずっと気になってた人気シリーズ刀城言耶(とうじょうげんや)第一作目!

    寂れた村で起こる怪異事件を軸に物語が続きますが、途中途中で本物の怪異に出会ったりとホラー感もあり、読み応えがあって面白かったです。
    なんとなく横溝正史っぽいかな?と思いました。

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    2024年02月16日
  • 首無の如き祟るもの

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    ネタバレ

    複雑に絡み合う事件を読んでいくのは骨が折れるが、ラストの謎解き部分がやはり面白かった。読みながらなんとなく予想していた推理は悉く外れていた。
    人物の入れ替わりがここまで徹底して行われていたなんて想像もしていなかった!でもそうすると全ての辻褄が合うので納得。この一族の事情と、毬子の事情、斧高の事情を合わせると、こんなにも不可解で怪異めいた犯罪になってしまうのだ。
    シリーズなのに刀城言耶がほぼ登場しないパターンなんてあるんだという驚きもあるし、そういう思い込みによって綺麗に騙された。最後の数十ページは見事などんでん返しだった。小説だからこその楽しみ方ができたと思う。

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    2024年02月15日
  • 首無の如き祟るもの

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    ラストのどんでん返しがすごいです。
    最初から犯人探して下さい的なスタンスで、物語が始まります。
    身構えて読み進めたが、犯人はわからず、騙された〜!

    ただ、個人的には作中作の形式の物語なので、没入感が薄れてしまいました。。

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    2024年02月10日
  • 禍家

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    幽霊屋敷を題材とした小説が多い三津田信三さんの作品。
    結構前の作品ですが、しっかり怖かったです!
    じめじめした怖さと展開が面白く、ホラー作品は三津田さんばっかり読んでます。
    中学生の男の子が引っ越した先の家で恐ろしい怪異に何回も遭遇するんですが、表現が絶妙で映像のようにイメージできます。
    夜寝る前にオススメです...。

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    2024年01月23日
  • 幽女の如き怨むもの

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    ある花魁の生い立ちをなぞっていくようなお話。もちろん今までのように怪異はあるのだけど、背景情報から、さもありなんという気になった。
    ミステリーホラー感は薄いが、話としては面白く一気に読み進められた。

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    2024年01月08日