三津田信三のレビュー一覧
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ことごとく民俗学の要素がでてきて、民俗学が好きな自分としてはその部分もとても面白く読めた。作者がよく取材や勉強をされたうえで、というのもとても伝わってくる。
ラストはゾッとして、光景が眼に浮かぶようだった。実質2日で一気に読んでしまった。没入感あるので一気読みおすすめです。
人里離れた、因習の残る村で起きる祟りのような殺人事件。俗信や呪いに翻弄される人たち。因縁のような、見えない縛りのようなもの。推理小説でありながら、民俗学知識や論理的思考どちらも出てくるところがいいですね。それでもホラー要素もちゃんと存在しているので日本の怪異が好きな人も楽しめると思います。
自分は巳一さん、二日子さん結構好きでした。 -
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「刀城言耶」シリーズ“長編”第六弾。
今回の舞台は遊郭。
「遊郭」というと、江戸時代の吉原が思い浮かびますが、本作では昭和初期ーー戦前・戦中・戦後と三つの時代にまたがって、〈桃苑〉という廓町にある遊女屋で起こった不可解な身投げ事件を巡るお話でございます。
第一部は、遊女・初代緋桜の日記(戦前〈金瓶梅楼〉)
第二部は、遊郭の女将・半藤優子の語り(戦中〈梅遊記楼〉)
第三部は、作家・佐古壮介の原稿(戦後〈梅園楼〉)
・・という、それぞれ異なった形式で構成されていて、いつものパターン(刀城言耶が直接現地で事件に巻き込まれる)とは毛色が異なる展開となっております。
(※因みに第四部は「刀城言耶の解釈」という言耶の推理パートとなっています)
屋号は時代ごとに変えているとはいえ、同じ妓楼で起こった身投げ事件の謎・・(しかもそれぞれ三度づづ、計九度の身投げという・・)、事故?自殺?他殺?はたまた“幽女”の呪いなのか・・?
ふぅ・・どっぷりとのめり込んで読ませて頂きました。
特に第一部の、初代緋桜こと桜子の視点で綴られる、苦界の生活ぶりは、その過酷さと遊女たちの抱える事情の哀しさに、やるせない気持ちでいっぱいになりましたね。
とりわけ、月影さんが堕胎させられる場面は辛かったですし、桜子の父が娘に黙って廓に追借金をしていたことが判明したときは、“コラー!オトン!!娘を売るだけでは物足りず、追加で借金して娘の年季を延ばすなんて、マジであり得へんし(ꐦ°᷄д°᷅)!!”と、つい激オコしてしまいました(汗)。
そんな訳で物語の世界に没入しつつも、途中までは“今回は謎解き要素は薄めなのかな・・”と思いながら読んでいたのですが、第四部の言耶の推理パートでは、ちゃんとミステリとして楽しめたのでその辺も満足でございます。
結局“幽女”とは何だったのか、〈金瓶梅楼〉の女将や遣り手の“おばやん”がひた隠しにしていた事柄の真相は明確には解らないままでしたが、「追記」での“匂わせ”が、何とも言えない余韻を残した印象ですね。
・・ということで、読み応えガッツリのホラー&ミステリin遊郭を堪能させて頂きました~。
さて、次は長編『碆霊の如き祀るもの』を読もうか、短編集『生霊の如き重るもの』にしようか、ワクワクしながら迷っております~。 -
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古い家に住むことになった夫婦。引っ越し早々、家の中で妙な物音や視線を感じ始め、徐々に「何か」が棲んでいる気配に気づく。妻は恐怖に耐えながらも家の過去を調べ、かつて住んでいた家族の不穏な出来事や、語られぬ因縁にたどり着く。やがてその「こわいもの」が現実に干渉し始め、平穏だった生活は崩壊寸前に──。
三津田信三さんらしい、じわじわとにじり寄る恐怖が読者を包み込む一冊。派手な演出はないが、静かな描写と繊細な心理の変化がリアルで、読後も残る“気配”に背筋が寒くなる。ホラーというより、“存在するかもしれない”不安と向き合う文学作品のよう。タイトルの通り、「こわいもの」はどこの家にも棲んでいるのかもしれない、と思わせる余韻が秀逸。
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三津田作品2冊目。ハマってしまいそうなムーブ。前から言ってるけど澤村伊智と似ている。澤村伊智から毒気(人怖)を引くと、三津田信三になる感じか。いや澤村伊智が三津田信三に影響されたんだね。ただ怖いだけじゃなくて思わぬ伏線回収があるところも癖になる。
この短編集も基本僕(三津田氏)が人から聞いた実話怪談という体で語られる(本当に聞いた話なのかもだけど)。
『怪談のテープ起こし』でもそうだったが、今作も怪異の解明はされず謎のまま終わる。三津田作品の特色なのか。
【収録作品】
「夢の家」
異業種交流会で出会った女性に次第に異様さを感じた男が夢の中で女に追い詰められていく。
夢の話が怖い。誘われるまま門扉から庭、玄関先へと日に日に家に近づいてしまう……
「ついてくるもの」
空き家の裏庭にあった雛壇からお雛様を持ってきてしまった日から私に降りかかった恐ろしい災厄。
これが一番恐ろしかったかも。手足目が片方欠損した雛人形も謎だけど、なぜお雛様だけ無事なのか。雛壇を見つけてしまった日からもう彼女は魅入られていたのかもしれない。
「ルームシェアの怪」
四人でルームシェアをしている主人公が2階の部屋の女性の不気味な行動に悩まされる。
終盤、思わぬ真相が判明する。わけがわからないけど怖いってこういう状態のことを言うのだろう。
「祝儀絵」
叔母が古道具屋で購入した婚礼の絵をプレゼントされてから、婚約者だと騙る女の存在に脅かされる語り手男性。
これは……いろいろと違う意味で怖かった。叔母の心境を想像するとより恐ろしい。
「八幡藪知らず」
決して入ってはいけない〈無女森〉に入る計画を立てた恵太たち。翌日から恵太の家の郵便受けに中止を促す謎のメッセージが……
解説の千街さんも書いてるけど少年同士の引くに引けないで決行せざるを得ない流れがリアル。
「裏の家の子供」
中古の一軒家に住んだ女性が子供の足音や騒ぐ声に脅かされる。
裏の家を女性が訪ねたときの女の子の描写がめちゃ怖い。戸口から床に寝そべっているような感じで顔しか見えないの。騒音の正体が2段階でわかるのも怖いけど面白かった。
「百物語憑け」
著者デビュー作出版当時、百物語の不気味な符号に合った話。短編そのものよりデビュー作『ホラー作家の住む家』に興味が出た。