三津田信三のレビュー一覧

  • 生霊の如き重るもの

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    刀城言耶短編集2。短編にちょうどいい感じで謎解きと怪異がブレンドされていて、とにかく引き込まれる。短編間で共通のテーマと異なる個性が織り成されていて、全体としての読み応えもある。マイベストを選ぶとすれば表題作かな。最後のも変わった趣向でよかった。

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    2019年07月07日
  • 碆霊の如き祀るもの

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    ネタバレ

    4つめの怪談話がとにかく怖くて「黒いひょろ長い胴体がグネグネしてた」ってのが、実際は 爺さんが3人肩車してバランス崩してグラグラしていただけと思うとかなり笑える。

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    2019年07月06日
  • 黒面の狐

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    犯人の推理が二転三転したり、説明のつかない謎の存在を残すところなど刀城言耶シリーズを彷彿とさせる。新しさは感じないものの誰が犯人なのか最後の最後まできりきり舞いさせられ、後半に進むほどおもしろかった。
    全体的なホラー要素は控えめだけれど、“地の底で誘惑してくる白い肌の魔性の女”という怖淫靡なゾクゾクと冒頭の老炭鉱夫の話だけで十分刺激的。
    炭鉱という歴史に生きた人々の運命の悲哀がいつまでも尾を引くラストで、かの青年の手記のような時代を再びくり返すことこそ真に恐ろしいとしみじみ思う。

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    2019年05月07日
  • 碆霊の如き祀るもの

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    険しい山と海で隔離された5つの村に伝わる時代の違う怪談。それに興味を持って村を訪ねる刀城言耶と編集者一行が巻き込まれる怪談の語りを彷彿させる不審死。竹藪の中での餓死とか目撃者のいる中での物見櫓からの失踪とか設定にわくわくする。謎の解明が二転三転するのはいつもだけど今回は慣れたせいなのか始めの方はそうか!と関心したけど後の方はどうも取ってつけた感が。でも事件の謎を追っていくと明らかになる怪談の裏に隠れた真相が物悲しくて良いし最後の締めの不条理感は健在。

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    2019年04月17日
  • 忌館 ホラー作家の棲む家

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    ・燠火(おきび)火勢が盛んで赤く熱した炭火。おこし火。薪が燃えたあとの赤くなったもの。おき。
    ・澱(おり)液体の中に沈んで底にたまった滓。
    ・嚆矢(こうし)「荘子在宥」より。昔、中国で合戦の初めに、かぶら矢を敵陣に向けて射かけたことから、物事のはじめ。最初。
    ・斟酌(しんしゃく)相手の事情・心情などをくみとること。
    ・窃視(せっし)こっそりとのぞき見ること。

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    2019年04月17日
  • 誰かの家

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    雑誌に連載した短編ホラー6編を収録。個人的には鄙びた湯治場で筆者が遭遇する不思議な体験を描いた「湯治場の客」が、ほんのりと色っぽさもあってお気に入り。ほかの作品も少しずつ読後感が異なり、満足感のある一冊に仕上がっている。

    また、日下三蔵の解説も、ホラー小説のガイド的な読み方もできる充実したものになっていて、しっかりと本の価値を高めているのもよい。

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    2019年04月07日
  • 碆霊の如き祀るもの

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    序盤に綴られる4つの怪談はじわじわと恐怖を醸し出し読者を圧倒します。
    その後事件が発生するまでが長くやや退屈ではありますが、70にもなる謎の列挙から試行錯誤を繰り返し矛盾無く解決する刀城言耶の推理は圧巻。竹林の密室殺人のトリックやエンディングの強烈さも印象的で、高い完成度を誇る作品だと思います。

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    2019年02月02日
  • 碆霊の如き祀るもの

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    刀城言耶モノとしては久しぶりの作品。
    前作は肩透かしの一作だったが、今回はまさしく三津田ワールド全開。
    怪異な話が4本続き、そこから連続殺人事件が繰り広げられる。しかも密室条件付き!

    が、何故か満足感は今一つ。こちらの期待が高くハードルが上がったのは仕方ないとしても、話が走らない。
    殺人事件が起きるまですでに200ページ、そこからはテンポは良いが捜査側も全く精彩がないし、動機も犯人もさほど意外性もなく、次々に解き明かされる謎もあまり深さを感じなかった。

    読みにくいキャラ名や地名は毎度のことながら、不要なモノが多すぎた。

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    2019年01月14日
  • 水魑の如き沈むもの

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    刀城言耶第5長編。期待を裏切らない圧巻の内容だった。何がどうなっているのかさっぱりわからない状況からの怒涛の展開。「解決編の中で推理し解決していく」やり方に磨きがかかっている。ちょっと無理があるのではと思う箇所もあれど、読後感はさわやか。偲ちゃんにもフォーカスが当たってうれしい。

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    2019年01月13日
  • 碆霊の如き祀るもの

    購入済み

    スッキリ

    怪談部分と謎解き部分がキレイに別れていて、結果的に読み易かったと思います。

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    2018年11月02日
  • 幽女の如き怨むもの

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    ネタバレ

    刀城言耶シリーズ 第6長編。

    戦前、戦中、戦後の遊郭を舞台にした物語で、1章は花魁となった女性の日記、2章は女将と刀城氏の会話、3章は作家 佐古荘介の原稿、そして4章で事件の種明かしを刀城氏が行うという設定になっている。

    特に印象深かったのが、1章の花魁の日記で遊郭での壮絶な生活の様子が描かれている。 本題である事件よりこちらの内容の方が頭に残っている。

    各章で女将(経営者)が代わり各々建物の名前も変わるのだが、商売の形態は同じで、別館3階より転落しする事件、事故が3階づつ起こる。

    最後の種明かしは圧巻で謎解き自体も「あっ!」と驚く解決が待っている。

    ただ1つ 追記とされる章だけが 

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    2018年10月19日
  • 碆霊の如き祀るもの

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    刀城言耶シリーズ第9弾。
    海と断崖に閉ざされた寒村で、怪談をなぞるように次々と不可解な殺人事件が起こり、居合わせた刀城言耶が古くから伝わる怪談と殺人事件の謎に挑む。
    やはり三津田信三ではこのシリーズが一番好き。じっとりと重厚なホラーテイストで、特に怪談はゾクゾクと怖い。
    殺人事件の解決はそれに比べるといまいち盛り上がりに欠けるが、ラストでまたスーッと背筋が寒くなるのがこのシリーズの醍醐味。

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    2018年10月17日
  • 碆霊の如き祀るもの

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    刀城言耶シリーズ最新作。
    冒頭に語られる四つの怪談。それになぞらえるかのような連続殺人事件。
    いずれも密室状態という、刀城でなくても堪らなく興味を惹かれる…というかと言えば、むしろどんどん陰鬱になっていくような雰囲気。
    閉塞的な寒村、歴史を遡ればおぞましくも悲しいほどに貧しいことが印象的で、多分こうしたことは日本だけでなく世界中どこにでもあったのではないかとも思える。
    結局刀城が解き明かした真実は明るみにはならない。そうしても意味のない、誰も救われないことが分かっている。
    その結末もまた同様。
    それでも刀城は全国を訪ね歩くのだろう。
    事件の構図としてはなかなか面白い。シリーズ作品はここ最近下降

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    2018年09月30日
  • 碆霊の如き祀るもの

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    刀城言耶シリーズ久しぶりの新作。
    いつもの「土着風俗」を背景にした殺人事件が・・という流れ。
    まあぶっちゃけたこと言うと、トリックというか真相は幾分予想できた流れだったり「え?マジでそれだけ?」な肩透かし感もなくはなかったですが、なんともおどろおどろしい雰囲気だったりするいつもの世界観を堪能できただけでも非常に満足。もっというと新作が読めただけで満足だったりもしますw

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    2018年09月19日
  • 碆霊の如き祀るもの

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    ネタバレ

    いくつもの仮説が出され、そのたびにウンウンと思うが実はそうではないというのが続いて、一体真実はどうなのともどかしい。
    それにしても怪談は怖いし、後味ももやもやしたものが残る。とりあえず夏の間に読んでしまえてよかった。

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    2018年08月30日
  • 作者不詳 ミステリ作家の読む本 (下)

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    ホラーとミステリーの融合っぷりが秀逸な本作。お気に入りです。
    謎の同人誌『迷宮草子』の作品を1篇ずつ読むといういわゆる作中作パートと、それを読んだが故に怪異に襲われ『迷宮草子』のその作品の謎を解く(解釈する)パートとが交互に挿入されており、グイグイ読ませます。『迷宮草子』はそれぞれホラーとして趣向が違っていてどれも面白いのですが、「朱雀の化物」「首の館」辺りが一番私の好みかな。ラストに向かっての毎度二転三転する展開、面白かった。

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    2018年08月09日
  • 凶鳥の如き忌むもの

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    最後がちょっと不気味とはいえ、自分が読んだ中では初めて、いわゆる物の怪が関与せず、人力のみで犯罪が完結された物語。そのせいもあってか、解説でも書かれているように、いわゆる本格ミステリ色が濃厚。でもわたし、そっち方向は望んでないのです。いかに本格ミステリとの差別化がなされるか、ってのが本シリーズの見どころと思っているので、もちろんクォリティは申し分がないのは認めるけど、シリーズ中ではちょっと低めの評価かも。

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    2018年07月28日
  • 碆霊の如き祀るもの

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    タイトルで一目瞭然の刀城言耶シリーズ。
    冒頭の4つの怪談から凄く面白い。そして怪談になぞられる様に起こる4つの不可能事件。怪談の方はウヤムヤな結末でも構わないが、事件は論理的に解決しなければならない。刀城はいつもの如く仮説の推理を組み立てては壊しを繰り返して、やがて真相に辿り着く。
    トリック的に一番良かったのは最初の事件で、残りの3つはちょっと苦しい。それでも、ホラーとミステリの融合は今回も成功していたし、このジャンルで著者の右に出る者は当分現れないだろう。

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    2018年07月22日
  • 山魔の如き嗤うもの

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    三津田信三さんの、刀城言耶シリーズ。奥戸(くまど)と呼ばれる地域に伝わる忌み山、乎山(かなやま)。この山には山魔(やまんま)と呼ばれる山神様がいるとされていた。ある時、この土地に伝わる成人参りの儀式をしていた郷木靖美(ごうぎのぶよし)は、山の中で様々な怪異に逢い、忌み山に入ってしまう。そこで一軒の家を見つけ、奇妙な家族に一晩お世話になるが、翌朝目を覚ますと、密室状態の家から、つい先程まで食べていた朝食を残し、一家全員が消えていたー。

    山の中の集落、連続殺人、わらべ歌の見立て殺人、と、金田一のようなベタな設定ですが、最後の最後まで犯人が分からないのがさすが。
    そして最後の最後にゾッとさせるのも

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    2018年06月21日
  • 誰かの家

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    表題作である「誰かの家」は文句無しで面白い。怪奇小説として短いながら上質。また、「ドールハウスの怪」も面白かった。設定的にはよくあるものだが、得体の知れなさからくる恐怖はさすが三津田氏といったところ。

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    2018年05月26日