三津田信三のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ刀城言耶シリーズ 第6長編。
戦前、戦中、戦後の遊郭を舞台にした物語で、1章は花魁となった女性の日記、2章は女将と刀城氏の会話、3章は作家 佐古荘介の原稿、そして4章で事件の種明かしを刀城氏が行うという設定になっている。
特に印象深かったのが、1章の花魁の日記で遊郭での壮絶な生活の様子が描かれている。 本題である事件よりこちらの内容の方が頭に残っている。
各章で女将(経営者)が代わり各々建物の名前も変わるのだが、商売の形態は同じで、別館3階より転落しする事件、事故が3階づつ起こる。
最後の種明かしは圧巻で謎解き自体も「あっ!」と驚く解決が待っている。
ただ1つ 追記とされる章だけが -
Posted by ブクログ
刀城言耶シリーズ最新作。
冒頭に語られる四つの怪談。それになぞらえるかのような連続殺人事件。
いずれも密室状態という、刀城でなくても堪らなく興味を惹かれる…というかと言えば、むしろどんどん陰鬱になっていくような雰囲気。
閉塞的な寒村、歴史を遡ればおぞましくも悲しいほどに貧しいことが印象的で、多分こうしたことは日本だけでなく世界中どこにでもあったのではないかとも思える。
結局刀城が解き明かした真実は明るみにはならない。そうしても意味のない、誰も救われないことが分かっている。
その結末もまた同様。
それでも刀城は全国を訪ね歩くのだろう。
事件の構図としてはなかなか面白い。シリーズ作品はここ最近下降 -
Posted by ブクログ
三津田信三さんの、刀城言耶シリーズ。奥戸(くまど)と呼ばれる地域に伝わる忌み山、乎山(かなやま)。この山には山魔(やまんま)と呼ばれる山神様がいるとされていた。ある時、この土地に伝わる成人参りの儀式をしていた郷木靖美(ごうぎのぶよし)は、山の中で様々な怪異に逢い、忌み山に入ってしまう。そこで一軒の家を見つけ、奇妙な家族に一晩お世話になるが、翌朝目を覚ますと、密室状態の家から、つい先程まで食べていた朝食を残し、一家全員が消えていたー。
山の中の集落、連続殺人、わらべ歌の見立て殺人、と、金田一のようなベタな設定ですが、最後の最後まで犯人が分からないのがさすが。
そして最後の最後にゾッとさせるのも