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Posted by ブクログ
怖い話には惹かれるが、読んだ後トイレやお風呂が怖くなる人は電灯をつけて
昼間に読みましょう。
怖い話には惹かれるし、読んだあともひょっとしたら怖い体験に自分も出会えたらなー、
といったタイプの向こう見ずな人は、深夜に枕元の電気スタンドだけで読みましょう。
寝返りを打とうと反対側を向いた瞬間に、この表紙の女の子が笑って
あなたを覗き込んでいるかもしれませんよ。
そんな無駄話はさておいて、本当に買ってよかったホラー本の一つでした。
読む端からゾクゾクとしたものが背筋を駆け上がります。
背後や頭上が妙に気になり、物語がおぞましい展開を見せるたび、
顔を引きつらせ、身体をこわばらせて、それでもページをめくる手は
止めることができません。
ストーリーの中身は、あくまでもよくある「怖い話」。
ネットで既に飽和状態の傾向すらある、ごくごくよくあるような怖い話です。
しかし、それをどのような文章で表現するかによって、ここまで恐怖の感じ方は
変わるのだなと舌を巻きました。
正体不明の存在が正体不明なまま、『何かわからないが怖い』で終わる点も
素晴らしいと思います。
主人公には怖い目に遭うような理由は何もない。
ただ理不尽に、何のいわれもなく、おぞましいものがヒタヒタと忍び寄る。
ホラー(特に日本的なじわ怖)が好きな人が、本当に求めている怖さの要素を
兼ね備えた本だと思います。
オススメは、『後ろ小路の町家』
Posted by ブクログ
赫眼
表題作&カバーイラスト
転校生の謎めいた女の子の家にいた禍々しいなにか…
怪奇写真作家
雑誌編集者が怪奇写真作家の自宅を訪ねる…
怪談奇談・四題
(一)旧家の祟り
数百年も続く旧家の七代末までの祟り
見下ろす家
新築されたというのに、いつまで経っても人が住む気配の無い崖の上の立派な洋風住宅
僕は、あの家が僕を見下ろしていると感じていた。
怪しい家を調べようと少年達が中へ入る…
怪談奇談・四題
(二)原因
ある日を境に悪い出来事の続くK
そのはじまりの日の出来事とは…
よなかのでんわ
5年前、仲間5人で酒の勢い行った廃墟と化した墓場から掛けているという電話
ほんまはな、お前をこっちへ呼びたかってんけど…
灰蛾男の恐怖
温泉旅館の露天風呂で出会った老人から聞いた蝙蝠男と灰蛾男の二つの事件
二通りの謎解きをしてみせた僕を襲う恐怖…
怪談奇談・四題
(三)愛犬の死
最愛の愛犬と引き換えに授かった子供
後ろ小路の町家
引っ越したばかりの京都の小路が昔の俗称では後ろ小路と呼ばれていた
『あそこを夕方に通るときは、ぼうっとせんように気ぃ付けんといかんよ。頭も心も空っぽにしとったら、後ろから何かが憑いて来てしまうから……』
怪談奇談・四題
(四)喫茶店の客
とある喫茶店で近くに座っていた女性が突然おかしなことを口走り出した。
好奇心に駆られ、聞き耳を立てた…
合わせ鏡の地獄
合わせ鏡に魅せられ、覗いてはいけないのに、覗いてしまった男の話…
死を以て貴しと為す 死相学探偵
事務所の扉を開けるなり、「俺にも死相が視えるでしょ?」と詰め寄ってきた男
彼には「死の影」など纏い付いていないのに禍々しい何かを感じる…
Posted by ブクログ
ミステリとホラーを融合させた作風といわれる三津田信三の短編集。個人的にはこの短編集にはさほどミステリ色は感じられない。また、「ホラー」というカタカナ語よりも、怪奇小説とか恐怖小説と言い表した方がよいような、独特の湿り気と粘つきを感じる。
作中で、著者の分身のような登場人物が、「昭和二十年代から三十年代の農山村や孤島などの閉鎖的な空間を舞台に、憑き物信仰や葬送儀礼といった民俗学的なテーマを題材にして、怪奇幻想色の強い探偵小説を主に書いています」と言っているが、なるほど、昭和の匂いが強いかもしれない。読みながら「口裂け女」などを思い出したりしていた。
8編の短編の間に、4つの掌編というか、ごくごく短い、聞き書きや体験談のような話が挟み込まれている。
掌編の方は、特に落ちがなく、尻切れトンボのような話もある。それが逆に真実味を帯び、妙な余韻を残す。
短編で特徴的と感じられるのは、現実と虚構を編み上げていく手法の切れ味と、読者の半歩先を行く意表の付き方のうまさである。
現実の雑誌や怪奇写真家を織り込みながら、いつの間にか、虚構の世界に引き入れられている。ほかの短編に出てきた怪異が別の短編に引き継がれるのも、既視感を後押ししている。虚構の話を何度も聞いているうちに、それが現実のことのように思えてくるのだ。
そのうえで、「来るぞ、来るぞ」と待ち構えている読者の背後から、「実はこっちだ!」と言わんばかりのひねりが入る。
全般に、この作者は「つなぐ」ことに長けているのだろう。
あちら側とこちら側の境目。現実と虚構のあわい。
作者の手引きで、そこを「つ・・・」と通り抜けたときに、自信が揺らぎ、恐怖が生まれる。
そのとき、怪異が現実にこの手元の本から浮かび上がる、または本の中の怪異の世界に引きずり込まれる錯覚に襲われるのだ。いや、それはもしかしたら「錯覚」ではないのかもしれない・・・。
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