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碆霊様を祀る、海と断崖に閉ざされた強羅地方の村々。その地を訪れた刀城言耶は、村に伝わる怪談をなぞるように起きた連続殺人事件に遭遇する。死体に残された笹舟。事件の現場となった“開かれた密室”の謎。碆霊様が遣わすという唐食船とは何なのか。言耶が真相にたどり着いたとき、驚愕の結末が訪れる。
“碆霊様”は何を祀る?
“唐食船”の正体とは?
海辺の寒村に伝わる四つの怪談。
怪談をなぞり起こる連続殺人事件。
数多の謎に、刀城言耶が挑む。
死体に残された笹舟。“開かれた密室”。
刀城言耶の訪れる先で、またも不可解な事件が起こる……
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Posted by ブクログ
シリーズ9作目にきて初心に戻ったような作品。刀城言耶シリーズの特徴を色濃く残しながらも、怪異、ミステリ、その他のバランスがとても良いです。登場人物の数や舞台の広さも絶妙で読み進めやすく、地図もありイメージもしやすいです。
今作も癖のある登場人物もいますが、その人たちと関わる時間は短く、そういった意味でも読み進めるのにストレスがありません。
それほどページ数が少ないわけではないのですが、最初にその土地で過去に起こった三つの怪談話から入り、さらに主人公一行が現地に着くまでのほのぼのパートもあるため、結構サラッと読めてしまいます。
長編ミステリでありがちな、何ページもウンチクが書かれたりもしていないので、初心者の方にもおすすめです。
Posted by ブクログ
刀城言耶は、碆霊様を祀る海と断崖に閉ざされた強羅地方を訪れた。
村に伝わる不気味な伝承をなぞるような四件の連続殺人事件に行き合う。同行する祖父江偲と共に、今再び怪異に挑む。刀城言耶シリーズ第九弾。
舞台設定の出来は驚異的。
村の様子や設定が細かく描写されており、まるで本当に存在する村であるかのように錯覚させられる。特に、昔の特幽村が極貧の寒村である描写が良かった。資源も土地もいまいちな村で、蛸漁をする村人たち。どんよりと曇った低い空まで目の前に浮かぶほどで、非常に気が塞ぐ。村の大人たちのどことなく疲れた虚ろな目が、ちゃんと言われずとも分かる。丁寧な描写力こそ、三津田信三の妙であると思う。
竹林宮で及位廉也が餓死した事件。
殺人事件で餓死を扱うのはかなり珍しい気がする。どう料理されるのか、ずっと気になっていた。紐解かれたのは、かなり悍ましい真相だった。及位氏が虫の息になるまでの様子は、かなり哀れなものだったのではないだろうか。及位視点で最後の半日程の記録を読んでみたくなる。
謎解きシーンが少しもたついた印象。
というのも、本作の答え合わせは、刀城言耶の思考を段階を踏んでしっかり詳細にトレースしている。しかし、私は探偵役に勝負を挑むような読み方をしない読者である。故に、いくつもの仮説を否定する工程がもたつきに思えてしまったのだと思う。正直、正解ルートの提示だけで良かったかなと思う。
Posted by ブクログ
【短評】
決して悪くはないのだが、過去作と比較すると物足りない印象。
まず、冒頭に「碆霊様(はえだまさま)」に纏わる四つの怪談を配置する構成は、導入として効果的だったと思う。碆霊信仰の得体の知れない薄気味悪さは本作の雰囲気作りに一役買っていたし、強羅地方の地理を頭に入れるという点でも奏功していた。刀城言耶シリーズは登場人物や地理を把握するのに苦労する(苦痛、ではない)ので、こうした工夫はありがたかった。一方で、各話の恐怖度がイマイチであり、良くも悪くも「触り」になってしまったのは残念。ただし「蛇道の怪」は良かった。”段々振り返っている”という趣向はさすが三津田信三と唸らされた。
導入部のお陰が、シリーズ屈指の読み易さだったと思う。どこで何が起きているか、スッと頭に入ってくるので連続殺人事件に集中することが出来た。中でも竹林宮の殺人は状況の不可解さが群を抜いており、その真相も含めて非常に評価している。
高評価に至らなかったのは意外性の無さといったところか。回り道をして正道に戻る構成というか、論理的には正しいかもしれないが、何というか、もっと吃驚させて欲しかったなと思う。
最後に、本作の幕引きは見事の一言。最終3ページの展開だけで1点追加しても良いと思う程に。伏線が綺麗に発動すると言う意味において、本筋のミステリィを凌駕してさえいると思う。
【気に入った点】
●「蛇道の怪」が良かった。断続的に立ち現れ、それが徐々に迫っているというのはやはり怖い。暗闇の山道という逃げ場の無さも含め、緊張感に溢れた良作だったと思う。
●竹林宮の殺人の真相。発想という点では間抜けですらあるが、あそこまでシンプルな仕掛けで矛盾なくあの奇妙な状況を現出させるのは、素直に凄いと思った。
【気になった点】
●「**の睨んだ通り」ってのは着地点としては微妙。個人的にはそれを否定するのがミステリィじゃろがいって思ってしまう。無論、それだけではなく、背景には複雑な因果はあるのだが、楽しみにしていたご馳走を取り上げられたような気分になった
●「逆」という設定に必然性が無い。物語を複雑にし、因果関係を隠蔽するために組み込まれたとしか思えなかった。これ「順」でも問題ないのでは?と思ってしまった。
●主観的な視点の欠如。本作は基本的に「外から眺める」構成になっているが、どうにも全体的に淡々とした印象が強い。四つの怪談話も然り。”真相”の当事者である誰かの目線に依れば、文字通り真に迫る物語が紡げたのではないかと、素人ながら思ったりもした。凄絶なお話がスッと流れた印象がある。
要所要所に光るものはあるが、全体的には振るわなかったかな。過去作との比較を避け得ないシリーズ物の宿命だろう。ただ、キャラたちへの愛着は十分にあるので、今後も楽しく読み進めることだろう。
全体的に酷評めいたが、本作のラストはマジで素晴らしい。この点だけは手放しで褒めることが出来る。本当に大好物な展開であった。
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