【感想・ネタバレ】水魑の如き沈むもののレビュー

あらすじ

水神を祀る四つの村。奇怪な雨乞いの儀式。湖上の密室殺人。神男たちは次々と……奈良の山奥、波美地方の"水魑様"を祀る四つの村で、数年ぶりに風変わりな雨乞いの儀式が行われる。儀式の日、この地を訪れていた刀城言耶の眼前で起こる不可能犯罪。今、神男連続殺人の幕が切って落とされた。ホラーとミステリの見事な融合。シリーズ集大成と言える第10回本格ミステリ大賞に輝く第五長編。

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Posted by ブクログ

ホラーミステリである刀城言耶シリーズの中ではミステリ色の強い作品。それがそのまま評価に繋がっているようで、ミステリ好きには好評、ホラー好きには物足りないというレビューが多いです。
確かに分かりやすい、直接的な怪異描写は、シリーズ他作品に比べて少ないです。相変わらず舞台となる土地や建物のおどろおどろしい雰囲気は抜群な分、肩透かしを喰らう印象を受けるののもあるのかも知れません。今作でも人知を超えたものは存在しますし、この辺りは読み手の想像力の差も評価に影響してくると思います。
ミステリに関しては評価通りシンプルに素晴らしいです。詳細はどう書いても少なからずネタバレになるので避けますが、とにかく大胆です(トリック犯人の行動ではなく、伏線とかミスリードなどな部分で)。

興味深いのは、今作は女性読者からかなり厳しいレビューが散見されます。元々女性的には作者の人物描写に薄さを感じてい人が多いらしいのですが、今作ではそれが強く感じられてしまうようです。また今作では警察が全くと言っていいほど機能していないのですが、その理由が非現実的過ぎるという指摘も多いです。男性読者は人物描写よりも舞台や時代背景などの描写に重きを置くことが多いのでツッコミは少ない印象です。女性で刀城言耶シリーズを初めて読もうと思っている方は、別作品を選んだ方が良いかも知れません("山魔の如き嗤うもの"辺りが高評価なようです)。
個人的には警察不介入の理由は十分納得してます(雪山密室とかいくらでも自然な理由付けはあるのにというレビューもありますが、人知を超えたものの力を否定できないものを描いている本シリーズにおいては今作の理由の方がしっくり感じます)。
また人物描写の薄さは、本シリーズの特徴であり、魅力にも繋がっていると思います。確かに人物の魅力だけでご飯何杯も食べられるミステリにも沢山出会ってきましたのでミステリだから人物描写を疎かにしていいとは全く思いません。しかし本シリーズにおいては、絶妙に抑えた人物描写が他の多くの要素の魅力を際立たせているように思えてなりません。例えば主人公である刀城言耶は探偵役でありますが、他の有名ミステリの探偵に比べると普通です。そんな彼にも聞いた事のない怪異の話を耳にすると、普段は温厚なのに我を忘れ、詳細を聞くまで相手を攻め続けてしまうという唯一の癖があります。人物描写に不満な方の意見では魅力に繋がらない特徴と書かれますが、初めは驚いた登場人物が、慣れてくると他の登場人物の前でわざと刀城言耶に怪異の話を聞かせて面白がるなど、他人を介して魅力が示されます。確かに呪いや祟り、辛い風習などが蔓延る土地の重苦しい空気をを自分自身の魅力で吹き飛ばすような探偵役ではありませんが、少しだけ暖かい風を吹き込むことができます。ホラーな世界観を壊すことなく適度な安心感を感じさせてくれるのが心地良いです。

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2025年12月07日

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 怪奇幻想作家である刀城言耶の怪異憚蒐集に編集者の祖父江偲が同行するいつもとは違うパターンで始まり、湖上での儀式の最中に密室殺人が起こり、連続殺人事件に繋がっていくストーリーで、民俗学要素のホラーと多重解決ミステリーが融合していて唯一無二の面白さだった。

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2024年06月26日

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刀城言耶シリーズ第五長編。水神水魑様の儀式の最中に起こった密室殺人を皮切りに、次々と神男が殺されていく。練り上げられた舞台の設定と、それを活かした事件の真相、トリック・動機に驚愕。解決編の伏線回収も圧巻。

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2023年05月04日

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なんだこのぶっ飛んだ儀式はww…………(T^T)

〜あらすじ〜
水神を祀る四つの村。奇怪な雨乞いの儀式。湖上の密室殺人。神男たちは次々と……奈良の山奥、波美地方の"水魑様"を祀る四つの村で、数年ぶりに風変わりな雨乞いの儀式が行われる。儀式の日、この地を訪れていた刀城言耶の眼前で起こる不可能犯罪。今、神男連続殺人の幕が切って落とされた。ホラーとミステリの見事な融合。シリーズ集大成と言える第10回本格ミステリ大賞に輝く第五長編。

刀城言耶シリーズ第6弾!!
今回のシリーズ!いつもと様子がちゃう……
いつもなら禍々しさを突っ走ってく言耶ワールド
しかし今回は……めちゃ笑えるーーww
その一因はなんと!今回は!まさかの!あの!
そう!祖父江偲ちゃんが言耶に同行している!
わぁーい!!
この子がめちゃいい味出してる〜ww
今までなかった和やかさ!そんな!祖父江偲ちゃんに
拍手!!大活躍でしたww
物語の始まりは言耶、偲ちゃん、阿武隈川烏の
3人のやり取りから始まるのですが……めちゃ
笑えますww偲ちゃんめちゃ阿武隈川さんを手のひらで転がしとる〜ww なんやいつもの感じと違うやんと終始和やかムード…………が!!
皆さん!
これは刀城言耶シリーズですよ!
三津田信三作品ですよ!
和やかで終わらすはずがない!!
怖い描写ではガッツリ!背筋を凍らせて
ゾッとさせてきます。
油断は禁物ですぞ!!
そしていよいよ村に、到着し、噂の水魑様の儀に
参加するのですが…………やばい!
とにかく!この儀式がめちゃやばい!!
恐らく、皆さん儀式の本当の真実を知った瞬間
口を揃えて言うでしょう………………
『オーマイガーッッッ!!』とww
それぐらい衝撃でした(T^T)
そしてそれだけでは終わらせない!刀城言耶
この儀式のどさくさに紛れての連続殺人……
も〜〜〜う〜お腹いっぱいだよーww

でもね!ちゃんと推理したましたよ!
晴れの日も〜晴れの日も〜めげずに!
そして!いざ!犯人を絞込み!
多重解決の嵐にいざ行かん!!
…………(´・_・`)……ハズレたぁぁぁぁぉぁww
いやそれでも!!ラストの衝撃!!
泣けるーーー!!
色々思い出してきたーーー!!
なんかめちゃかっこいい人でてくるわぁーー!!
と言う様に余韻が凄かった……(T^T)
かなり僕的にはめちゃ面白かった
そして楽しめた作品でした〜!
皆さんも是非宜しければ読んでくだされ〜

最後に一言……「あの人の未来に幸あれ」以上!
ww

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2023年03月03日

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刀城言耶シリーズ第5弾!

今回もしてやられたぁ〜!!

しかし!全く悔しくない、衝撃のラストです!!
(≧∇≦)



え〜、こちら、フレンドと推理バトルの課題本としました。

めっちゃじっくり読みました!
何度も何度も読み返しました!

満を持しての犯人当ての結果は…(-∀-`; )

…まぁ、当たらんよね笑笑


刀城言耶に全く歯が立たず!でしたぁ。

今回は奈良の山奥の湖で起こった殺人事件なのですが、この沈深湖には『水魑様』という神がいるそうです。

晴天が続くと水不足となり、田んぼが枯れてしまうので、増儀と言われる雨乞いの儀式を行います。
(逆に降りすぎたら、減儀の儀式を行う。)
過去に2度、不審死と行方不明の事故があったという事。

儀式を控えたある日、刀城言耶と祖父江偲が村に到着する。

前半の、言耶と偲と阿武隈川烏とのやり取りにほんわかしました。(*´꒳​`*)~❀

この巻まで想像していた言耶のイメージと少し印象が変わりました。(かなり良い意味で。)

ホラー味は、少なめだったように感じます。
物足りないという訳ではなく、程よく軽いトリハダレベル。

ミステリー要素が強めだったような感じ。
(当たり前か(^▽^;))

毎度言耶の多重推理にしてやられる訳ですが、やられるのがタマラナイデス…(ღ*ˇ ˇ*)。o♡

三津田作品、やっぱりどれを読んでも面白い!!

超超おすすめです!!!




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2023年03月02日

購入済み

雰囲気が大好き

このシリーズは、閉ざされた村の独特な雰囲気が大好きです。怪奇の描写もすごくゾッとして、展開も早いので夢中で読みました!

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2021年11月21日

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刀城言耶シリーズ、第五作。本格ミステリ大賞受賞作。いや〜(シリーズイチ)面白かった!!700p以上あったのに、あっという間でした^^ 他シリーズ関連の名がでてくるとやはりワクワクしますね。もうなんて書いていいのやら——。個人的にパーフェクトでした!星五つ。

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2019年04月02日

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シリーズ最長編の名に恥じない、重厚さと濃厚さ。偲のキャラクターもいいアクセントになっている。事件の真相は勿論、それに伴って明かされる儀式の真実のインパクトが物凄い。

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2017年07月02日

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『その土地に密着した宗教者という存在は、しばしば家とか家族とか個人とかという単位を超えて、完全に地域の一部と化す場合がある。

言わば自然のようなものだ。』

このシリーズも面白いな。一作目から読みたくなった(@ ̄ρ ̄@)ミステリのガジェットが詰め込まれていて最高!

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2016年12月30日

Posted by ブクログ

面白シリーズですね、やっぱり。分量が更にアップしていることもあり、読み応え抜群でした。冗長なだけでダレるということもなく、スーパーナチュラルな存在を仄めかせ続けることによって、一定以上の緊張感を維持することに見事に成功してます。地方ならではの因習に絡んだ事件が起こる展開はいつも通りなんだけど、それがある意味安心感に繋がっていて、信頼のブランドって感じです。かといってマンネリ化って訳でもなく、今回は、謎が結構なところまで解決されている(ように思える)点はいつもとちょっと違うかも。

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2016年11月09日

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偲さんとの掛け合いなどエンタメ要素もあり、ホラー苦手だけど刀城言耶シリーズの独特の雰囲気が好きでついつい読まずにいられない自分からしたらびびりすぎず、一番読みやすかった。
四つの神社をめぐってドロドロした人間関係が築かれていく、というのも設定として面白くて、かつそれぞれでキャラ付けもしっかりしてるから読んでて面白い。游魔さんのまっすぐな感じ良かった。
このシリーズは最後ぞぞぞ!っとなるけど珍しく爽やかな終わり方で良かった。
これまで読んだ中だと首無の次に好きな作品。
結末が二転三転するのはいつも通りのお約束。笑

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2025年12月07日

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ネタバレ

他のシリーズよりミステリー強めです!
結末はスッキリしたハッピーエンドだった。

結構他の作品と関係ある人物、ワードが出てきて「あっ!」となりました!
首が伸びる女怪異や蔵の中の這いずり回る怪異はなんとなく百蛇堂、蛇棺葬に登場する怪異に似てる気がしました。ただ蛇迂郡它邑町の近くなので蛇を連想させる怪異が多めなだけかもしれませんが。

私は関西出身なので関西弁(大阪弁)を話す祖父江偲が多く登場するのは個人的には嬉しかったです!

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2025年09月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今作は出だしや序盤でオカルト色が強すぎる感じがした。
クロ先輩の話では、(能力を持つという)修験者たちからの水使神社には超常的な力や仕掛けがあるという話を当たり前のように受け入れているし、正一少年の話でも一つ目蔵の周囲に結界が張られているというように、異能を当たり前のように出してきていて、拍子抜けというか残念というか。
刀城言耶シリーズは、「一見オカルトに見える事件が推理で解き明かせる」。そして「(解明される直前の)最終版までオカルト的な気味悪さ・怖さが残る」というのが良さだと思っていたので、作品中で超常現象が肯定されているとその良さが死んでしまい、論理や常識を飛び越えてどうとでもできるようになってしまうのではないかとの危惧を覚えた。
発刊された順番を調べると、首なし→山魔→本作の順だったので、最後に怪異が出てきて犯人一味を穴に連れ去った『山魔の如き・・』からシリーズの流れが変わったのかもしれないと思った。

その点を置いておけば、作中での(特徴的な)面白さは健在で、游魔が儀式中の殺人の犯人だと思った途端に、正一と共に行動しており実行不能だったり、ボンベでの潜水のアイディアは推理に利用されたりで、常にこちらの思っていることの先を行ってくる。
正造じいさんが犯人説も思いついていたが、それも作中で否定された。
読みながら読者が推理していることの先をちょうど良く行きながら、オチもおかしくない。この書き方はスゴいと思う。
被害者(:死んだと思った人物)が真犯人であるというのは推理小説の常套手段であるのに、それでも小夜子が犯人であるとは考えられなかった。被害者になったのが物語の時系列では最初でも、文中では終盤だったからなのだろうか。

終わりもハッピーエンドで文句なし。
『首なし・・』を読んでいなければ星5だったのだが、
あの整合性のとれた推理とそれをあっさり否定し、さらにもっともらしい推理を持ち出してきた展開の驚きと、真相がわかっても何が真実か掴みきれない気味悪い読後感を知った後だと、どうしても見劣りしてしまう感じがする。高望みなのはわかっているのだが・・。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

前作よりさらにホラー感少なめ、というか、首無しのホラー感が強かっただけか。
今までと違い爽やかな読後感。作中も偲ちゃんのおかげで柔らかくなっている。ここが評価の分かれる所だと思うが、ちょっと頑張ってホラーを読んでいる自分としては、今作が一番読みやすい。

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2024年01月05日

Posted by ブクログ

『サギリ』と来て、主人公がピンとこないところを見るとまだシリーズ一作目の前日譚なのかな?

と、
それはさておき、このシリーズ、怪異的なものは沢山出て来るものの実はそれが犯人の意図したトリックの一部だったり、たまたまそう見えてしまった結果だったりと最後の解決編で説明なり回収なり解明出来ることが殆どで、本当の怪異のありかは大団円のあと、最後の一頁でまさにゾッとさせられるという流れが確立されていた…が、今回は異例の非常に爽やかな結末。 


アレ? と思いつつ、回想してみると…あるじゃない!
未解決の案件! 少年の見聞きは霊感体質の彼特有のものとして、冒頭の主人公によるお馴染みの覚書でも触れられている主人公と霊感少年以外に一章がマルっと主観表現で綴られている人物! そしてカノジョに起きた怪異! あれは何? 誰?

最後に『異例』と記したけれど、この結びは個人的には大好物! 残った人たちには末永く幸せであって欲しいな。

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2019年10月14日

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刀城言耶第5長編。期待を裏切らない圧巻の内容だった。何がどうなっているのかさっぱりわからない状況からの怒涛の展開。「解決編の中で推理し解決していく」やり方に磨きがかかっている。ちょっと無理があるのではと思う箇所もあれど、読後感はさわやか。偲ちゃんにもフォーカスが当たってうれしい。

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2019年01月13日

Posted by ブクログ

今回は異様な世界にどっぷり浸かることができた。雨の中に立ってる蓑をまとった人影は、人間であるはずなのに、もしかしたら…と感じれるほどに。奈良県蛇迂郡とか、神々櫛村のサギリとか、三津田作品読者にとっては「うっ…」となる設定も心憎い。

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2017年08月16日

Posted by ブクログ

適度に予想外で、適度に納得できる真相。満足。水上密室の謎がとても魅力的でグイグイ読めた。シリーズを追うごとに読みやすくなっているんじゃないかな。ただ偲の存在だけがラノベ的でやっぱり浮いている。このシリーズにラブもコメも求めていないので、ベタベタ付きまとう偲にちょっとうんざりしてしまった。謎解きはミスリーディング一発勝負といった感じ。あれこれ疑ったけどどれも違った。疑問点を羅列するいつものやりかたもグッとくる。次作も楽しみ。

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2017年05月04日

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ホラー感は薄まった分、ミステリとして面白かったです。
このシリーズはいつも最後まで楽しませてくれます。

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2016年03月18日

Posted by ブクログ

前作等と比べると、さほどホラー味は強くなかった。
しかし、閉ざされた村に残る怪しい風習は忌まわしい雰囲気たっぷりで、
さんざん散りばめた伏線を見事に回収するラストは
シリーズナンバーワンの面白さだった。

某宮司の胸糞の悪くなるクズっぷりもこの作品の大きな魅力。

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2017年01月08日

Posted by ブクログ

刀城言耶シリーズ第5弾。

波美地方の5つの地域(神社)での、雨を降らしたり止ましたりする儀式を舞台に殺人事件が起こる。

みづち様を祭り沈深湖での儀式の最中に十数年前にりゅうじの息子のりゅう一が死亡。(その前に水分辰男が死亡)
そして刀城言耶が訪れている最中にりゅうじの二男りゅう三が死亡。

そして次々に宮司が殺されていく。




りゅうじは皆に知られぬように密かに、湖に沈める樽に生贄となる人間を入れていた。

さぎりの子供3人のうち長女の鶴子を生贄にするつもりだったのだが、次女の小夜子をりゅう三が仕切る儀式の最中に生贄とした。

辰男の死は事故であったようだが、りゅう一は生贄となった男が樽から逃げ出しりゅう一を殺した。

りゅう三の死が最後まで謎であったが、一旦はさぎの長男(末っ子)の正一が犯人と決定づけるのだが、最後の最後で次女の小夜子が真犯人と分かる。

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2015年06月30日

Posted by ブクログ

力作。毎度思うのですが三津田先生の作品、こういうおどろおどろしい村、そして一癖ありそうな登場人物達を創造する労力ってのが凄いと思います。その結果が、この作品にもあるような、前半の延々とした物語・民俗学的な背景(設定…)の説明部分なんでしょうな。伏線としてネタを散りばめる必要もあるのでしょうが、それ以上にこの前半に持ってくる雰囲気作りがね、毎回すごく好みです。
今回、祖父江偲ちゃんも出ずっぱりで楽しかった。ラストの推理してはそれを崩すの二転三転も相変わらず健在。お腹いっぱいですw

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2015年05月12日

Posted by ブクログ

水魑が水の神様という存在だからか、今回の作品にはおどろおどろしい恨みつらみの怨念ただよう怖さは少なかった。

連続殺人にしたのは少し無理がある気がする。謎解きを盛り上げるためだろうけど、犯人側の心理としたらあの人だけ殺せば満足なはず…と


特攻隊の話もでていて、ほんとあの戦争は日本人が日本人の命を軽く扱っていたなと心が痛くなる

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2025年01月14日

Posted by ブクログ

やはりこのシリーズは俺には難しすぎる。最後らへんの仮説の定立と否定、論理のどんでん返し、みたいなあたりはとくに理解がおよばない。
とはいえ謎解きそのものの理屈はそんなに難しくなかったので一応理解できたのでよかった。
怪異や怖い存在の描き方は本当に不気味で恐ろしく、さすがだなあという感じ。儀式も怖いしその由来も怖い。夜に一人で読んでいると普通に怖くなる。たまらない筆致。

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2023年10月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

祖父江さんと阿武隈川さんのキャラがどうにもこのお話のテイストと合わないので、この二人はいらない気がしてしまう。すいません、先生…… それで欲しい4つから一つ消しました。

今回は特にお話の登場人物のキャラが立ってたし、習わしに対して盲目的狂信的な人物の描き方が良かった!言耶が推理を何度も組み直すのはシリーズ定番なのでこれは多分別に真相あんだろうなと思ったけど。ハッピーエンドでよかった。神々櫛とさぎり、にはびっくりしたけど。ここで絡めてくるのかと。正一少年はどうなったんだろうなあ。どこかで生きてるのだろうか。

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2023年10月15日

Posted by ブクログ

★3.7くらい
ホラーのテイストが若干物足りなかった気がする(もしかしたら麻痺し出してるのかもしれない)けど、本格推理の箇所は楽しめた。完全に犯人読めたな…って思ったのに…

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2022年07月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

氏の作品では「厭魅」は衝撃的だった。その時の衝撃や感動は残念ながら味わえなかった。
ただ、横溝正史や京極堂にも通じる民俗学、怪異譚を調味料にして、本格ミステリを十二分に楽しませてくれる。

本作は700ページオーバーの文庫本で、いささか冗長に感じた。とは言え、後半の展開は怒涛でありラストはこの手の作品としては明るい終わり方で、好感が持てた。

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2022年05月05日

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波美地方の四つの村が舞台のホラーミステリ。毎回よくまあこんな前時代的鄙村や祀りを考えるなぁと…。
いつものような可能性を消していく犯人探し、正直思いもよらなかったのでビックリだった。

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2020年09月14日

Posted by ブクログ

このミスベスト10、2011年版7位。
この人の読むの3冊目。ホラー感満載の本格推理。京極さんぽいけどもう少し粗削りというか稚拙というか。途中の展開とかドキドキして、そんなに悪くないんだけど、いつも終盤が好きになれない。主人公の探偵さんが推理の過程を公開しながら解決していくんだけど、全て矛盾なく説明できたと思ったら、そのすぐ後、それを否定する事実(目撃証言とか)が判明して、それじゃ別の人が犯人だとかいうのが繰り返されるのが特徴。やっぱそこがいまいちなんですわ。どんでん返しの大安売りで、ほとんど誰を犯人にしてもストーリーが成立しちゃう感じがするのが、余詰めだらけの詰将棋みたいで美しくない。ちゃんとした核となるトリックもせっかくあるんだけど、それがないがしろにされるというか、どうでも良くなってまう。本格の悲しさか人物描写もちょっと薄っぺらいし、途中でつきあうのがしんどくなってきて、もう、勝手にやってよ状態になる。ほいで、結局どんな話だったっけとトリックやストーリーが思い出せなくなっちゃいます。あと、やっぱり長くて時間かかるのが一番いや。でも、皆さんの評価は結構高いんですよね。

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2016年06月28日

Posted by ブクログ

刀城言耶シリーズ最長編で最も面白いと評判が高く、本格ミステリ大賞を受賞した作品。・・・ということでとても期待していました。好きなシリーズだけに大変楽しみでした。
が、あれれ。
実際に蓋を開けてみると、どうも勝手が違う。たしかに面白いしよく出来ているとも思うけど、どこか薄い。どこかライト感覚なのです。読みやすいけど中毒性はない、といえばいいのか。
自分なりに理由を考えてみた。

※以下、ネタバレはしませんが小説の内容に若干触れています※

1、「厭魅」「首無」「山魔」にあるような圧倒的な怖さ=ホラー要素が薄い。常識ではあり得ない設定ともっとあり得ない人物造形にもかかわらず(笑)、そういう世界が世の中のどこかにあるのかもしれないと思わせる、読者をねじ伏せて納得させてしまう強さ、魅力にやや欠ける。
2、厭魅(まじもの、カカシ様、ナガボウズ他)は文句なしに怖かったし、首無も山魔も夜中にトイレに行けなくなる!的な(笑)昔ながらの怪談としての薄気味悪さがあった。正体の知れない邪悪な何か。人間を襲う何か。それが水魑(ミヅチ)にはない。因習の村を覆う大いなる悪しき影のような存在であるはずなのに、怖さが足りない、弱いのではないかと思う。
3、三津田ワールドの昭和であり、都市部から隔絶された超田舎の山村であり・・・という前提条件をもってしても、警察の介入を拒否する長老と、彼の脅しの手段、かつそれに屈してしまう周囲(刀城言耶含む)の言動があり得ない。どうしても警察を排除するなら別の方法を考えるべきだったと思う。
4、このシリーズの弱味は、常連キャラに個人的な魅力がないこと。探偵役の刀城ですらキャラが十分に定まっていないし、あまり魅力的ではない。彼は狂言回しとして優秀だし読者の反発を買うタイプではないから「問題がない」という程度。不幸にもこの作品は、他の二人のレギュラーの会話から始まる。阿武隈川烏(刀城の先輩)と祖父江偲(編集者)の二人に人間的魅力があれば楽しいのだろうが、二人とも人物造形にリアリティがなく一面的。ヘタなラノベ以下のキャラづけしかされていないため、第一章のもたつきが半端なかった。
以上、書き殴り失礼。
文句ばかり書きましたが、本棚を見ればおわかりのとおり私はこの作者のファンなのです。この人の編み出す異様な雰囲気、ホラー要素に満ちたきっちりミステリ、そこが好きなのです(ホラーが好きなのではない)。それだけに今回は肩透かしを食らった気分でした。
おかしい・・・(笑)。
なんでこれが彼の最高傑作とか呼ばれるんだ。
謎である。

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2015年09月09日

Posted by ブクログ

『厭魅の如き憑くもの』を連想させる左霧の名前に早くも怪異体験の予感…。
好奇心を刺激される怖い謎が豊富でドキドキし通し。事件らしい事件がまだ起きていないのに半分まで一気に読んだ。盛り込まれた謎に比べて、終章の淡々としたまとめで普通に完結した肩すかし感が少々残念。もう一つホラーな後味が欲しかったなぁ。
今巻は怪異の怖さより生きている人間の狂気の恐ろしさの方が顕著で、それがまた今までのシリーズとは違って新鮮に思えた。
三津田氏の手に掛かればどんな場所も恐怖の舞台になってしまうのが凄い。

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2014年07月29日

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