あらすじ
水神を祀る四つの村。奇怪な雨乞いの儀式。湖上の密室殺人。神男たちは次々と……奈良の山奥、波美地方の"水魑様"を祀る四つの村で、数年ぶりに風変わりな雨乞いの儀式が行われる。儀式の日、この地を訪れていた刀城言耶の眼前で起こる不可能犯罪。今、神男連続殺人の幕が切って落とされた。ホラーとミステリの見事な融合。シリーズ集大成と言える第10回本格ミステリ大賞に輝く第五長編。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
⭐︎4.5
前提として、この本は私が読む初めての刀城言耶シリーズである。
⬛︎良い点
・ページ数は多いが、とても親切に読みやすく書かれている。人物一覧や地図があるのはもちろんのこと、章名で先の展開が気になってペラペラ読み進めてしまったし、ルビも読み方を忘れた頃(章ごと?)に再度振ってくれている。
・最後の怒涛の種明かしに驚けた。ここでも親切にしっかりと前提を書き出してくれていて助かった。
・キャラクターに愛着が湧きやすく、刀城言耶と偲の関係性が良い。この2人の掛け合いによってこの本が暗くなりすぎていない。
・情景描写に優れており、場面場面が頭に浮かびやすかった。特に正一の満州時代はこちらまでげんなりしてしまうほど描写が良かった。
・超自然とそうでない内容の混ぜ方の塩梅が絶妙である。雰囲気作りと動機作りまでにとどめ、トリックの大部分には超自然を用いないのがフェアで良い。
・良心のある大人によって、最後は宮木家が報われた気がして良かった。
・龍じが悪人すぎていい。情状酌量の余地が全く無く開き直ってるので、宮木家その他被害者に全力で同情できる。
・単純に民俗学についての話が興味深く、その部分でも楽しめる。
・刀城言耶シリーズを読むのは初めてであったが、とても楽しめたので他の作品も読みたい。
⬛︎微妙な点
・最後の展開がやや急でドタバタ感があった。ただし、結末自体には不満はない。
・本読み上級者にとっては親切すぎて冗長に感じる箇所があるかもしれない。私は初心者なので助かった。
Posted by ブクログ
他のシリーズよりミステリー強めです!
結末はスッキリしたハッピーエンドだった。
結構他の作品と関係ある人物、ワードが出てきて「あっ!」となりました!
首が伸びる女怪異や蔵の中の這いずり回る怪異はなんとなく百蛇堂、蛇棺葬に登場する怪異に似てる気がしました。ただ蛇迂郡它邑町の近くなので蛇を連想させる怪異が多めなだけかもしれませんが。
私は関西出身なので関西弁(大阪弁)を話す祖父江偲が多く登場するのは個人的には嬉しかったです!
Posted by ブクログ
今作は出だしや序盤でオカルト色が強すぎる感じがした。
クロ先輩の話では、(能力を持つという)修験者たちからの水使神社には超常的な力や仕掛けがあるという話を当たり前のように受け入れているし、正一少年の話でも一つ目蔵の周囲に結界が張られているというように、異能を当たり前のように出してきていて、拍子抜けというか残念というか。
刀城言耶シリーズは、「一見オカルトに見える事件が推理で解き明かせる」。そして「(解明される直前の)最終版までオカルト的な気味悪さ・怖さが残る」というのが良さだと思っていたので、作品中で超常現象が肯定されているとその良さが死んでしまい、論理や常識を飛び越えてどうとでもできるようになってしまうのではないかとの危惧を覚えた。
発刊された順番を調べると、首なし→山魔→本作の順だったので、最後に怪異が出てきて犯人一味を穴に連れ去った『山魔の如き・・』からシリーズの流れが変わったのかもしれないと思った。
その点を置いておけば、作中での(特徴的な)面白さは健在で、游魔が儀式中の殺人の犯人だと思った途端に、正一と共に行動しており実行不能だったり、ボンベでの潜水のアイディアは推理に利用されたりで、常にこちらの思っていることの先を行ってくる。
正造じいさんが犯人説も思いついていたが、それも作中で否定された。
読みながら読者が推理していることの先をちょうど良く行きながら、オチもおかしくない。この書き方はスゴいと思う。
被害者(:死んだと思った人物)が真犯人であるというのは推理小説の常套手段であるのに、それでも小夜子が犯人であるとは考えられなかった。被害者になったのが物語の時系列では最初でも、文中では終盤だったからなのだろうか。
終わりもハッピーエンドで文句なし。
『首なし・・』を読んでいなければ星5だったのだが、
あの整合性のとれた推理とそれをあっさり否定し、さらにもっともらしい推理を持ち出してきた展開の驚きと、真相がわかってもなにが真実か掴みきれない気味悪い読後感を知った後だと、どうしても見劣りしてしまう感じがする。高望みなのはわかっているのだが・・。
Posted by ブクログ
祖父江さんと阿武隈川さんのキャラがどうにもこのお話のテイストと合わないので、この二人はいらない気がしてしまう。すいません、先生…… それで欲しい4つから一つ消しました。
今回は特にお話の登場人物のキャラが立ってたし、習わしに対して盲目的狂信的な人物の描き方が良かった!言耶が推理を何度も組み直すのはシリーズ定番なのでこれは多分別に真相あんだろうなと思ったけど。ハッピーエンドでよかった。神々櫛とさぎり、にはびっくりしたけど。ここで絡めてくるのかと。正一少年はどうなったんだろうなあ。どこかで生きてるのだろうか。