【感想・ネタバレ】水魑の如き沈むもののレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年05月05日

今作は出だしや序盤でオカルト色が強すぎる感じがした。
クロ先輩の話では、(能力を持つという)修験者たちからの水使神社には超常的な力や仕掛けがあるという話を当たり前のように受け入れているし、正一少年の話でも一つ目蔵の周囲に結界が張られているというように、異能を当たり前のように出してきていて、拍子抜けと...続きを読むいうか残念というか。
刀城言耶シリーズは、「一見オカルトに見える事件が推理で解き明かせる」。そして「(解明される直前の)最終版までオカルト的な気味悪さ・怖さが残る」というのが良さだと思っていたので、作品中で超常現象が肯定されているとその良さが死んでしまい、論理や常識を飛び越えてどうとでもできるようになってしまうのではないかとの危惧を覚えた。
発刊された順番を調べると、首なし→山魔→本作の順だったので、最後に怪異が出てきて犯人一味を穴に連れ去った『山魔の如き・・』からシリーズの流れが変わったのかもしれないと思った。

その点を置いておけば、作中での(特徴的な)面白さは健在で、游魔が儀式中の殺人の犯人だと思った途端に、正一と共に行動しており実行不能だったり、ボンベでの潜水のアイディアは推理に利用されたりで、常にこちらの思っていることの先を行ってくる。
正造じいさんが犯人説も思いついていたが、それも作中で否定された。
読みながら読者が推理していることの先をちょうど良く行きながら、オチもおかしくない。この書き方はスゴいと思う。
被害者(:死んだと思った人物)が真犯人であるというのは推理小説の常套手段であるのに、それでも小夜子が犯人であるとは考えられなかった。被害者になったのが物語の時系列では最初でも、文中では終盤だったからなのだろうか。

終わりもハッピーエンドで文句なし。
『首なし・・』を読んでいなければ星5だったのだが、
あの整合性のとれた推理とそれをあっさり否定し、さらにもっともらしい推理を持ち出してきた展開の驚きと、真相がわかっても何が真実か掴みきれない気味悪い読後感を知った後だと、どうしても見劣りしてしまう感じがする。高望みなのはわかっているのだが・・。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年04月30日

シリーズを重ねるごとに読みやすくなっている印象。
刀城言耶シリーズに慣れたということでしょうか。

今回も辛くやるせない真相だった。
それでも、こいつだけは許せないという人物はちゃんと報いを受けたこと、とても穏やかな「その後」だったことが救いかな……

刀城先生の民俗講義も楽しかったです。
偲ちゃん...続きを読むでずっぱりで嬉しい。
まじものが手元にないのが悔やまれる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年11月28日

これはミステリフリークとして読まざるを得ない垂涎要素のオンパレード\(^p^)/もうお腹いっぱいです先生!

偏狭な村の権力者達のイザコザ、
屋形船という一風変わった密室設定、
曰く有りげな慣習と儀式、
そして極め付けは、
【雨乞いの儀式によって雨が齎されることへの揺るぎない信念】と、
【人ならぬ存...続きを読む在に対する問答無用の肯定姿勢】!!笑

いやー、【論理性がしっかりしてれば世界観がトンデモ設定でも許せる】って豪語してる私ですが、村の外部からやってきた主人公達が、こうも簡単に雨乞いやら幽霊やら信じちゃうのが面白かった(OvO)まあそういうシリーズな上に、一作目から読まずいきなりこの世界観満開な最新作に触れた私の自業自得なわけですが(OvO)←←

導入部はかなり長いです。
村に伝わる儀式の説明や、過去に発生した怪死事件のあらましを説明し終わって、さてそろそろ次の章では密室にご登場頂けるのかしら…と思ったら、登場人物の回想入っちゃいました\(^o^)/焦らすううう

ただ、湖上の屋形船の中から刺殺体が発見されてからは大変スピーディに犯人さん、動いております。あまりに手際よ過ぎて「プロの犯行だろコレ…」と突っ込みながら読んでいきました。

それにしても、ちょいちょい入ってくるホラー要素が怖いです。
【人ならぬ物】が見えちゃう少年の描写が怖いです。家族が寝静まった夜中のリビングで読んでたので、まあ何となくテレビつけたよね\(^o^)/なんというビビリ

村の権力者の意向で警察も呼べず、主人公に同行した編集者を人質に取られ、主人公は犯人推理に奮戦します。
その間にも、続々死体が量産されてしまうのですが、この作品の特筆すべきところは、そんな慌ただしい展開の傍らでひときわ存在感を放つ【曰くありげな蔵】です。

浮世で主人公達がワァワァ騒いでる一方で、【中に誰かがいると思われる蔵】の静けさがまあ不気味極まりない。これは、他の推理小説ではなかなか味わえない読感です。
ホラーは昔、リングの小説版を読んで以来忌避していたのですが、今作では本格推理小説でありながらホラー小説の雰囲気も味わえるという、私のようなビビリな人間でも楽しめる新しいミステリのジャンルを示してもらえたように思います。京極シリーズに近いかな。

というわけで、このシリーズ制覇するの決定〜\(^o^)/わーい



湖の上に浮かぶ屋形船という密室で、【神男】と呼ばれる祭主が殺害された。更に、【神男】を務めたことのある宮司達を次々と犯人の凶刃が襲う。
過去にも不審死を出したことのある儀式を調査する為に入村していた刀城は、宮司達の依頼を受け事件の究明に挑むが…。

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Posted by ブクログ 2023年10月15日

祖父江さんと阿武隈川さんのキャラがどうにもこのお話のテイストと合わないので、この二人はいらない気がしてしまう。すいません、先生…… それで欲しい4つから一つ消しました。

今回は特にお話の登場人物のキャラが立ってたし、習わしに対して盲目的狂信的な人物の描き方が良かった!言耶が推理を何度も組み直すのは...続きを読むシリーズ定番なのでこれは多分別に真相あんだろうなと思ったけど。ハッピーエンドでよかった。神々櫛とさぎり、にはびっくりしたけど。ここで絡めてくるのかと。正一少年はどうなったんだろうなあ。どこかで生きてるのだろうか。

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Posted by ブクログ 2022年05月05日

氏の作品では「厭魅」は衝撃的だった。その時の衝撃や感動は残念ながら味わえなかった。
ただ、横溝正史や京極堂にも通じる民俗学、怪異譚を調味料にして、本格ミステリを十二分に楽しませてくれる。

本作は700ページオーバーの文庫本で、いささか冗長に感じた。とは言え、後半の展開は怒涛でありラストはこの手の作...続きを読む品としては明るい終わり方で、好感が持てた。

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