【感想・ネタバレ】怪談のテープ起こしのレビュー

あらすじ

自殺する間際にメッセージを録音して残す人がいる。それを集めて記事にしないか? 編集者時代の三津田に企画を提案したライターが突然失踪。後日、三津田の元に届いた1本のテープには何が。カセットやMDに録音された体験談に材を取った6つの怪異譚と、それらを連載し本になるまでの、担当編集者との裏話的なエピソードから成る作品集。この物語を読むあなたは恐怖を「体感」することになる。

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Posted by ブクログ

怖い
ラストでさらにゾッとした

その上、「幕間」の裏話的エピソードで、でますますフィクションとノンフィクションの境目が曖昧にさせられる
「終章」で、ただでは終わらせない、最後までヒヤッとさせてやると言う作者のサービス精神を感じる

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2024年09月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

夏に読むにピッタリ、めちゃくちゃ怖そうな作品を読んでみた。
うん、めちゃくちゃ怖いです。
6つの短編集。
に、三津田信三さんと編集者さんのやりとりや出来事等の「幕間」が間にあるという構成。
それぞれ短編単体だけとして読んでももちろん怖いですが、幕間が入ると、リアルというか、これって現実なの?…と恐ろしくなりました。
芦沢央さんの「火のないところに煙は」に匹敵しました。
この作品を読むことで、何かしら自分の身に怪異が降りかからないことを願うばかりです。

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2024年08月25日

Posted by ブクログ

タイトル通りテープに収録されたエピソードの書き起こしを始めとした短編集で、ひとつひとつが読みやすく、じっとり怖さが迫ってくる感覚がありました。
実は各話に共通する要素もあるんですが、一つひとつを読む分にはいわゆるオカルト的な話もヒトコワ的な話もあり、ポジティブに言えば「バラエティに富んでる」感があります。

水辺に注意(自戒も含め)

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2024年08月15日

Posted by ブクログ

最高に良いホラーに出会ってしまった気がする。きっと後で思い出して後悔するんだろうな、と分かってるのに止められない。日常に潜む怪異を綴った短編集ですが、仕掛けも多々あり最後まで気が抜けません。

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2024年04月01日

Posted by ブクログ

作者が作品内に登場する怪奇短編集。また、この短編集が本になって出版されるまでの過程も描かれている。裏話的なエピソードが載せられていることによって、この話が本当にあった出来事なのか、それとも完全な創作なのかが分からなくなり、更に恐怖を倍増させる。最後まで怪異の謎が解けないので、読後にモヤモヤが残り、とても怖くなった。

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2023年03月15日

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モキュメンタリー?というか筆者の手記的な方式をとっているので、しっかりと怖い。黄雨女が怖かったかな…

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2025年09月08日

Posted by ブクログ

収録されていうる短編の中では『すれちがうもの」が一番好き

作り話?それとも本当にあった話?
本当にあった話だとしたら自分たちも、、、
そんなじっとりとした良質な不快感を伴う読後感で、とても良きホラーだと思いました。

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2025年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

雨の日に読めたのがまたタイミング良かった。
超常現象による力技みたいなホラーじゃない方が個人的に好きなので、一定の温度感のまま淡々と綴られていてしっかり怖くて面白かったのがとても鮮やかだったと思う。現実と作品の境界が曖昧な話も好き。
左側からしか聴こえないってことは正面にはでってことかと思っているけれど。意味も通るし...。

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2025年06月04日

Posted by ブクログ

なぜ雨の日に読んでしまったのか…
短編集だが幕間の書き下ろしがモキュメンタリーっぽくもあり、のめり込むというより飲み込まれる感じの良質ホラー。

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2025年04月20日

Posted by ブクログ

以前読んだ「現代ホラー小説傑作集」に掲載されていた「集まった四人」が面白かったので、それが元々掲載されていた短編集を購入。
怪談らしい怪談が6篇連なっており、単行本版で追加されたという序章、幕間、終章も含めて、お得な気分になった。ホラーとミステリーの融合的なのが得意な作家さんらしいので、他の作品も読んでみたくなる一冊でした。

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2025年03月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

フェイクドキュメンタリー?実話?感がゾッとして面白いホラー短編集。こういうの好き〜
グロ描写なしでこのおぞましさ。表題作(?)ほか山奥で留守番させられて化け物に追っかけ回される話、踏切からじわじわ近づいて家まで入ってくる話、レインコートの女の話などなど。

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2025年01月25日

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怖い ドキュメンタリーっぽいのがリアルでした。カセットテープが良い味を出していると思う。モノクロのイメージがわいて余計に怖かった

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2024年09月30日

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 カセットやMDに録音された体験談から浮かび上がる6つの怪異譚と、それらが書籍化されるまでの経緯を綴った裏話的なエピソードを合わせた短編集で、それぞれの怪談の不気味さと怖さも去ることながら、その後の担当編集とのやり取りも恐ろしく感じた。

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2024年08月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者の三津田氏が聞いた話という体裁で書かれた怪奇短編。加えて序章・幕間・終章にて担当編集者の異変を描き、現実に障りがあるような恐怖を描く、念の入れよう。実話なのかどうかはさして重要ではないけど、怪異が解明する、あるいは解消されることはほとんどないのが実話っぽさを増していると思った。『新耳袋』に載っていそうな話といえばいいのか。

【収録作品】
「死人のテープ起こし」
ライターの吉柳が集めたという自殺者が最後に残した肉声テープを文書に起こしてもらう三津田氏。三つのサンプルに単なる死の実況ではなく不可解なものを感じる……
文書の内容もかなり不気味なんだけど、それより三津田氏に吉柳を紹介した作家島村奈津さんの名に驚いた。『フィレンツエ連続殺人』は読んだことがある。実在の作家出してくるのはズルいよなぁ(笑)
「留守番の夜」
大学のOGらしき女性に紹介された留守番のアルバイトで恐ろしい体験をする女子大生の話。
最後まで読むと一応の真相はわかるようになってるけど、ただ理由や夫妻の謎、伯母の存在など解明されてないことばかりで厭な読後感である(褒め言葉)。
「集まった四人」
共通の知人岳に呼ばれてハイキングをすることになった初対面の四人が遭遇する怪異。
と言っても怪異を感じているのは語り手の勝也のみで、ほかの三人は普通に山登りをしてきただけになっている。これも一本足の足跡も各々に残された卵石のことも何も解明されない。
「屍と寝るな」
中学の同級生Kから聞いた話。Kの入院している母の隣のベッドの老人が呟く話を整理すると少年時代の出来事だった。
これはかなり不気味で好みの話だった。少し似た話を澤村伊智も書いてた気がする(澤村さんが三津田氏を好きらしいから影響を与えたのかも)。彼の頭の中で永遠に繰り返されているのだとしたらこれほど恐ろしい話はないだろうな。
「黄雨女」
女性占い師の語る元カレの不気味な体験。全身黄色い雨具に身を包んだ女性「黄雨女」につきまとわれたサトルはついに……
これも気持ち悪い。黄雨女の由来も実在すらもはっきりしたとはわからないまま。都市伝説に近いものがあるかも。
「すれちがうもの」
毎朝通勤途中ですれ違う顔馴染みの人々。その中に黒い影を見つけた夕菜はそれが日に日にこちらへ近づいて来ていることに気づき……
これも不気味。なかなか対抗手段を取らなかったことを本人も悔いているけど、現実にはどうしたらいいかわからないよね。そして黒い影はいったい何だったんだろう。

全ての話がすっきりしない終わりかたではあるので、そういうのが苦手な人には楽しめないかもしれない。

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2024年04月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作者が集めてきた怪談のテープ起こしという体で書かれる一話完結の連作小説。

実際に作者が聞いたものをテープ起こししたと思わせる書き方が現実と創作の境界線をあやふやにするような恐怖感があった。

個人的には「集まった四人」「屍と寝るな」が好きな雰囲気だった。
怪異の発生した理由があやふやなまま終わるのは如何なものかという問いかけとミステリなら許されないがホラーだからこそ許される、という答えが印象に残った。
水という共通点はどちらかといえば確かに無理やりな気もしたけど。

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2023年07月26日

Posted by ブクログ

初読みの作家さんでしたが最初の表題作から一気に引き込まれました。
現実と虚構のどちらとも取れるメタホラーで、個人的に好みにピンズドでした。
説明出来なくて意味不明な得体の知れない怪異って最高

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2023年06月01日

Posted by ブクログ

死人のテープ起こし
留守番の夜
集まった四人
屍と寝るな
黄雨女
すれちがうもの

メタ好きにはたまらないメタホラー

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2023年03月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「大好きな作家がいて、新作を読みたいと願うのなら、何冊に一回は単行本を購入して応援することが大切です」

この終盤の文が刺さったのでこれからはなるべく単行本も買うようにしたいと思います

「死人のテープおこし」
自殺する間際の肉声を集めた"死人のテープおこし"なんて神も仏も信じなさそうな人でも罰当たりだわ〜と言われそうな企画をしようとしたら案の定…な話。自殺実況テープが淡々としながらも徐々に不可解な"何か"を感じていくのが怖い

「留守番の夜」
叔母の部屋に死んだはずの叔母が神としてて居続けているのか、義理の息子の光史(ん?格子…?)は叔母に操られてるのか、それとも生きてると思い込みすぎてあんな感じになってしまったのか。そもそも小田切は何者なのよ

「集まった四人」
私の友達とあなたは友達な集団が気まずさ87%の中、山に行ったら大変なことになっちゃいました。
岳さんは山の魔に魅入られてしまっていたという話でいいのかな。多分連れの人たちは山に行ってしまったんだろう

「屍と寝るな」
寝たくないです
この話の怪奇現象はファンタジー味がある

「黄雨女」
最初から最後までじっとり
情景を想像するとすっごい怖い、ビジュアルは漫画座敷女を想像しちゃうなぁ〜怖

「すれちがうもの」
毎日の通勤で"すれちがう"人が怖くなる話
何も因縁も理由もないのに何かに追い回されるって怖い話だよね、対処法も逃げ場も見つけられない。花を隣の家に置いたらどうなったんだろう。
巻き込まれた友人がまだ不憫なんだ

水が共通してるらしいけど「点滴の減りが早い」はわからないよ!!

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2023年03月07日

Posted by ブクログ

著者初読み本でしたので、何も考えずに読みましたがすごく好みでした。
連作短篇?のような、ちょっと違うけど、短いお話を主人公たる著者目線で紡いでいく形。
中にはあまり好みじゃないお話もあるけど、どちらかと言うと全ての話に関わる事で現実に及ぶ怪異がメインになってくるので、幕間のお話がとても面白く感じました。
こういった形のホラーは小野不由美 著作の残穢に近いのかな?
読み手にも怪異のおすそ分け、大変好みでした。

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2023年02月16日

Posted by ブクログ

三津田作品、初読みでしたが意外と相性が良いかも。6篇からなる短編プラス編集者との裏話的なエピソードからなるホラー作品ですが、実話なのかフィクションなのか曖昧なところが巧みで興味が惹きつけられました。

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2022年12月20日

Posted by ブクログ

やっぱ作者が主人公タイプはリアル感あって楽しいのよ。あと隙間時間で本読むから短編は短編はだからこそ集中できるし話も思い出せてサクサク進む。
初めてこの作者の本を読んだけど、なかなかにおもしろかったです

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

じとっとしたホラー短編集。
モニュメンタリーのような部分もあって好きな感じ。
暑い夏にはホラーだね。

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2025年07月27日

Posted by ブクログ

刀城言耶シリーズ数冊しか読んでなかったのでそろそろ"ホラー"を、と購入。
冒頭、死人のテープ起こしからいやな雰囲気で、山ホラーも挟まり飽きないネタ揃い。メタ要素がエンタメ性も担保していてグッド。
シリーズのほうのホラー作も読もうと思います。

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2025年02月10日

Posted by ブクログ

カセットやMDに録音された6つの怪異譚と、これらが一冊の本になるまでの裏話を挟んだ作品集。
まさにタイトル通りの怪談のテープ起こし。

怪談自体のハッとさせられる内容も去ることながら、テープ起こしをしている編集者の身にも、何かおかしなことが起こる。
ダブルで興味を惹かれた。

これ、どこまでが本当で、どこまでがフィクションでしょうか?
死人のテープ起こし、聞きたくないなぁ…。

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2024年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読んだのは、4月の中頃。
「そんな面倒くさいオバケいるかーっ!」のオンパレードで大笑いしてしまった反面、ついつい一気読みしてしまったこともあってw
ま、それなりに面白かったのかな?(^^ゞ

何年か前に、この著者のお雛さまの表紙の本を読んだことがあったけど、“怖さ”を楽しむのなら、あっち方がいいかもしれない。
もっとも、それも好みかなぁー。
個人的には、あっちの本にあった、八幡の藪知らずの話とあと一つ、ルームシェアの話だったか?、それとも近所の子どもの話だったか?の展開に、急にゾワッとくる場面があって、そこがよかったんよね。
ぶっちゃけ、三津田信三、前より全然上手くなったじゃん!って感心しちゃった記憶がある。←何なんだ、そのミョーな上から目線はw
ただ、こっちは、じわじわくる怖さを感じる人が多いのかもしれない。
著者はそれを狙って書いているのかな?とも思ったけど、最初にも書いたように、どれも「そんな面倒くさいオバケいるかーっ!」なお話なのでw
怖さを感じるより、ツッコミいれる方が先立ってしまうんだよね(^^ゞ

この著者の文章の特徴として、言い訳めいた屁理屈が多いっていうのは相変わらずなんだけど、ただ、最初の頃にあった、何かというと“禍々しい”という表現を使うのがなくなったのはよかった。
だってさ。最初に読んだ短編集なんて、全部の話に“禍々しい”という表現が出てくるんだもん。
ていうか、確かその頃って、怪談業界全般に“禍々”ブームだったからw
話のどこかに“禍々しい”って言葉がないと、読者が「“禍々しい”という表現が使わていれない怪談は怪談じゃない!」と怒り出すみたいなことがあったのかな?←あるか!(^^ゞ
そんな“禍々しい”だけど、解説者がやっぱりそれを使っていて。
ホラーや怪談好きって、どれだけ“禍々しい”という言葉が好きなんだろ?と、かなり呆れたw
(ていうか、解説者の「怪奇幻想ライター」て、どういう仕事なんだ!?)


お話は6つ。
2話毎に、この本の主人公である「僕(疑似著者?)」と編集者との間であった(ということになっている?w)、この本の元となる体験者のテープを聞くことで起こった怪異のエピソードが入っていて。
それがあることで、これらのお話がさも本当のことであるように演出されている、
……のか?(爆)

1話目、「死人のテープ起こし」は、イマイチよくわからない話。
たぶん、自ら死を選んだ人がそれをする前に心境や状況を語ったテープの内容には共通点があって。
著者(この本を書いたという設定の著者)がそれらのテープおこしを依頼した、クセの強いライターも結局……、
という話なんだと思う。

そういえば、水木しげるのエッセイだか何だかに、子どもの頃に聞いた「首くくり鬼」という話があって。
要は、自殺というのは、人が「首くくり鬼」にとり憑かれることで起こる。
「首くくり鬼」にとり憑かれた人は何の反応を示さない等、周りの者が注意していればわかるから。頬をつよく叩いたりして正気に戻してやれば、「首くくり鬼」はその人から離れ、自殺から免れるという話し(言い伝え)だったと思う。
ま、「首くくり鬼」というモノが存在するのかはともかく。
学生時代の友人が自殺した時の経緯をその家族から聞くかぎり、人というのは何かの拍子に自らを死に至らしめる行動を選んでしまう…、つまり、突発的に自ら死を選んでしまう精神異常を起こすことがあるものなんじゃないかな?と思うこともあって。
自分は、水木しげるのその話の方が納得できるかな?

2話目、「留守番の夜」は、大学のサークルのOGに紹介された、“泊まり込みだけど、楽で割のいいバイト”が実は…、
みたいな話。
まぁ、最近流行りの投資詐欺に限らず、世の中には楽して儲かる話は絶対ないわけで。
当然、このお話の主人公も、恐怖の一夜に遭遇することになる。
このお話が存在するのは、もちろん主人公が怪異から逃れられたからなのだが。←これってネタバレ?w
にも関わらず、バイト代は最初に聞いていた10倍の額を貰えたって、なんだよ、この主人公、ボロ儲けすぎだろー!って(爆)←かなりネタバレか?w

だってさ。
楽とはいえ、一晩拘束されるわけだから、仮に夜の8時〜朝の8時として、それで割がいいっていったら、バイト代は絶対1万円以上のはずだよね?
その10倍だよ。
おいしすぎだろー(^^)/
ていうか、そのOGって、結局ナニモノで。
気前のいいバイト先の主とはどういう関係だったんだ!?

留守番といえば、子どもの頃、親が外出しているのをいいことに、雨戸を締めて部屋を真っ暗にして友だちと怪談してた時。
そのちょっと前に交通事故で亡くなった上級生がその現場に出るという話をしていたら、階下から親が帰ってきた物音がしたので。
これはヤバイ!と、慌てて雨戸を開けたんだけど親は帰ってなかったなんてことがあった。
自分も友だちも、確かに玄関が開いた音がしたし。廊下を歩いている音も聞いたのに不思議だった。

3話目、「集まった4人」は怪談やホラーというよりは、プチ・イヤミスwみたいなお話。←捉え方は人それぞれだからw
主人公はバイトの先輩の誘いでハイキングに行くことになるんだけど、その先輩はドタキャン。
主人公は待ち合わせの駅で会った初対面の3人とハイキングに行くことになる。
紅一点の女の子が気になる主人公は、クセモノ性格の男がその子にちょっかい出さないかとやきもきw
もう一人のぬぼーっとした、正体不明系の男にはイライラ。
登っていくにしたがって、クセモノ系の男はしんどくて、ヒーハー、ヒーハー、わがまま言い出すし。
ぬぼークンは、その山をやたらと解説し始める。
そんな難儀なハイキングwの最中、このハイキングの企画者である無責任なバイトの先輩が4人に用意しておいたお土産が見つかって。
紅一点嬢とクセモノ系クンは、そのお土産に大喜び。
でも、主人公はそのお土産が、なぁ〜んか気持ち悪い。
しかも、メンバーは4人のはずなのに、お土産は3つ。
ぬぼークンは、自分はいらないと言って、主人公に残りのお土産を取るよう勧めてくる。
その後、主人公はそのお土産を……、
みたいな話。

お話が終わった後。
この本の主人公である「僕(疑似著者?)」は、参加者の一人の名前の文字構成に、それは「山瘴(さんしょう)」をもじったものだと推理するんけど、その凝り具合に、思わず、「そんな面倒臭いオバケいるかーっ!」って大笑いw
これ、誰か落語で演ってほしいぞ(^^)/

ていうか、「山瘴」っていう言葉は本当にあるのかな?
ネットで検索してみても出てこないだけど!?
ま、山瘴って言葉が本当にあるのかはともかくw
山を歩いていると、ふいに怖さを感じたりすることは確かにある。
それは、濃い霧や深い森林の中、あるいはあまりに大きすぎる空間に気持ちが圧倒されてしまうことで感じるんだと思うんだけど、それを「山瘴」、つまり、山の瘴気にあてられたからだとする考え方は面白いと思った。
たとえば、長時間の登りでエネルギー不足に陥る低血糖を、昔の人が「ヒダル神に憑かれた」と言い伝えることで、「弁当を一口分残しておく」と戒めたように。
濃いガスにずっと包まれた中をずっと歩いていて得も言われぬ不安に襲われた時は、それは「山瘴」にあてられたのだから、とりあえず落ち着ける場所を探して休憩すること、みたいに自分なりのルールを作っておくことはアリだと思う。

4話目、「屍と寝るな」は、この本の主人公である「僕(疑似著者?)」が同窓会で数十年ぶりに会ったクラスメイトだった女性から聞いた話。
その女性の母親が入院した同室にお爺さんが入ってくる。
そのお爺さんはしきりと独り喋りをするのだが、女性はその内容が気になってくる。
どうやら、子どもの頃の体験を語っているようなんだけど、それが奇妙な内容で。
それは、そのお爺さんが10歳〜14、5歳くらいの体験らしいのだが、少年だった彼は会ったことのない親戚の葬儀に家族を代表して一人で参列することに。
そこには“電車”を乗り継いで行くんだけど、少年はその車内で高齢のお爺さんと出会う。
そのお爺さんは、まるで少年の心を読んでいるかのように、少年が一人で親戚の葬儀に参列すること等、次から次へとブツブツつぶやく。
少年が気味悪く思っていると、お爺さんは昔話を始める。
一連のそれらの話に、この本の主人公である「僕(疑似著者?)」は違和感を覚える。
“けいたい”という言葉をはじめ、そのお爺さんが子どもの頃であったなら汽車と言うはずなのに“電車”と言っていたこととか。
お爺さんのその話って、もしかしたら、その人が子どもの頃の話ではないのみならず、それを一人喋りしていた(女性の母親と)同じ病室のお爺さんの正体ももしかしたら……、
みたいなお話。
ちなみに、これも「そんな面倒くさいオバケいるかーっ!」なオチ(^^ゞ
前に、北海道の支笏湖の名称のいわれを「死の骨の湖」だとか言っていた某実話怪談作家がいたんだけど。
1000歩譲って「死の骨の湖」だとしても、「死の骨」じゃ言葉として意味なさないじゃんって思うんだけど、そんな感じのオチw

電車怪談というと、個人的には「2355」の怪談だ。
「2355(二ーサンゴーゴー)」と言うと、今はEテレの番組になってしまったが、昔は新宿23:55発の松本経由長野行きの鈍行列車のことだった。
「2355」は途中某駅で、確か1時間以上停まっているんだけど、その駅から乗ってくるんだか、その前の駅、あるいはその前の前の駅から乗ってきてその駅で降りるんだか忘れてしまったけど、とにかく若い女の幽霊が車内に現れるという話を聞いたことがある。
なんでも、黒いウールのコートを着たまま車内の席にじっと座っているということなんだけど。
その若い女の幽霊って、夏もその格好で現れたんだろうか?
「2355」は何度も乗ったけど、見たことはないなぁー(^^ゞ

5話目、「黄雨女」は怪談の定番、雨の日にたたずんでいる女の話。
この本の主人公である「僕(疑似著者?)」が編集者時代に、ある女性の占い師から聞いた話で。
その女性が大学生だった頃、つき合っていた彼氏がある雨の日、全身真っ黄っ黄の女性に遭遇する。
ある時、その全身真っ黄っ黄の女性の顔をまともに見てしまった彼氏は……、
みたいなお話。

雨の日に現れる女の怪談(雨の日に現れる男の怪談というのは聞いたことがないのは性差別?w)というと、自分の住んでいる隣の町の某公園にもあるし。
知り合いの親父さんが台風の最中、家に帰ろうと車を走らせていたら、傘も差さずにびしょ濡れになっている女性を見て。
この豪雨じゃ難儀だろう乗せてあげて、その女性の言う所におくってあげたら、後ろのシートにいなかったというド定番の怪談も聞いたことがある。
どちらも「雨女」と呼ばれているのが面白い。

5話目、「すれちがうもの」は、子どもの頃読んだ偕成社のこわい話シリーズの『世界のこわい話』にあった「エミリーの赤い手袋」みたいなお話。
…と思ったのは自分だけか?(爆)
(ま、怪談の解釈は人それぞれだからw)

社会人になって、一人暮らしを始めた主人公の女性が、ドアの前にあったあることでいつもより家を出るのが遅くなる。
家を出た時間が遅くなったことで、毎朝駅までの道で出会う人といつもより手前で会っていると、遮断器が降りた踏切で待つことになる。
踏切の向こうに全身が黒っぽい印象の人がいて。
最初は違和感だったのが、嫌な感じに変わる。
主人公は、その黒っぽい人(というかナニカ)は毎朝すれ違うことに寒気を覚えるようになっていく。
そして、その黒っぽいナニカはついに……、
みたいなお話。

個人的には、黒っぽいナニカという話の本筋よりも、主人公が毎朝決まった時間に家を出ることで、駅までの道のりの中、この人はどこですれ違って、あの人はあそこですれ違うという風に認識しているところが、すごく面白かった。
お話に出てくる説明からすると、主人公が住んでいるマンション?、アパート?はおそらく山手線のターミナル駅から伸びる私鉄の、それも都心に近い場所なのだろう。
そういう所だと、そこに通勤してくる人もいるだろうから、主人公のように毎朝決まった時間に家を出ていれば、この人はあの角ですれ違って、あの人はコンビニの前ですれ違う、みたいに認識していることは確かにあるんだろう。
ちなみに、自分の場合は、朝、同じ方向に行く人はいてもすれ違う人はほとんどいないので、そんなことは考えたこともない。
ていうか、そもそも、家を毎朝決まった時間に出ないからなぁー(^^ゞ
ただ、毎朝、この人はここで、あの人はあそこですれ違うと記憶しているって、なぁ〜んか著者っぽいって気がしちゃってw
著者ならではのお話のような気がしちゃうかなぁーって書いたら、それは言わない約束でしょ、と怒られるのか?(^_^;)
もっとも、それを言ったら、「エミリーの赤い手袋」みたいと書いた時点で「それってネタバレだろ!」と怒られるのかもしれないw
(ただ、「エミリーの赤い手袋」の展開は実話怪談の定番でもあるよねw)

すれ違うのが朝というお話は珍しいと思った。
すれ違う怪談といったら、やっぱり夜が定番だ。
知り合いが、残業で最終電車で帰ってきた時、向こうから若い女性が歩いてくるのを見て。
最初、駅前のコンビニにでも行くのかな?と思ったらしいんだけど、その女性はこれから会社に行くみたいなパリッとしたスーツ姿であることに違和感を覚えて。
何者なんだろ?と思いつつも、じろじろ見るわけにもいかず。
女性の靴のあのコツコツという音を感じつつ。近づいてくるその女性の方はあえて顔を背けるように、でも、チロチロ横目で見ていたらしい。
でも、すれ違った瞬間、それが背の高い太った中年男であることに、「えっ!」と驚いて。
横に後退るように体をそっちに向けたら、その一瞬、まるでコマ送りのように何十人っていういろいろな人がすれ違っていったのを見たんだと。
我に返った時、それは最初に見たスーツ姿の若い女性の後ろ姿で。
知り合いの7、8メートルくらい向こうをコツコツと足音をたてて、駅に向かって歩いていたらしい。
そういえば、自分も学生の頃、真冬の北風が強く吹く夜中のバイト帰りに、白いネグリジェみたいな服で裸足で歩いている女性を見たことがあったっけ。
もっとも、それはすれ違ったのではなく、その女性が歩いている横を自転車で通り過ぎたんだけどさ。
その時は変だともなんとも思わなかったんだけど、後になって思い返してみると、すごく不思議だ。
個人的には、怪談はそんな風にさらりとあっさりしている方が好きだし。
何気に怖いように思うんだけどな(・・;)

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2024年07月02日

Posted by ブクログ

デジタルではなく、テープってところがいいよねー。
怖い話が無性に読みたくなって買った作品。
でも、これは本で読むより、映像で観る方が良さそう。実写化してないのかな?

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2024年01月05日

Posted by ブクログ

初めての三津田作品。各話で完結しているものの序章、幕間、終章によって1冊のホラー作品になっている。フィクションなのか実話なのかどちらとも捉えられる書き筋でラスト1行にぞっとした。なかなか面白い、もしかしたら起こりうるかもなホラー。

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2023年08月05日

Posted by ブクログ

ホラー短編集
連作短編ではないのだけれど、お話の合間々々で作者・編集者の物語が進んでいってそれがクライマックスに……といった感じ

ホラーと一言でくくっても内容は様々
こんなのからあんなのまで、多種多様なホラーで楽しませてもらいました

なんでこんな目にあうんだ!?という肝心な部分の詳細をあえて省いて書いたような怪奇現象の数々が、想像の余地を残しているようだったり、人間の理解の及ばない理不尽な恐怖を感じさせるようだったりで、なんとも三津田さんっぽいわーと思わせられる読後感

文庫化にあたって『終章』に加筆されているのもお得でいいですね
「メタっぽい雰囲気があれば、それだけで加筆の意味はあるから」(P.320)
文中でわざわざ言及してるのがまた面白い

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2023年04月11日

Posted by ブクログ

主人公が怪談話を取材して書いていく話ですがこの話はあくまでも小説の中の話のはずなのに本当に取材しているものを書いてあるような感覚に引き込まれて実話怪談を読んでいるように途中から感じました。
内容は好みの分かれる話も分かりづらい話もありますがサクサク読めます。

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2023年03月08日

Posted by ブクログ

現実と虚構が入り混じる三津田さん短編ホラー。
テープの自殺者たちが最後に見たものは?麻衣子が袴谷夫人に感じた歪さの正体は?目的や意味がわからないまま進んでいくのだけど、そこを考え出すとキリがなくて引き摺っている自分にハッと気づいてまた怖さが増す。サラッと読んでサラッと忘れるに限るな。忘れた頃にまた読むんだろうけどw
わけのわからん石を押しつけられる「集まった四人」と正体不明の何かが近づいてくる「すれちがうもの」がイヤ~な怖さ。
水遊びや水を注ぎたがったり、子どもが水に魅入られるのも何かしらの魔力だろうか。

それはまぁ考えすぎだろうけど。
「屍と寝るな」で久々に洋画『スケルトン・キー』を思い出した。途中で眠くなったりもしたが、同じネタでもそちらの方が最後にゾゾ~ッとトリハダ。

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2019年02月17日

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