三津田信三のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ文章が怖い!と今回はとてつもなく思いました。特に異世界屋敷の少年視点の章があまりにも怖すぎる!とんでもねぇバケモンに追いかけられたかと思ったら屋敷もおかしくってさあ!いや、まじで怖すぎました。文章で怖いとはあまり思わないのですが、追いかけられる怖さがずっと続き迫り来る描写と追いつかれた!というシーン、発狂する少年。流石に怖かったです。
解決しないホラーというのがあまり好きではないので終わり方は好きじゃないんですが、今回はとりあえず怖い文章を読みたい人にオススメしたいですね。実はほんとに少年は追いつかれて死んでたってのも含めて怖すぎますね。
家(土地)に連鎖して怖いことが起きるってのは残穢と似た感じだなーとよぎりましたが、化け物も長い間ご苦労さまですね。 -
Posted by ブクログ
【短評】
無明大学の特別講師として招聘された刀城言耶(とうじょうげんや)に充てがわれた「怪異民俗学研究室(通称:怪民研)」に齎される数々の恐怖譚。「拝み屋」の素質を有する女学生・瞳星愛(とうしょうあい)と、小説家志望の助手・天弓馬人(てんきゅうまひと)がコンビを組み、怪奇と不可思議で彩られた物語を紐解いていくーー
あらすじが示す通り、刀城言耶シリーズの傍流的な側面を持つ三津田信三による新シリーズである。事前に『凶鳥の如き忌むもの』や『首無の如き祟るもの』辺りを読んでおくと、世界観に拡がりを感じることが出来るだろう。趣としてはファンブックに近いが、私はファンなので何の問題も無い。
構造としては刀城言耶シリーズに近い。不可思議を論理で解決しつつ、怪奇が余韻を効かせるあの感じ。刀城言耶シリーズが一冊を掛けて重厚に仕上げたものを、本作では比較的ライトに綴った印象を受けた。ミステリィとホラーの比重が9:1程度(刀城言耶が7:3位のイメージ)であり、謎解きものとしての色合いが濃い。結果としてホラー要素が「やや怖くない」というところに終止してしまったのは少々残念だった。他方、比較的敷居の高い三津田信三入門書としては妥当なラインだと感じた。
①歩く亡者 ★★★★☆
表題作。逢魔が時に死者が通るという「亡者道」で亡者(ぼうもん)に行き逢った少女のお話。「生きているが、死んでいる」という気味の悪さと、それに対する明瞭かつ意外な解釈が素晴らしい。本著は全体的にやや場面説明が分かりにくいという弱点があるのだが、本作はストレスフリーだった。相変わらず、怪奇譚を語らせるのが上手い作家だな、としみじみ。
②近寄る首無女 ★★★☆☆
探偵小説を切欠に仲良くなる少年という設定は好み。『首無の如き祟るもの』との関連が深く、同書を読んでいると「おお」となる。悪くはなかったのだが、真相が殆どギャグであるのと、最後にチラ見せされた「怪奇」の方が余程興味を引いてしまうのは少し残念だった。
③腹を割く孤鬼と縮む蟇家 ★★★★☆
矢っ張り「語り」が上手い。熊用の罠のなかで子供が腹を割かれて死ぬ事件が頻発するお話と、山の中に突如として現れる「小さな家」のお話。真相が救いなく猟奇的で大変に好み。個人的には「狐鬼」の方が好みで「蟇家」の方は然程でも無かったかな。ミステリィ的には「それありなの?」感はあるが、雰囲気でごり押すのは嫌いじゃない。
④目貼りされる座敷婆 ★★★☆☆
説明が分かり辛い!!収録作の中で一番ミステリィしている論理的な作品だと思うのだが、説明的な台詞が多く、やや辟易した。「妖怪研究会」や会員の四角関係など魅力的な設定は殆ど死んでいる気がする。短さも相まって「入る」前に終わってしまった印象。また、取ってつけたようなオチも個人的にはイマイチである。
⑤佇む口食女 ★★★☆☆
怪異譚部分はかなり好き。野焼や葬式に係る村の特異な習俗に興味を唆られる。惜しむらくは「真相」が平凡なところか。意外性に乏しく「ふーん」となってしまったのは否定できない。
こうして感想を書き出してみると、やはり「怖かった」という印象が薄く、変格寄りのミステリィを読んだように感じる。論理的かつ明瞭で相応の驚きを提供してくれる佳作群であった。良くも悪くもここから種々の「三津田沼」に枝分かれしていくための登竜門的な位置づけなのだろう。 -
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ネタバレこれはホラーだな、と思ったら本格ミステリにもなっているそうだ・・裏表紙から
その村には、山の上に神櫛家、少し下の小山の上に谺呀治(かがち)家があった。
谺呀治家の祖母は憑座(よりまし)という憑き物落としの重要な役目があった。それは代々受け継がれて来た。
祖母の叉霧(さぎり)という名前も娘の嵯霧、孫の紗霧へと読みは同じでも表記の違う形で受け継がれている。
落とした憑きものはお札に移されて緋還川に流されてきた。
そして四人が怪死を遂げる。
死体は共通して、カカシの笠をかぶり蓑をつけていた。
山神信仰も案山子様を祭ることもまだ行われていた頃。
何の祟りだろうといぶかしむ。
フラッと訪れた、怪奇作家で、話の収集家である刀城言耶は、この謎を解く探偵役になる。
日本の古来からある、憑き物落とし、生霊や死霊や、ものの化、それを払う儀式は今でも生きているようだ。
風習にかかわる民俗学的薀蓄は、とても興味深い。
三津田信三は、本格ミステリの枠内で怪奇と幻想を単なる物語の装飾としてではなく、本質的な構成要素として扱い続けている稀有な作家である。
合理的科学的な生き方が現実的であると思われている今、こういう風土が今も残っている、土俗的な時代がかった非現実の世界のようにも思われるが、孤立した山の中に残っている因習や、神頼みは、もっとも自然に近い人々の生み出した魂の物語かも知れない。
次第に物語の中にしか見られなくなっているかもしれないが。不思議な物語で面白かった。 -
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『首切の如き裂くもの』:籠手家と阿曇目家の縁談があったが、旦那は戦後の心神喪失にて縁談は間延びになる。両家の前の行き止まり路地で首切の犯行が4件あり、旦那も行き止まり先の祠で首切自殺をする。旦那の弟旭義と縁談をまとめようとするが貴子は拒否。付き纏う旭義の前で貴子が首切される。旭義が犯人かと疑われるが凶器がない。
凶器消失トリックが烏の特性を活かすとはふむふむ。
『迷家の如き動くもの』:薬売りの女性2人が違う村経由で出会い意気投合。他に男性2人とも出会い話をするが謎の家があったなかったの話に。家が動き人を喰う迷家なのではと。言耶登場で謎解決。村の伝承がそれぞれ違うので家がそれぞれ違うとな。
『隙魔の如き覗くもの』:多賀子は隙間があると覗いてしまい、そこに未来の情景が見えてしまう。多賀子が学校の先生になり、とある夜に校長先生が自宅で殴殺される。過去に生徒を殴り殺したり強姦していたとされる校長先生。学校にいた多賀子の同僚が殺したのか?ただ全員には多賀子がアリバイ証明できてしまう状況。隙間があるとら覗いてしまうという多賀子の習性をアリバイに使うトリック。覗いた先にトリックアートとはなかなかの力技ではある。
『密室の如き籠るもの』:猪丸家の第五代当主にあたる月代が見当たらなくなり、家に葦子という謎の女が連れて戻ってくる。葦子は先代の妻たちが亡くなった2階の部屋で狐狗狸さんを行い、その力を見初められ猪丸家の当主と結婚する。葦子は2階の部屋にて狐狗狸さんをしなければと言い出し部屋に籠ると、その後密室と化した部屋の中で刺殺体として発見される。言耶の乱歩の密室講義を引用した謎解きは分かりやすいし面白い。葦子の密室の謎が、葦子の悲しき過去と月代の子供ながらの願いがリンクして結末が胸に刺さります。 -
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ネタバレ大学生の瞳星愛が、友人である唄子の頼みで、彼女の実家で行われる婚礼に参加することになる。
辺鄙な村での風変わりな習慣、村民が恐れる嫁首様の呪い、本家と分家の確執、気味の悪い死体、ホラーとミステリーがてんこ盛りの一冊である。
村にとっては部外者の愛が、嫁首様を祀る迷宮社、山の中で、すご〜く怖い目に遭ってる。読んでいるこちらもコワイ。刀城言耶の助手、天弓馬人が登場するのは終盤も終盤なので、愛はそれまで、分家の四郎と協力しながら謎を解こうとする。この四郎、語尾に必ず「け」がつく、かわいい喋り方をするし、愛とのコンビもいい感じだったのに‥ラストはちょっとショックだった。
ミステリーに関しては、まあ強引な解釈もあったし、ホラーに関しては放置されたままの謎のもあり、そこは怪異との認識なんだなと。ちょっと消化不良な面もあったけど、怖かったし面白かったので良しとする。