あらすじ
異形のホラー作家・一藍が10億という巨額の費用をかけ、造りあげた廃墟庭園。そこでは行方不明者が続出し、遺体で発見される者も出た後、ついに作家自身まで謎の失踪を遂げた。そんな血腥い曰く付きの場所、“魔庭”をロケハンするために訪れた映画関係者たち。彼らに、想像を絶する恐怖と怪異が襲いかかる――! あらゆる場所に仕掛けとたくらみが張り巡らされた驚くべき庭園。そして、一行に執拗につきまとい、殺戮を平然と行なう黒怪人の正体とは? 絶叫必至、疾走感にあふれる驚愕のホラー・ミステリ。オマージュにした映画を紹介する、著者書き下ろしの「好事家のためのノート」も収録。
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Posted by ブクログ
1.登場人物
籬帖之真(マセジョウノシン)…29歳、俳優
平島玲子(ヒラジマレイコ)…27歳、女優
粕谷恵利香(カスヤエリカ)…18歳、グラビアアイドル
城納莓(ジョウナンマイ)…20歳、大学2年生
騎嶋豪(キジマゴウ)…33歳、映画制作会社営業課長
東男英夫(アズマオトコヒデオ)…46歳、映画制作会社企画部長
2.物語の始まり
拷問室に閉じ込められた大学生青年と高校生少女。
少女は壁にバンザイの姿で両手をつながれ、膝を折った状態で座らされていた。青年は両手と両足を縛られて、台の上に磔にされていた。
何とか抜け出した少女。青年を助けようと台に縛られた紐を解いた瞬間、罠が作動。四方から刃が出てきて青年を切り裂いた。
3.世界観や価値観
ホラー作家が10億円を投じて造った廃墟庭園。そこでロケハンをするホラー映画の関係者たち。
庭園には色々な罠が仕掛けられていたり、趣味の悪い石像が建てられたりしていた。
それでも先へ進もうとする映画関係者たち。
次々と姿を消していく映画関係者たちだが、残った者たちは先へ進もうとする。
そのほとんどは、ホラー映画撮影のためだった。
4.物語のキーワードとテーマ
タイトルからも分かる通り、日本映画特有のジメジメしたホラーではなくスプラッタホラー。
登場人物たちが猟奇的な形で次々と殺されていく。
しかし、著者がもともとホラーとミステリを融合させた作風の作家なため、ただのスプラッタホラーではなく、しっかりと本格ミステリにもなっており、物語の違和感を辿れば謎が解けるようになっている。
大抵、このような作品の場合、再読したいと思うことが多いのだが、猟奇的な部分も多く、二回目を読むことに躊躇いを生じる。
ただ、こういう作品が好きな人にはたまらないかもしれないが。
Posted by ブクログ
スラッシャーものを始めとしたホラー愛溢れた作品。
これらの映画はあまり好きではないのだが、見てみたらおもしろいのか?見方によるのか?なんて考えながら読んだ。作家の三津田先生が好きなので世界観をもっと知りたい気持ちもあるかも。
描写はかなりグロテスクで読むのが精いっぱい。映像だったらかなりトラウマになりそう。
でもしっかりミステリ要素や最後につながる伏線がちりばめられてて、予想ができていた部分もあったけどそれも織り込み済みで完成度がとても高い。メタ系は苦手意識があったけどちゃんと考えれば理解できるものでよかった。完成度の割に評価が低いとも感じた。
二次文庫用の要素(付録)もあってこちらを買ってよかった。
Posted by ブクログ
ホラー作家の一藍が作った廃園を探索する番組に参加した俳優、女優、スタッフたちがそこに潜む『影』によって次々に惨殺されていくスプラッタホラーが主なストーリーだったが、その背景にメタ要素や名作ホラー映画のオマージュがふんだんに盛り込まれていて「いつもとは毛並みが違う三津田信三作品だな。」という風に感じた。終盤で明かされる「影」の正体や動機はホラーの魅力故に、という感じで良かったが、終わり方が消化不良感が否めなかった。というよりは、続編ありきで作ったのかもしれないが…
Posted by ブクログ
B級ホラーの味わいが楽しい。読み通した後でもう一度読み直すと登場人物がみんな可愛くて可愛くてたまらない気持ちになります。もはや愛玩動物の可愛いところ百連発動画のような感覚。殺人描写にも力が入っていて読んでいてワクワクするけれど、人ってこれだけのことをされてもショック死とかしないもんなのかなという疑問がわいた。致命傷じゃなければ結構元気なのだろうか。
Posted by ブクログ
ホラーというかなんというか...
いや、ホラーとして書いたんでしょうけど
どっちかというとアクション作品みたいなノリですね
ホラーとして読むとがっかりすると思います
殺人シーンはかなり残虐だけど
全然気持ち悪くも怖くもない
ただかなりテンポ良く読めるので
残酷シーン苦手な人もスラスラ読めそうな気がする
作者自身も楽しんで書いたと言っていますが
ノリノリ感が伝わってきます
私も楽しく読めました
Posted by ブクログ
わかるよ、書いてる本人最高に楽しかったんでしょうね。
ご本人がハマってきた古典ホラーのオマージュ満載で。
民俗系と違って楽しんで書いてるのがよく分かります。
その分読者は肩透かし。
ホラーというより作者の笑顔が思い浮かぶ。