森絵都のレビュー一覧
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ネタバレバターの後だったので俄然読みやすくて、一気に読めました。最近やっとティーンネイジャーの物語を、冷静に他人事として読めるようになってきた気がする。今までは自分の10代の頃と比較してしまい、自分はこんなに色々考えて過ごせていたかな?こんなドラマチックなこと起きたかな?信頼できる人はいたかな?とか考えて落ち込んだりしてたので、作り話である、と理解して読めるようになったのは、恥ずかしながら最近なのである…。
面白いことを求めて屋根のぼりをする中学生と、その子達の関わり合いの話。大人になっても人は、自分に必要な刺激を求めて、色んな方法で自分の中のモヤモヤを晴らしているんじゃないかと思う。安全圏内で。サク -
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中学生がクラシックのピアノ曲との不思議な出会いで、不思議な体験をする短編3編はメルヘンのように美しく、懐かしい思いにさせられる。「ボク」や章、智明、ナス、じゃがまるの従兄弟5人が毎年8月に集まり過ごす章の父の別荘で、毎晩眠気と闘いながら聴くシューマンの「子供の情景」、不眠症の「ボク」が廃校舎で謎の少女藤谷りえ子の弾くバッハの「ゴールドベルク変奏曲」を聴いたことから始まる2人だけの心の交流の世界、「わたし」が同級生の君絵と通う絹子先生のピアノ教室で出会ったサティ似のフランス人の小父さんも含め4人で体験する楽しい時間。エリック・サティの「童話音楽の献立表」によるワルツを踊る喜びが溢れている。3編と
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ずいぶん昔に出た本だが、少し前にフォローしている方のレビューを読んで「読みたい」に入れていた。
中学生が主役の、3つのピアノ曲をもとにした3つの物語。少年たちだけで過ごす海辺の別荘、誰も来ない旧校舎での二人だけの会話、風変りな先生と突然現れたフランス人のおじさんとともに楽しんだピアノ教室。
読み始めれば、うまく言い表せないが、最近の本とは異なる文章の雰囲気を感じ、なんだか懐かしい感じになる。
ちょっとモヤっとすることや我慢しなければならないことはあるけれど、生き辛いや心が塞ぐでもなく、少年少女のこれからの人生に対する楽観や肯定があり、本を閉じてからは多感な時間の終わりに切なさが沁みてくる。
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ネタバレ鳥井さくら
二年A組。進路調査のアンケートに不明と書き呼び出しを受ける。さくらは万引きで捕まるが梨利は逃げた。戸川に逃がしてもらった。
中園梨利
さくらと親友だった。ケンカをしたわけでもないのに気まずくなって、おたがいを避けあうようになった。
担任
三十路を過ぎた。演劇部の顧問。
勝田尚純
二年C組。進路調査のアンケートに中園梨利と同じ学校に行きますと書き呼び出しを受ける。
戸川智
二十四歳。独身。酒もたばこもやらない超まじめ男。スーパーでバイト中。
へび店長
スーパーのタツミマートの店長。智は甥っ子。
露木幸一
智の友人。ウィーンの音楽学校に通っている。
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森さんの作品は確か何冊か読んでる。
読みやすい文体と、分かりすぎるぐらい、どうなるのかが分かるストーリー。
ただ時々、はっとする言葉に出会う。
本を読んでると、その時自分が求めている言葉と言うのに出会う事がある。
言ってほしい言葉なんだろうと思う。
今回もそれがたくさんあった。
ストーリーは中学生の女の子がかっこいい従兄に憧れて、その従兄が挫折していなくなったことに絶望して。。と、思春期あるあるの心の変化を森さん独有の言葉で綴られている。
自分の思春期も思い出したりして。
似てるなぁ。。いや、ほとんどの人がどこかしら似てると思うんだろうなぁ。皆通ってきた道だからかな。。
何者になるか -
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シューマン、バッハ、サティのピアノ曲を副題に持つ3遍の短編集ですが、子供達の成長を扱った短編集でもあります。子供は何故か中学生期限定。
1作目はいとこ同士で別荘に集まる夏合宿の話し。別荘に集まるのは子供達のみ。皆の中心である章くんが来年は高校生となるので、今年が最後の合宿ですが、、、佳作。
2作目はふとしたきっかけで知り合った中学生男女の話し。時期は中3秋から卒業まで。こちらも登場人物は子供のみ。個人的にはこれが1番好きでした。
自分の事しか考えられなかった男の子の、ラスト近くの「おれ、どうしても気になってしょうがないんだけど、、、」に続く台詞が泣かせます。相手のことを受け入れる覚悟を持っ