森絵都のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
朝井リョウの書評を読んで気になっていた本。個人的には久しぶりの森絵都。さすがに面白くて、600頁超えでもぐいぐい読んでしまう。
GHQの占領下、民主主義教育の実験と称して集められたバックグラウンドの異なる少女へのレッスンの日々が綴られる。
前半は日系二世のサクラギ先生の視点で。民主主義ってそもそもなんだっけねぇ…と平和ボケしたわたしも一緒にレッスンを受けている気分になる。
後半は”被験者”の少女のひとり美央子の視点で。こちらは少女たちの連帯とどんでん返しが描かれる。痛快なので美央子と一緒にシャンパンをラッパ飲みしながら読みたい。
はたして読み進めながら民主主義のことを考えるにつれ、まだこの現代日本社会に定着してないのではと思えてくる。
作中にも、まだ民主主義の土壌のない日本なのに、使い道の無い新しい翼を授けてしまった残酷さに打ちのめされるサクラギ先生と、そんなことはとうに承知していたと言う少女たちの温度差が描かれているが、いまはもう戦後80年を過ぎている。日本は民主主義国家(になったはず)である。
にもかかわらず、未だに私たちは「まだこんなこと言われるのか」と思わず天を仰ぎたくなる事態にたびたび直面するし、時には抗ってみるものの、多くは「まあ仕方ないよね」と諦観するし、海外のニュースに触れては新たな考え方に目を開かされる思いをする。まだまだ民主主義のレッスンの途中である。
さらには緊張感の高まる世界情勢のなか、戦時中の市井の人の加害者意識にも軽く踏み込んだ作品をこのタイミングで読めてよかった。
「語られたストーリーを信じるな」
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塾と教育と経営と家族の話。
以下、感想ではなく備忘。
塾には2回行ったことがあることを思い出した。
最初は中学3年の夏休み。地元大手のチェーン塾の10日間ぐらいの短期夏期講習。数学と英語を集中的にやるというのを受けてみた。全然面白くないし、学校外の友達ができるということもなく、馴染めずにすぐに終わった。金だけ使わせて親に悪いなと思ったことを思い出す。塾というものに行かないといけないのではないかと思っただけなのだった。
最後は高校3年の春頃から受験までだったか。部活仲間の紹介。小さな地元の塾で、文系だったので英語と古典の講座をとった記憶がある。講師がそれぞれに面白く明快な解説で、受験勉強に特化して実にわかりやすかった。大学に無事に合格して報告してそれっきりだが、紹介してくれた仲間は恩義を感じてそのままアルバイトもしていたという噂を聞いた。
今の時代の塾産業はどうなっているのだろうか。YouTubeで無料で勉強を教えてくれるコンテンツもあるし、あの頃は無数に宣伝されていた「人気講師のサテライト授業」とかいうのも余程でないと成立しないだろうな。
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ネタバレ中学生に丁度いいらしいとの事で朝読書用に買い、自分も読んでみた。
中学生のパパ活やら母親の不倫やらの描写があったので、子どもが読むのちょっと嫌かな…と思いつつも子どもが読んだ後なので何とも言えないが、そういう生々しい世界もあると知るには丁度いい…のか?
内容的には、多感な時期の男子中学生が上手く描かれていたと思う。十人十色、色々な人があっていい。それぞれ色々な悩みがあって、色々な思いがあるものだ、と子どもが知っていてくれたらいいなと思う内容だった。パパ活も不倫もやだけど。
主人公の成長ぶりは、このカラフルな世界で生き抜いて欲しいと思えるものだった。 -
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ネタバレ冒頭から物語の世界に入り込むまでがすごく読みやすく
若い世代へおすすめされていた理由の一つが分かった。
もちろん物語全体のテーマも多感な学生時代を過ごしている方にとっては
とても響くということもあるが。
真の境遇(家族への不信感や芸術の世界が救いの場所、地味な見た目等)
に自身の学生時代に似たところがあるなと思い共感することが出来た。
確かに周りが全部敵に思えて理解されなくて辛い事ってあるよな、と。
でもみんな理由は違えど何かしら傷ついていてそれでも何とか生きようと
もがいているのは一緒。
それに自分が気づいていないだけで、気にかけてくれている人や
気持ちが通じる人というのはどこかに必ず存在している・・・。
だれもがこの物語に登場する誰かに自分を重ね合わせながら読むのでは。
そんな静かな優しさを感じる作品だった。
「もし、自分が知らない誰かの体にホームステイするなら、
どんな事をしてみたいのだろうか?」
もしくは「実は、今の自分は再挑戦の真っ最中なのかも」などと
想像してみると、本当は自分がどんな風に生きたいのかという輪郭が
少しはっきりしてくるのかもしれない、そんな風に思った。
そしてそれに挑戦してみることは、自分が思っている以上に
実は簡単なことなのかもしれない。
ラストシーンに描かれているように、誰もが「一歩を踏み出せる」
勇気を手渡してくれるお話。 -
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ネタバレまた読書メーターで文字数が足りなくなったからこちらに続き。中学の時はひろかや唱子とのやりとりが記憶に強かったが、今回は「生きること」に対して。自分として生きるのも「ホームステイと思えばいいんじゃない」というのと、あと死ぬ時に、特に覚悟なく睡眠薬を大量に飲んだ、というところが印象的だった。ふと思ったのが、やはり簡単に人を殺せたり死ねてしまう (銃や薬)はよくないんだよな (薬は存在自体はしょうがないというか、存在自体を否定するわけではないんだけど)。
死ぬなら、ナイフのように、自分の手で持って死ぬ、殺すみたいな覚悟が必要で、そうでもなく「簡単に」生死を左右できてしまう、特に他人の生死を左右できてしまう銃みたいな存在って、やっぱりあるべきじゃないのかもな、あったとしてもそれってよく考えられるべきだよな、と思った。 -
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本文から
「ぼくは真(自身)の傷にとらわれすぎていて、他のみんなの傷に無頓着すぎたことを恥じ入った。この大変な世界では、きっとだれもが同等に、傷ものなんだ。」
自身が何かで背一杯の時やひとり視点の人生を生きているときに、相手の気持ちを考える時間というのはなかなか取りづらい。あったとしてもそれを考えるだけで気持ちがマイナスになったり悩み事が増えるだろう。人は一人分の人生しか生きれないのだから2人分以上の事に足をつっこむ必要はない。しかし、誰かのことを考えるときに十人一色といった溢れ出る感情や学びを得られるのも事実だろう。「相手を想うこと」これは人生を生きる上で避けられることだが避けるべきものではなく、できたらできるだけするくらいの生き方で付き合えたら「カラフル」で色鮮やかな日々を送れるのではないだろうか。 -
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戦後日本に駐留したGHQによって、民主主義の定着のための施策として、4人の様々な社会階層の娘たちが選抜され、共同生活をしながら民主主義を学ぶというユニークな設定のもとで繰り広げられる事の顛末。戦後の混乱期の4者4様の境遇は、日本人が実際体験した数え切れない悲劇を反映している。こういう無辜の市民の「もう戦争はこりごり」という心からの実感が、80年余続く日本の平和主義を維持する原動力だったのだろう。日系2世リュウがあまりアメリカ人っぽくなかったが、民主主義の本質に関わる考え方を展開しつつ、予想外の展開で最後まで引きつけて先へ先へと読ませる語り口は、さすがベテラン作家だと思った。
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民主主義とは何か。
戦後間もない日本で、それを学ぶために集められた4人の女性たち。教えるのはGHQから派遣された日系二世のリュウ・サクラギ。
長く家父長制と軍国主義のもとで生きてきた彼女たちは、試行錯誤を重ねるレッスンを通して、少しずつ自分の頭で考え、自ら判断し、行動するようになっていく。
物語としては王道の展開で、ラストもそれぞれが自らの意志で未来を選び取っていくという結末だ。ある程度先を予想できるからこそ、不安なく物語に身を委ねることができた。
登場人物それぞれのキャラが立っており、民主主義という一見難しそうなテーマでありながら、一気に読ませるテンポの良さがある。
一方で、女性たちの意識が変わったからといって、社会そのものがすぐに変わるわけではなく、現実の厳しさも突きつけられた。
戦後80年を経た現在、日本は民主主義国家とされている。しかし、私たちは本当に自分の頭で考え、自らの意志で選び、行動できているのだろうか。改めて考えさせられる一冊だった。 -
Posted by ブクログ
読み始めて、再読だったことに気がついた
久しぶりの感覚でもう一度読むことに
言えなかったこと、
どうして言えないんだろうって未だにあるな
言葉の上書き、
取り消すことはできないけれど必要な時はある
ほんとうにいなくなってしまうこと、
時間とともにうすれていくこと、
そうなると届かなくなってしまう言葉がある
たった一言の短い言葉、
それでも誰かのあしたが元気になることがある
子どもたちの
心の内がたくさん書かれていて、
これまでにどこかで通りかかっていそうな
大人になってもわかるよという気持ちになった
とっさに、うまく言葉にできるといいな