森絵都のレビュー一覧
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小学生ならではの言葉を飲み込む瞬間が、あるよね〜と思いながら読んだ。けれど舞台が学校、目線が小学生なだけで、大人社会にも当てはまると思った。子ども目線だからこそよりシンプルで、ほっこりする話ばかりだった。
学校が嫌な時期は、「またあした」って言葉は憂鬱だったけど、大人になると「またあした」っていう機会がほとんど無いから、学校は「またあした」が保証されている貴重なコミュニティだったんだな。たとえ言葉を飲み込んでも、言い過ぎて後悔しても、また伝えるチャンスがあるっていうこと。
社交辞令じゃない「また」が保証される居場所がいくつかあったら幸せなのだと思った。 -
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前半、あまり好みでない作品が続きましたが、後半すごく良かったです!
おもしろかった3作品
「こっちを向いて。」
分かるー‼︎って話でした。大人になってから友達作るのって難しい。こちらと向こうに友達を作ろうという願望が、まさに同じタイミングで存在しないと成立しない。
自分が今までに経験した感情が言語化されてる感じで気持ちよくて、そして切なかったです。
「ラインのふたり」
いたずらして笑ってはいけないのに全身で笑い出したくなる感じ。笑いすぎてお腹痛くて涙出る、みたいな。そういう時の女子同士の連帯感を思い出しました。
終わり方も良かった。
「獣の夜」
一番好きです。ジビエ、全然興味なかったけ -
Posted by ブクログ
子供の教育に情熱を注ぐ一家のお話。
祖父・祖母が出会うところから孫の代までお話が続いていて、登場人物一人一人のストーリーに繋がりや補完性があって、とっても読み応えがあった。
戦時中の軍国教育から一転、資本主義国家における基本教育法が制定されて、塾の台頭、ゆとり教育、所得格差の拡大と塾に通えない子供達等、各時代における教育の変遷とそれに尽力した人々のお話。
母が幼稚園教諭の私は、母の苦労とか愚痴を聞きながら、よその子供の面倒を見る教育の仕事は慈愛に満ちた人じゃないとできない、自分には無理って思ってた。(今も思ってる)
このお話を読んで、子供の成長を間近に見守ることはそれでしか得られない栄養と一 -
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ネタバレどの話も読後が爽やか。仕事頑張ろう!と思える話もあった。
守護神の主人公がレポート代返のために人探しに奔走するところで、そのエネルギーをレポートに使えばいいのに。と思っていたが蓋を開ければ読書好きがたたって拘りが強く、おまけに金銭的にも苦労していてバイトに時間をとられて…と読み始めと良い意味で印象が変わり面白かった。心強い守護神に会えたからレポートは上手くいくのかな。
ジェネレーションXも事勿れ主義な主人公か?と思っていたけど、乗り掛かった船で自分に関係ない仕事に付き合ってあげてて、いい人やん!と。まさかの過去に笑った。
最初の話の主人公は仕事と恋人のどちらをとるの、というよくある話。こ -
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第9章とエピローグがとても好きだな…。
「永遠」という存在は自分にとっても、そうありたいと考えてしまうものである。例えば、富士山や星、宇宙などどこか特別感があるからである。また、無くなることは恐ろしいことだとも思ってしまうからだろう。
しかし恋をしている時であったり、趣味に没頭しているときであったり、勉学に励む年だったりは、「永遠」ではなく、比較してしまうと「一瞬」である。そんな一瞬一瞬を私も主人公と同じように愛おしく感じる。なぜなら有限である人生の中に数回しかない一瞬もまた、特別なものであるから。
永遠を憧れるのではなく、一瞬を愛することをこの本を読んだことで大事にしたいなと思いました。