森絵都のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
(後半と合わせての所感)
中1という思春期に差し掛かる頃の生徒たちの1年を見つめたクラス小説。特定の誰かではなくクラスメイト全員をそれぞれの章で取り上げ描いた作品。
クラスには当然色々な子がいるわけで、可愛い子、しっかり者、意地悪する子、だらしのない子、家庭に事情がある子、彼らがクラスで織りなす人間関係は決して綺麗事ではなくて、でもその一つ一つがまさにこの年代の子どもたちにあるよなあということばかり。当然担任もその中で右往左往するわけだけど、1年が経って様々なエピソードを経た最後には確かに生徒たちの成長に触れられる作品です
自分と重なるキャラを見つけられれば一層共感すること間違いなし! -
Posted by ブクログ
解説の一文「ああ、そうか、大人になったとしても、私たちは何度も間違えるし。見失う。だとしても、間違えて初めて見える景色がある。わかることがある。間違えてもいいから踏み出さずにいられなかった一歩があって、そのことがこれからも自分を支えてくれる。希望と言うなら、それこそ希望なのではないか。」
一つ一つの短編を読みながら、声を出してわらったり、泣いたり、共感してた私は、最後にこの文章に出会ってまた泣いた。
大人になると失敗を恐れるし、みえてくることも増えて後悔も多くなる。ふりかえらなければいけない過去も増えて、辛い経験も増える。
でも、それを選択せずにはいられなかった、経験せずにはいられなかった、だから今の私があるんだと読み終えた後は思える。
みっともなくても、惨めでもいいじゃないか、生きていれば、希望はある。そんな風に思える作品集。
ヨハネスブルグのマフィアで主人公は何年生きても、初めてのことにであって感動することに驚いていた。10年経っても、また新たなことが起こる、起こってもいいのだと。
現在を見つめて苦しくなるのはやめよう、過去を振り返って後悔するのはやめよう、今見えてるのは人生の影、一部分だけなのだ。
なにがあるかわからない、人生いつも、気分上々。楽しんで生きよう。 -
Posted by ブクログ
13 秋の日は…… (久保由佳)
14 伴奏者 (心平)
15 見いつけた (田町)
16 マンホールのふた (日向子)
17 イタル更生計画 (ノムさん)
18 プラタナスの葉が落ちるころ (このちゃん)
19 彼がすぐにキレるわけ (近藤)
20 ジョーカー、あるいは戦士 (楓雅)
21 バレンタインのイヴ (レイミー)
22 約束 (真琴)
23 イタルが至る (イタル)
24 その道のさき (ヒロ)
24人のクラスメイツ一人に一つの短編を作って24編、同時期の話ではなくその1篇1篇が少しずつ時間をずらして書かれていくから、24編読み終わる頃には1年が終わっている。
小学生から中学生になったばかりのドキドキしている初々しい4月からすっかり中学生が板について2年生に上がる目前まで成長した3月。大人にとっては短い12か月でも13歳と言う多感な年齢にとっては長い12か月。24人が少しずつ成長していくのも、まるでわが子を見ているようで楽しい。
1人が主人公だと、その子から見て仲の良い子は良い子、仲が悪い子嫌な子とっつくにくい子は悪い子、と表現されてしまいがちだけれど、1人1人に視点を当ててお話を作ると、その子にはその子の事情もあり言い分もあり正義もある。人間関係ってそういうもんだよね、と13歳の生活を振り返って学ばされる大人。
さらりと読めるのにとても深い、すごく良本だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【要旨】中学1年生24人のクラスメイトたち、その1人1人を主人公にした24のストーリーで思春期の1年間を描いた連作短編集。前期・後期の全2巻。 うれしい出会いや、ささいなきっかけの仲違い、初めての恋のときめき、仲間はずれの不安、自意識過剰の恥ずかしさや、通じあった気持ちのあたたかさ。子どもじゃないけど大人でもない、そんな特別な時間の中にいる中学生たちの1年間。だれもが身にしみるリアル。シリアスなのに笑えて、コミカルなのにしみじみとしたユーモアでくるんだ作品集。
1 鈍行列車はゆく (千鶴)
2 光のなかの影 (しほりん)
3 ポジション (蒼太)
4 愛と平和のシメジ (ハセカン)
5 1001人目の女の子 (里緒)
6 神さまのいない山 (アリス)
7 Pの襲来 (吉田くん)
8 夏のぬけがら (陸)
9 言えなくてごめん (ゆうか)
10 ゆらぎ (美奈)
11 悲しいことを悲しむ (敬太郎)
12 炎のジャンケンバトル (タボ)
感想はまとめて後期に -
Posted by ブクログ
2014.10.21
アルジャーノンが全然読み進めれないから息抜きに。
短編集だから比較的楽に読み進めれた。しかも女の作者さんだからか、この気持ちすごいよくわかるわー!ってなった。来年社会人だし、ここに描かれている女の人たちにあたしもなっていくんだなぁと思うと、ただただ切ないし少しでも抗いたくなる(笑)
フクちゃんのお店のお話が、まさかあれで終わるとはなぁって感じ。運命って怖いし、見えない罠はどこにでもはられてるのね。
特に好きなのは蜂の巣退治する話!前向きになれるお話だったなー。
てか驚くほど全部すきだった。
カツラの石油王、恋に落ちたホームレス、必死に生きる女、40手前の女子会、結局は子供に従う女、カブトムシを放す女、高級スーパーの女、二人姉妹の結末、、、
あーー面白かった!!!! -
Posted by ブクログ
塾、というものに私自身はあまり馴染みが無く、そこから見る「教育」という視点が新鮮だった。
学校の勉強についていけない子供のための補習塾から、社会の変化と共に進学塾が台頭していく流れ、学校教育の変化も含めて、三世代に渡って壮大に描かれており、また、その三世代の軸となる人物が入れ変わることによる物の見方の違いも丁寧に書かれていて、長いお話だが一気に読めた。
読み終わって思ったことは、教育は対話なのかな、ということ。
教える、教わる、だけではない、もっと深い対話が本当の教育なんだろうなぁと。非常に難しいことだと思うけど。親と子という近く狭い間柄であっても、この物語の家族のようにたくさんすれ違うのに、他人同士の教師と生徒なら尚更。
だからこそ、求めても求めても満たされなかった千明さんが、最期、満たされないことに気付いて満たされる、みたいなことを思う境地に至ったときに、ぐっと胸を締め付けられるような気持ちになった。タイトルのみかづきも回収されるような見事な流れ、折々の月を交えた景色描写も美しかった。
個人的には、最終章の「新月」に出てくる直哉くんのお話が好きだった。自分の気持ちを表す術を、言葉を、「綴方」によって得ていく様と、それに辛抱強く向き合っていく様。また、これを読んで思い出したのがオーウェルの「1984年」。語彙を奪い思考停止状態にすることで統制する全体主義国家を描いたディストピア小説で、このお話の真逆のような世界。
言葉と、それを用いる術を持つことは、そのまま深く思考する人生に繋がるから、そういう意味でも教育の役割は大きいし、良いところも悪いところ(操るツールにもなってしまう)も、その時々の社会によってあるんだろうと感じた。(戦時下のプロパガンダ的な教育など) -
Posted by ブクログ
戦後、GHQ、マッカーサー、そういう時代。
GHQの一声で、民主主義のレッスンを受けることになった四人の女性達。教師は日系二世のリュウ。
リュウの時々おかしな日本語や、レッスンの場所を提供してくれた仁藤子爵夫人のマンガのような「ホーホホホッ」なんて笑い声が挟まれながらも、初めて触れる民主主義を吸収していく四人…まるで、朝ドラのような…という話ではありませんでした!
後半は目を疑う展開になってきて、これは朝ドラでは無理!という雰囲気にΣ(゚д゚;)
でも読み進めていくと、やっぱりクスクスっと笑えるところが見え隠れします。映像化した場合、肝は確実に仁藤子爵夫人だな( ˘ω˘ )と勝手に妄想。
同じ年頃の女性といっても、戦争で失ったものの違いで、心を許し合えるかというと、それは簡単ではない。けれどそこを乗り越えて絆が生まれていく様はぐっとくるものがありました。
そして、最後には四人それぞれの民主主義に対する解釈ができたこと、力強く前を向いて歩き始めたこと…爽やかな読後感。やっぱり映像化はありそうな気がします(*ˊ˘ˋ*) -
Posted by ブクログ
上巻で描かれたスクールの少年たちが、それぞれの想いと気概を胸に、オリンピック選考会へ臨む。
若いオリンピアンたちは日々どれほどの研鑽を積み重ねているのだろうと思いますね。本作でも、仲間でありライバルでもある関係、尊敬と嫉妬が交錯する中で、10代の少年たちが悩みながら確実に成長していく姿が描かれます。
森絵都さんの作品を何作か読みましたが、彼女は親との関係性を過度に掘り下げない作家さんだなと思います。だからこそ、当事者である年代の読者にとっては、自分の物語として受け取りやすいのかもしれませんね。
一方で親世代として読むと、少し歯がゆさも残りますね。もっと 頼って欲しいような。スポーツの世界が大人の事情や社会の仕組みの中で動いている現実もきちんと書いてある事は
好感が持てます。
青春小説でありながら、夢だけでは進めない現実も描いた、スポーツ小説でした。
-
Posted by ブクログ
2003年第52回 小学館児童出版文化賞受賞
私は、森さんの原作とは知らずに
アニメからDIVEを知りました。
アニメの方が、もう少し軽めのタッチだったような気がします。
主人公と思われる少年は中学生。
スポーツ青春小説で、児童出版文学賞を受賞しただけあり、小学高学年あたりから充分楽しめる作品です。
存続さえ危ぶまれているダイビングクラブを舞台に少年たちが飛び込み種目でオリンピックを目指します。
現実のオリンピック選手にも 人格も洗練されている方も多く、各業界トップに立つ選手は、視野も広い。そんなサラブレッド的選手や、自分の才能にも気が付かないごく普通の少年や、野良でダイブしてきた少年が織りなす
時々読みたくなる 青春ジョブナイル。
下巻へ