綾辻行人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
終盤近くになるまでホラー小説だという意識はまったくなかった。
精神的な迷路に入り込んでしまった男・波多野森吾の内面の葛藤を描いた物語だと思っていた。
精神に異常をきたした母親・千鶴。
医師から遺伝性の怖れがあると聞かされた森吾は、自分の未来を思い衝撃を受ける。
雷やバッタの羽音に激しく反応する母。
「ゆい」という名前への狂ったような拒絶。
すべてがわずらわしく、母の元から足は遠のくばかりだった。
幼なじみのゆいの強い勧めもあって、森吾はようやく母の過去を調べるために動きだす。
母は養女で実の親は別にいることがわかり、母の生家へ向かってはみたが・・・。
記憶が徐々に欠落していってしまう。
忘れて -
Posted by ブクログ
(ネタバレします)
下巻。タイトルで館シリーズを連想させておいて館ものじゃないのかよー!くぅー!と思わせて館もの!!正直この作品の最もキモとなる部分はそこで、他の部分はおまけと言ってしまっていいのでは。
びっくりするくらい人が死にます。死にまくりです。
こんなに殺されまくりなのは珍しいのではないでしょうか。
正直画風が苦手だと上巻の感想に書きましたが、死体の描写はかなりリアルというか、迫力があって良かったです。
そして明かされる犯人と真相。
うーーーーーーーーーーん。
やっぱりこの話のキモはあそこで、正直この真相自体は意外性に欠けるというか、ひねりはほぼないよなあ。
(しかも時計のこととか上巻 -
Posted by ブクログ
(ネタバレします)
気になっていた作品が文庫化したので購入。ですがほとんど値段は変わらず。なおかつ単行本版は装丁があの祖父江慎だったらしく、モノとしてはそちらの方がよかったのかな…と。(巻末対談・有栖川有栖氏の解説には価値がありますが)
さておき。
綾辻氏は未だ『十角館』しか読めておらず、佐々木さんは読んだことがなかったのですが、うーん、正直佐々木さんの作風は自分には合わないなぁという感じ。独特の表現が引っかかって素直に入ってきませんでした。
またテツだらけの登場人物たちのオタク談義も、正直斜め読み。
最後の最後に明かされる衝撃の真相も、すいません、ガチガチの私の頭では理解が追いつかず、巻末の -
匿名
ネタバレ 購入済み最後まで一気に読ませる展開なのは流石プロって感じだけど、かなり前半から犯人の行動が絞れるし、最後の三人になって一人が足跡についてしゃべり出した時点で、誰が犯人でなぜ二ヶ所で物語が同時進行していたかが決定的になる。(果たして残りの二人のうちどちらが犯人だったのかは一瞬迷うが、体格や印象からもほぼ確実)
後はダレて行くだけ。犯人発覚後の犯行説明もつまらないうえに、殺人の動機がストレートで意外性もない上に薄すぎて、読んでて心が動かない。プロローグの瓶もエピローグに登場するのに全く意外性なし。
最後に犯人が裁かれるニュアンスなのは良し。
こんなことで何人もの人を殺した身勝手な奴が裁かれ -
Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりの綾辻さん。館シリーズのような趣のミステリーですが、叙述系ではなく、若干ファンタジー要素を組み込んだ形です。
古い作品のリライト、ということですが、全体的につたなさというか、時代がかった感じがあり、それがいい方向に作用しているかというと、そうでもなかったり…。
ミステリーの謎解きもまた面白いといえば面白いのですが、やっぱりある程度はファンタジー要素に歩み寄っていかないと、上下巻引っ張ってのネタに肩透かしをくらわされることは避けられない、かと…。
大作ではありますが、綾辻さんの中で傑作か、というと、個人的にはやや疑問です。 -
ネタバレ 購入済み
ネタバレあり
館シリーズ2作目の作品。森深くに建てられた一件の水車を模した館。過去に起きた事件と現在の時間軸での出来事を交互に描きながら物語は進行します。
ミステリとしては優しめかな、所々の表現で入れ替わりにはすぐに気づける展開でした。由梨絵の藤沼紀一への態度が過去と現在で明らかに変化があることから犯人はほぼ確定的でした。むしろ古川恒仁の消失は確かに単純だけど想像させづらいミスリードを示していました。ついつい館に何かあるのではと疑ってしまいます。十角館の殺人が不意打ちで真相を告げたことに対して、推理としてはこちらが考えやすい内容です。次回にも期待します