日下三蔵のレビュー一覧

  • 松風の記憶

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    全集最終巻には、長編2編と探偵小説にまつわるエッセイを収める。
    表題作は、1959年から1960年にかけて東京新聞に連載された。全集第1巻の最後に収められた「文士劇と蝿の話」に、浅尾当太郎の悲恋への言及があり、それを書いた話があるの? と思っていたら、「松風の記憶」がそれだった。先に解題で、最初に単行本化されたとき「鷺娘殺人事件」の副題がついたということを読んでしまったため、いわばゼロ時間へ向かって読むこととなった。"鷺娘"が殺されるのは、全体の85%を過ぎたところ。そこまで、登場人物の動向と心情を丁寧に記しているのだが、それだけでも面白いのだが、いつどうやって殺されるのか

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    2010年08月01日
  • 團十郎切腹事件

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    中村雅楽(がらく)ものを年代順に編集(長編は別立て)。第1巻は1958年から1960年にかけて発表された、第1作「車引殺人事件」や直木賞受賞作の表題作を含む、18作を収める。
    雅楽ものは昔結構読んだが、単行本だったと思うので、立風書房版だったのか? 中村勘三郎が雅楽を演じた土ワイの2時間ドラマも好きだった。「奈落殺人事件」の、メイントリックではなくメイン錯覚はずっと覚えていたのだが、今回読んでいるうちに、ある人物が土ワイで淡島千景だったことを思い出し、それで犯人も確信(淡島千景が出ていて何でもない役というのはありえないでしょ)。いやあ懐かしい。再放送を見たいものだ。
    TVが出たて、新幹線はまだ

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    2010年08月01日
  • 岡本綺堂集 青蛙堂鬼談 ―怪奇探偵小説傑作選1

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    半七捕物帳で有名な人です。
    怪奇探偵小説って銘打ってますが、どっちかというと怪談話です。
    話の締めくくりのボカシ加減がいい具合に恐さを盛り上げてくれます。
    古いものですが読み憎さは感じません。

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    2010年01月19日
  • 江戸川乱歩全短篇(1)――本格推理(1)

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    江戸川乱歩というビッグネームに構えて読んだら、驚いたことにかなりタッチが軽くて読みやすい。
    よくもまあこれだけ書いたと思うほど短編の中にさまざまな種類の殺人やら事件やらが書かれている。
    この人の書くミステリはなぜか、読み終わると微笑んでしまうような後味がいいものが多い。

    個人的に好きなテーマはプロバビリティの犯罪。完全犯罪があるとすればこれはかなり近いと思う。
    でも好きな話は「二銭銅貨」「断崖」「二癈人」「石榴」かな。
    後者二つはラストがほぼ同じじゃないかということに今気付いたのですが、ストーリーとしてきれいに閉じてると思ったので。

    「二癈人」は、既に扱った夢遊病者というテーマを今度はどう

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    2009年10月04日
  • 團十郎切腹事件

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    古き良き探偵小説。江戸川乱歩に薦められて書いたのが始まり。著者は元々演劇分野の論者+探偵小説ファン。
    主人公の探偵/歌舞伎役者中村雅楽はエラリー・クイーンのドルリー・レーンが模範らしい。ありがちな捜査当局と探偵との確執もなくなんだか妙に和気藹々とした風情。

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    2009年10月04日
  • 横溝正史集 面影双紙 ―怪奇探偵小説傑作選2

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    漢字遣いがいまとは大分違うので、さっと文章に目を通した時やたらと漢字が多く、とっつき難い印象を受けます。
    だから読むまでは少し躊躇してしまうのだけれど、五行、六行でも読んでしまえばもう横溝正史の世界にどっぷりとひきこまれ、どうなるのだと頁をめくってしまう。
    こういった小説のジャンルはどう分けられるのか存じませんが、こういう薄気味の悪く、人間の愛憎たっぷりに描かれる世界観が好きです。
    これくらいの匙加減がわたしにとっては丁度のいい「怪奇さ」でした。

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    2009年10月04日
  • 久生十蘭集 ハムレット ―怪奇探偵小説傑作選3

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    魅力的な短編集。
    とりわけ『母子像』は脳内映像フル稼働・・・!胸の苦しさがかえって心地いいなんて。余韻にしびれます。

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    2009年10月04日
  • 江戸川乱歩全短篇(1)――本格推理(1)

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    これに収録された「二銭銅貨」がきっかけでミステリーにはまることに。
    「人間椅子」「芋虫」など、謎を解き明かされていくドキドキ感と江戸川乱歩作品が持つ独特の妖しい雰囲気は病み付きになる。

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    2009年10月04日
  • 久生十蘭集 ハムレット ―怪奇探偵小説傑作選3

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    久生十蘭の本で現在、手に入れやすい一冊。『黒い手帳』の端正な書き出しから幕を開ける。『海豹島』『墓地展望亭』の浪漫に酔いしれ、『月光と硫酸』の黒いユーモアにニヤリとし、『昆虫図』の最後の一行に戦慄することになるだろう。壮大にして精密な構成を支える文体の魔術師、少女小説から時代物までを書きこなす舞台の広さ。観客はこれから始まるであろう、久生十蘭劇場の開演を待ち望んで欲しい。

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    2009年10月04日
  • 赤い猫 ──ミステリ短篇傑作選

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    日本のクリスティーと呼ばれる仁木悦子。

    初めて読みました。

    正直期待していた程ではなかった。
    悪くはないけど。

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    2026年04月08日
  • 法水麟太郎全短篇

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    やっと読み終えた。
    難しい…。
    『後光殺人事件』『人魚謎お岩殺し』と『国なき人々』は楽しめた。とくに『国なき人々』はよかった。
    しかし、難しい…。

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    2026年04月06日
  • あやかしの鼓 ――夢野久作ベストコレクション 夢の巻

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    ネタバレ

    漂っているムードは良さそうだなと思って読んでいるのに、毎回手の中をすり抜けていくような感じに、納得できなかったりよくわからないまま終わる。この中では『空を飛ぶパラソル』と『押絵の奇蹟』が良かったか。前者は、新聞記者の性のせいで間接的に関係者を殺してしまうこと、そしてそれが自分自身の心に重くのしかかっていくというのが良かったが、あまりしっかり納得できたわけではない。後者は世界観が好みだった。歌舞伎役者とピアニストの自分との悲恋?や、彼と自分が彼の父と自分の母の叶わぬ恋の想いによって生まれたということ、押絵をめぐる内容など昔の風俗が分かるので興味深くはあったが、そんなものか。乱歩の所感が最後に書い

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    2026年02月26日
  • ビショップ氏殺人事件 曽野綾子ミステリ傑作選

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     もちろん著者の名前は知っていたものの、これまで一作品も読んだことがなかったが、ミステリも書いていたのかと興味を持ったので読んでみることにした。
     巻頭の『ビショップ氏殺人事件』は雑誌「宝石」の立て直しを図ろうとした江戸川乱歩が探偵小説好きとされる文壇作家に声をかけ、その一人として著者が応じて書いたものとのこと。確かにこれはしっかりした謎解きの本格ミステリー。
     それ以外の収録作はパズラーではなく、登場人物の隠された心理や表には現れない人間関係、人生の綾といったものを描くことに作者の関心はをあったのだろうと思われるが、犯罪や事件を通すことでサスペンスを高め、人間に潜む心の暗部を上手く表現してい

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    2026年02月20日
  • 夜の終る時/熱い死角 ──警察小説傑作選

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    BS-TBS 夜の終わる時、桐谷吾郎
    実直な刑事の徳持が捜査に出たきり行方不明になった。捜査係は総力をあげて事件の解決に乗りだすが、彼とやくざについての噂が同僚のあいだに疑念を呼び起こす。そんな中、徳持はホテルで扼殺死体となって見つかる(『夜の終る時』)。二部構成の鮮やかさと乾いた筆致で描かれる警察組織の歪みのリアルさは今なお色あせない。日本推理作家協会賞を受賞した警察小説の金字塔に4作の傑作短篇を増補。

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    2026年02月10日
  • 夜の終る時/熱い死角 ──警察小説傑作選

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    ネタバレ

    『夜の終る時』は、結城昌治の警察小説。
    第17回日本推理作家協会賞受賞作。
    1979年11月にテレビ朝日系「土曜ワイド劇場」で
    ドラマ化。

    実直な刑事が捜査に出たまま行方不明となる。
    捜査係は総力を挙げて事件解決に乗り出すが、彼と暴力団の関係についての噂が流れ、同僚たちの間に疑念が渦巻く。
    そんな中、行方不明の刑事はホテルで扼殺死体として発見される。

    前半は、事件を追う刑事たちの執念と焦燥を描く追跡劇。
    第二部では視点が転換し、真犯人の男がいかに警察組織の歪みの中で堕ちていったかが語られる。
    二部構成により、前半で提示された謎が後半できちんと回収される構成美。

    描かれる警察組織の歪みが、

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    2026年01月24日
  • 紙の罠

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    ネタバレ

    近藤&土方シリーズ。近藤&土方といってもコンビな訳ではなく競いあい出し抜きあっている感じかな。基本的には悪人(?)ばかりが出てくる話は苦手なんだけどこれは割りとすんなり読めて楽しめた。

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    2026年01月11日
  • 平成古書奇談

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    こういうほぼ会話だけで物語が進行する小説は普段あまり読まないのだが、本作は同じ登場人物(小説家志望の主人公と古本屋父娘)によるシリーズもので、2時間ドラマのような冗長で表層的な会話がある意味心地よい。
    にしても、出久根達郎の小説にしてもおかしくないような古本屋あるある的筋書きがあるかと思えば、かなり猟奇的(?)なものもあったりと振り幅が大きく、ある箇所で物凄い経験をした後に続くパートでは同じ人物達が何事も無かったようにしれっと食卓を囲んでいたりするのは笑ってしまう。

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    2025年12月14日
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿

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    SFの設定をベースにしているけれど、人間が極限状態で発狂していく様子など、どこか滑稽だがリアルでもあり、読んでいて癖になる面白さだった。

    16編の短編が収められているが、どれも60年代に書かれたものとは思えない。
    「ひとの愚かさが変わらないかぎり、筒井康隆の小説は面白い。つまり、筒井康隆の小説は永遠に面白いのである。」という裏表紙の一文にうなずいてしまう。

    ロボットがやたら干渉してきてうるさいとか、10分間を何度も繰り返すタイムリープもので、ただ人々がおかしくなっていく話、大学生VS予備校生の話、長生きできる錠剤の争奪戦‥
    どの作品も、スケールが大きいのか小さいのかわからない感じがツボだっ

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    2025年06月18日
  • 見習い天使 完全版

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    全23話。見習い天使は案内役で、連作短編ではない。
    いずれも軽くセンスのいいミニミステリ。各話15ページほどなので寝る前に最適。
    犯罪にかかわる暗さや懊悩・切迫感のようなものが書き込まれた作品はないが、その種の短編は、今後の編集発行を期待したい。

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    2025年06月09日
  • 影絵の街にて

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    作者の名前はかなり前から知ってはいたが、その作品を読むのは今回が初めて。日下氏の編集ものに興味があって、本書もそれで読んでみることにした。

     本書には、80年代から2000年代の作品のうち、一度も文庫化されていない作品、再編集本ではない個人短編集に収録されたことのない作品、一度も本になっていない作品を、可能な限り集めてみたそうだ(編者解説より)。こうした編集方針を聞くだけでも、随分お得感を感じてしまう。

     第一部は『季節のお話』という連作ショートショート。「雪 一月」では、雪というものがどうしてできることになったのか、「氷 二月」では氷ができるようになったのには奥さん思いの熊さんの思いがあ

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    2025年02月21日