日下三蔵のレビュー一覧
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江戸川乱歩というビッグネームに構えて読んだら、驚いたことにかなりタッチが軽くて読みやすい。
よくもまあこれだけ書いたと思うほど短編の中にさまざまな種類の殺人やら事件やらが書かれている。
この人の書くミステリはなぜか、読み終わると微笑んでしまうような後味がいいものが多い。
個人的に好きなテーマはプロバビリティの犯罪。完全犯罪があるとすればこれはかなり近いと思う。
でも好きな話は「二銭銅貨」「断崖」「二癈人」「石榴」かな。
後者二つはラストがほぼ同じじゃないかということに今気付いたのですが、ストーリーとしてきれいに閉じてると思ったので。
「二癈人」は、既に扱った夢遊病者というテーマを今度はどう -
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もちろん著者の名前は知っていたものの、これまで一作品も読んだことがなかったが、ミステリも書いていたのかと興味を持ったので読んでみることにした。
巻頭の『ビショップ氏殺人事件』は雑誌「宝石」の立て直しを図ろうとした江戸川乱歩が探偵小説好きとされる文壇作家に声をかけ、その一人として著者が応じて書いたものとのこと。確かにこれはしっかりした謎解きの本格ミステリー。
それ以外の収録作はパズラーではなく、登場人物の隠された心理や表には現れない人間関係、人生の綾といったものを描くことに作者の関心はをあったのだろうと思われるが、犯罪や事件を通すことでサスペンスを高め、人間に潜む心の暗部を上手く表現してい -
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ネタバレ『夜の終る時』は、結城昌治の警察小説。
第17回日本推理作家協会賞受賞作。
1979年11月にテレビ朝日系「土曜ワイド劇場」で
ドラマ化。
実直な刑事が捜査に出たまま行方不明となる。
捜査係は総力を挙げて事件解決に乗り出すが、彼と暴力団の関係についての噂が流れ、同僚たちの間に疑念が渦巻く。
そんな中、行方不明の刑事はホテルで扼殺死体として発見される。
前半は、事件を追う刑事たちの執念と焦燥を描く追跡劇。
第二部では視点が転換し、真犯人の男がいかに警察組織の歪みの中で堕ちていったかが語られる。
二部構成により、前半で提示された謎が後半できちんと回収される構成美。
描かれる警察組織の歪みが、 -
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SFの設定をベースにしているけれど、人間が極限状態で発狂していく様子など、どこか滑稽だがリアルでもあり、読んでいて癖になる面白さだった。
16編の短編が収められているが、どれも60年代に書かれたものとは思えない。
「ひとの愚かさが変わらないかぎり、筒井康隆の小説は面白い。つまり、筒井康隆の小説は永遠に面白いのである。」という裏表紙の一文にうなずいてしまう。
ロボットがやたら干渉してきてうるさいとか、10分間を何度も繰り返すタイムリープもので、ただ人々がおかしくなっていく話、大学生VS予備校生の話、長生きできる錠剤の争奪戦‥
どの作品も、スケールが大きいのか小さいのかわからない感じがツボだっ -
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作者の名前はかなり前から知ってはいたが、その作品を読むのは今回が初めて。日下氏の編集ものに興味があって、本書もそれで読んでみることにした。
本書には、80年代から2000年代の作品のうち、一度も文庫化されていない作品、再編集本ではない個人短編集に収録されたことのない作品、一度も本になっていない作品を、可能な限り集めてみたそうだ(編者解説より)。こうした編集方針を聞くだけでも、随分お得感を感じてしまう。
第一部は『季節のお話』という連作ショートショート。「雪 一月」では、雪というものがどうしてできることになったのか、「氷 二月」では氷ができるようになったのには奥さん思いの熊さんの思いがあ -
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本作では、『幻綺行』に登場した雨宮志保と石峰省吾の二人も中村春吉の道連れとなり活躍する。時は日露戦争の終わった明治40(1907)年、日露戦争中アフリカ、北欧を旅していた一行は4月ベルリンに到着した。大使館勤務の陸軍中佐から、「露西亜の近衛軍団兵士が考古学者を伴い東蒙古に学術探検に派遣されるのだが、どうも怪しい、露西亜が何を画策しているのか調査してほしい」との依頼を受ける。引き受けた彼らは、シベリアを超え大興安嶺へと向かうこととなったが、果たしてロシアの目的は何なのか。また、向かう先には現地人が立ち入ってはならないと言う聖なる山があり、そこには黄金神像と白い巨大な守護神がいるとの言い伝えがあ
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はるか昔の学生のころ、筒井康隆はかなりの人気作家で、回りにも筒井ファンは大勢いたのだが、何となく手を出さず、読んだのは七瀬三部作くらいだった。たまたま書店で本書を見つけ、初期傑作短篇収録というオビの文言に惹かれて読んでみた。
どれも面白く読んだのだが、特に毒気のある作品が気に入った。「堕地獄仏法」とか、学会の折伏の強引さが問題化されていた頃にここまで書くかという内容だし、「公共伏魔殿」では荒唐無稽な展開の中にNHKのあり方を批判している。また、「やぶれかぶれのオロ氏」では政治家の記者会見の曖昧語法を痛烈に皮肉っているし、「懲戒の部屋」は、痴漢冤罪の恐怖を先取りしたような内容で恐怖感さえ抱 -
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西郷隆盛は生きていた!しかしシベリアの奥深くに囚われの身となっている。その報告を受けた明治天皇は西郷救出の勅命を下す。この極秘の任務を全うし得る人物として白羽の矢が立ったのが中村春吉だった。果たして彼は、無事西郷を救出できるのか。
木の間に脚を挟まれ動けなくなっていた虎を助けたところ、その恩返しか春吉から離れなくなってしまった「猛号」や、ひょんなことから出会った日本人などと行動を共にして、春吉は西郷が囚われているとされる監獄に向かう。”幽霊監獄”とか”骸骨監獄”といった、いかにもの名称も正に冒険小説。
どうやって警戒厳しい監獄に侵入し、警備をくぐり抜け西郷を救出するのか、いろいろな機