日下三蔵のレビュー一覧

  • 紙の罠

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    逆転逆転逆転の連続で最初から退屈なシーンが全くない。

    人間の動きが素早いので説明の部分が少なく、人と人がどういった繋がりなのか置いてかれそうになる部分もあったが、次から次へと起こる展開に惹き付けられ登場人物の行動にドキドキする。

    最後のシーンで2つのチームに分かれたように見えたがその中でも完全な味方というわけではないのが面白い。

    各章の副題がクスッと笑えるのも楽しいポイント。

    こういった警察や探偵など正義の味方と思われるような人物ではない話は愉快さ、危うさが入り交じっていて最初から最後まで飽きない。

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    2025年08月11日
  • 岡本綺堂集 青蛙堂鬼談 ―怪奇探偵小説傑作選1

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    怖い!!!!!!!!けど読みやすいし、古今東西の要素、探偵要素、因果応報的な展開、どれも完成されていて面白かった!

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    2025年05月25日
  • 夜のアポロン

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    ミステリー寄りの話を集めた短編集とのこと。
    基本的にどれも救われない愛の話。
    ハッピーエンドで終わるものは少なくほとんどが暗い話だが、だからこそ惹かれるものがあった。
    ただ読み終えたあとに印象に残っている話は序盤に多かった印象。

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    2024年09月01日
  • 夜のアポロン

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    単行本未収録の短編集。
    溜め込んで持て余した感情はやはりどこかで使い果たせねばならないのだと感じる。それがどう言った結末になるかわかっていても。
    時代が古くあっても、その感覚は昔では、と思っても最後まで読み終えるとなんだか納得してしまってこの結末を迎えることに読者が諦めを感じてしまう。
    流れ着いたならばそこにいるしかないのかもしれない。

    特に好きなものは
    致死量の夢
    雪の下の殺意
    はっぴい・えんど
    閉ざされた庭

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    2024年03月28日
  • 箱の中のあなた ──山川方夫ショートショート集成

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    大好きな作家。
    この人の作品は全体的に淡々としているような冷たさがある。でも話に引き込んでいく魅力がある。自分が一番衝撃を受けたのが「お守り」という作品。どの作品も人間の根底を暴いていくような一面があり、読んでいて少しヒヤッとする。でもこれがクセになる。この全集でなくても、買って読んでみてほしい。

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    2024年02月03日
  • 赤い猫 ──ミステリ短篇傑作選

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    仁木悦子さん、やっぱり好きだなぁ。
    事件も陰惨なものでないのも読みやすくていい。
    今回収録の作品のいくつかで探偵役を務める悦子さんが車いすなのは、自身を投影しているのだろうな。
    最後の「最も高級なゲーム」での学生たちの様子も好き。
    また仁木さんの作品を読んでみたい。

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    2024年01月16日
  • 江戸川乱歩全短篇(3)――怪奇幻想

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    角川ミステリーに収録されている「芋虫」が伏せ字が酷くて本書を購入。「芋虫」は良かったのは言うまでもないが、「人間椅子」「虫」など人間が無意識下に封印しているが確かに持っているであろう残虐性・異常性が描かれた作品がすばらしく、乱歩の虜になってしまった。なお、本書は全短編集であるがゆえに「悪霊」や「空気男」のような途中で取りやめになった作品も納められていて、ジャズのコンプリート版のようにある程度我慢して鑑賞しなければならい部分もある。

    本書に納められている作品の中での一番のお気に入りは「人間椅子」。家具職人が椅子を改造して中に入り込み、座る部分に太もも、肘掛けに手、背もたれに胸といった具合でその

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    2023年12月05日
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿

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    ネタバレ

    モナドの領域同様、こっちも御書印巡りのときに買ったやつだったはず。モナドよりだいぶ昔のはずだが。
    こっちはSF短編集だった。小説の背景設定を見ると、だいぶ昔に書かれたものっぽくはあった。1964年から78年の作品。

    ・いじめないで
    出力が穴開きテープというだいぶ古いタイプの人工知能と、世界崩壊後に唯一生き残った男性がやり広げるドタバタ喜劇というか。酒をかけられたり、部品を破壊されそうになり怯える機械と、どんどん酔っ払っていく男性。そして最後には全部埋もれて終わり。登場人物が二人というミニマルな話。

    ・しゃっくり
    タイトルを見ただけでは内容が思い出せなかったが、交差点にいた主人公だけじゃなく

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    2023年11月26日
  • 見習い天使 完全版

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    天野さんのイラストが描かれた表紙で思わず購入。クスッと笑えるショートミステリ集で、見習いの天使の視点で描かれた人間界の伝聞話が収録されてます。

    ミステリや謎解き、話の裏を描くオチがあって、分かると痛快。見習い天使によるミニ解説がついてるので、オチが分からないというのは少ないのでは。だから安心して読めます。

    不倫や不貞、殺人など穏やかでないテーマも多いから、大人が読む短編集って感じでしょうか。息抜きに1話ずつ読むのがおすすめ。寝る前に1話というのもあり。

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    2023年10月08日
  • 日露戦争秘話 西郷隆盛を救出せよ

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     中村春吉秘境探検記シリーズの3冊目。SF色も怪奇色も薄い。西郷隆盛が、もしも生きていたらという"if"がSFらしいところか。なにか番外編っぽい感じがする。それにしても、相変わらずの冒険活劇が痛快だ。

     さらに、ヨコジュンさんの単行本未収録の短編が5話も載っているじゃありませんか。これはお得ですね。

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    2022年10月25日
  • 大聖神

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     痛快娯楽小説とでもいうべきか。中村春吉秘境探検記シリーズの長編。相変わらず明治という時代の香りが文中の漂う。

     「幻綺行」を読んだばかりなのだが、短編の方が面白く感じた。長編だとちょっとダラダラしているように感じた。そこで、巻末に収録されている「自転車世界無銭旅行者 中村春吉」のほうが面白く読めた。やはり事実(?)は、小説より奇なりか。

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    2022年09月11日
  • 影絵の街にて

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    ネタバレ

    未収録作と初文庫化作を中心とした短篇集。
    「チグリスとユーフラテス」外伝が読みたくて購入。
    そろそろ、素子さんの長編SFが読みたい。
    そして、あとがき、解説が面白かった。

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    2022年07月22日
  • 大人になる時

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    「キスギショウジ氏の生活と意見」も面白かったけど、こちらも面白い。
    「出来の良いものを(本書のために)残して置いた」と解説で編者が述べているのも納得の粒ぞろいの短編集。
    とにかく世界観がいい。どの作品も冒頭でグッと引き込まれ、映画を一本観たくらいの満足感があります。

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    2022年05月22日
  • 吸血鬼飼育法 完全版

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    お金をいただければ合非問わず引受ける「何でも屋faa 片岡直次郎」
    “007”張りの活劇ちょいワルオヤジの短編集
    電子機器は一切出てこないのに全く違和感はなく
    タイトルも今風
    名作は時代を超えるものだなぁと深く感じ入りました

    ラストは短編をハードボイルドにしたショートショートでまとめられ、幾重にも濃い作品です

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    2021年11月21日
  • キスギショウジ氏の生活と意見

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    SF、ホラー、ファンタジー、ミステリなどの様々なジャンルの入ったかなり幅の広い短篇集。最後の書き下ろしである現代のネット社会に注目した「R依存対策条例」を除けば88〜91年の短篇ばかりだが、古臭さは感じないし、読みやすいし、面白い。著者の短篇集は初めて読んだが、ジャンルが次々とかわり、飽きることなく一気読みだった。内容もさることながら、各短篇のモチーフをあしらった可愛らしいカバーデザインも素晴らしい。装丁も短篇も楽しめる一冊だ。

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    2021年08月15日
  • 獏鸚

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    幅広いバリエーションに富んだ作品集。これだけあれば、必ず1つくらいは気に入るものがあるのではないだろうか。私は「省線電車の射撃手」が結構気に入った。青空文庫でほとんどが読めるので、そこで読んでみるのもおすすめ。

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    2021年04月11日
  • 夜のリフレーン

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    ネタバレ

    短編小説には作家の技量が出る。

    まさにそれのお手本のような作品集でした。

    幻想的な作品は美しい。

    大好きです。皆川さん(//∇//)

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    2021年03月19日
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿

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    久々の筒井康隆。50年以上前の初期短編集だけど全く古びない毒の強さは流石、公共伏魔殿なんかむしろ今こそ読まれるべき。そして人が死ぬ描写のリズミカルさは爽快的でいつも笑ってしまう。

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    2021年01月31日
  • くらげ色の蜜月

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    これはホラーなのかミステリなのか…よくある昭和ミステリとは一線を画する、何かすごいモノを感じる。
    江戸川乱歩が好きな方におすすめします。

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    2020年10月09日
  • くらげ色の蜜月

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    昭和だなあ、という感慨も抱けそうな、濃厚な短編集。戸川氏というと、『緋の堕胎』を絶賛した筒井康隆氏が、女流作家というはどうしてこんな怖い話が書けるんだろうと記したように、女性性を強調されることが多い気がする。今の目で見ると、そういうのは感心しない、というべきだろうが、それより、戸川氏の側があえて男性が期待する「女流作家」を演じてたんではないかなという気もする。けれども『隕石の焔』みたいな話もある。これは好色譚の定番である「男日照りの村」の底を抜くような話だが、その抜き方が女にしか思いつかない、というより男はまず思いつかないような抜き方なのだな。面白い。

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    2020年10月03日