あらすじ
移動する都市、呪いを飼う男、新聞蝶、裁判にかけられる神、駅のトイレの秘密――
意外な結末満載。短篇SFの匠(たくみ)の全篇初収録+書き下ろし作品集
あらゆるジャンルの面白い短篇が入っている本。
移動し続ける都市で家を見失った男「十五パズル」などのSF。
別れさせる呪いを“飼った”男が味わう恐怖「お別れ」などのホラー。
神が人間たちに裁判にかけられる「公聴会」、
駅のトイレの開かずの扉の秘密「キスギショウジ氏の生活と意見」などの奇妙な味の話。
“新聞蝶”を探す少年が早朝に不思議な冒険をする「お父さんの新聞」などのファンタジー。
愕然とするダイイングメッセージの真実「OEの謎」はミステリ。
最初のページから最後のページまで、
奇想天外なアイデアと意外な結末が詰まった全篇初収録+書き下ろしの十九篇。
SFを知らないひとにもマニアにも絶対おすすめの一冊。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
SF、ホラー、ファンタジー、ミステリなどの様々なジャンルの入ったかなり幅の広い短篇集。最後の書き下ろしである現代のネット社会に注目した「R依存対策条例」を除けば88〜91年の短篇ばかりだが、古臭さは感じないし、読みやすいし、面白い。著者の短篇集は初めて読んだが、ジャンルが次々とかわり、飽きることなく一気読みだった。内容もさることながら、各短篇のモチーフをあしらった可愛らしいカバーデザインも素晴らしい。装丁も短篇も楽しめる一冊だ。
Posted by ブクログ
SFの日常系短編集。
どこかの星の変わったストーリーを紹介している
感じ。
ちゃんと各章にオチがついているのが
素晴らしい。
草上仁(くさかみじん)の本は初めて読んだが、
星新一の正当な後継者と言ってもいいくらい
期待出来る。
SF初心者にもおすすめの一冊
Posted by ブクログ
うわあぁ、草上仁を、何十年ぶりかに読んだ!
うんうん、コレコレ!
「国境の南」「飛び入りの思い出」「アイウエオ」がベストスリー。
逆に、読みはじめの数行でネタバレしたのもあり、ありゃりゃ。
巻末に作品リストが載っているのがありがたい。初期の短編集はたぶん全部読んでるハズ…
その頃の作品から透かし見た未来が、今の現実にとても近いことに、何やらにやりとしたり、ぐっときたり。
たとえば、新型ウィルス対策でマスクを手離せず、透明なパーテーションを挟んで黙って飲み食いするなんて、まるっきり「くらげの日」だと思って眺めていた。
通信障害スマホが使えないと何もできなくなるなんてのも、とっくの昔に見ていた世界。
それは、草上仁さんを読むよりもさらに一回り前、私の読書歴のかなり初期のころに読みふけった星新一さんの作品にも感じていた感覚。
SF読んでる人は、みんなそうなのかな?
未読作品がまだ当分楽しめる。嬉しいねぇ。
Posted by ブクログ
読み終わってから表紙を眺めるとジワジワ面白い。SF作家とひねくれた読者(SF読みにとってひねくれているという言葉は賛辞だと思います)との掛け合いめいた後書きが好きです。
Posted by ブクログ
ミステリを先ず読み始め、SF系にまで手を出すのは止めようと考えてきたので、著者の名も知らなければ、その作品もこれまで全く読んだことがなかった。そうした次第だったが、竹書房文庫から日下三蔵編のちょっと面白そうなアンソロジーが出始めたことを知り、本書を初めて手に取った。
各編、アイディアがなかなか面白く、文章も読みやすいので、サクサク読めた。
ある男が飼っている”別れ”の呪いを譲り受けた男に次々と迫る恐怖を描いた「お別れ」、花を出し忘れてしまい、去っててしまった”新聞蝶”を何とか探し出そうとする少年の冒険を描いたファンタジックな「お父さんの新聞」、なぜかいつ見ても一つのトイレの扉がしまっている、その謎を描いた表題作「キスギショウジ氏の生活と意見」、これらが特に気に入った。