あらすじ
名実ともに日本のミステリーの基礎を築いた巨人、江戸川乱歩のあらゆる短編を完全収録する全3冊。エンターテイメントとしては異例の、数10年という長きにわたって読み継がれてきた名作が一気に愉しめる。各巻に著者自身による作品解説つき。本巻は初期代表作の1つ『芋虫』ほか、『赤い部屋』『人間椅子』など、怪奇・幻想小説の系統に属するすべての作品を収めた。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
角川ミステリーに収録されている「芋虫」が伏せ字が酷くて本書を購入。「芋虫」は良かったのは言うまでもないが、「人間椅子」「虫」など人間が無意識下に封印しているが確かに持っているであろう残虐性・異常性が描かれた作品がすばらしく、乱歩の虜になってしまった。なお、本書は全短編集であるがゆえに「悪霊」や「空気男」のような途中で取りやめになった作品も納められていて、ジャズのコンプリート版のようにある程度我慢して鑑賞しなければならい部分もある。
本書に納められている作品の中での一番のお気に入りは「人間椅子」。家具職人が椅子を改造して中に入り込み、座る部分に太もも、肘掛けに手、背もたれに胸といった具合でその椅子に座った人の体格や体温を体で感じとる。そしてある婦人に恋をする。家具職人は椅子の中にいるので婦人の顔は見れないが、婦人を体で感じ恋してしまうのだ。アニメのキャラクターに恋するような心境と似ていないでもないが、恋の対象についての情報は極端に限られているので感覚を研ぎすませてもっと相手を知ろうとする集中力と不足した情報を補う妄想が必要であり、ビビッときたような、突然雷に打たれたような、文字通り「落ちる」恋ではない。少しずつ少しずつ、相手への想いを積み上げて醸成される恋である。オタクや変態のさらに先にあるような恋である。なんと切なくも激しい恋ではないか。
Posted by ブクログ
これは、くる。ほんと冗談抜きでお勧めします。乱歩読んでみたいけどどこから手をつけて良いか分からない!って方にもお勧めしたい。短編だから時間も取らないですし。「赤い部屋」「人間椅子」「芋虫」「押絵と旅する男」なんて私の大好きな作品ばっかり。人間椅子なんか初めて読み終わった時は鳥肌たちました。エンターテインメント性も持ってるのが乱歩の素敵なところ。怪奇幻想、実に良い響き。
Posted by ブクログ
なんていうか、真髄ですな。怪奇幻想。
「赤い部屋」「人間椅子」「芋虫」「白昼夢」「空気男」「押絵と旅する男」「双生児」「人でなしの恋」「鏡地獄」なんて名作ばっかり。
ウットリですよ。