日下三蔵のレビュー一覧

  • 岡本綺堂集 青蛙堂鬼談 ―怪奇探偵小説傑作選1

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    本は二部構成になっていて、第一部が「青蛙堂鬼談」全12話。
    百物語の会で、参加者が次々に怪談・奇談を語ってゆく、
    という趣向。
    養父と成長した養女が妻の死後に夫婦同然の関係になるのだが、
    その娘が刀に付いた血を舐めたがるという「一本足の女」が
    一番ゾゾッと来ました(^_^;)。
    第ニ部は独立した短編が並んでいるのだが、
    第一部に倣って「●●君は語る」といって始まる話ばかり
    集められていて、やっぱり百物語のスタイルを踏襲している。
    これは編者のアイディアですね。上手い。
    それにしても文体が滑らかで非常に美しい。
    上品です。
    だからどんなに不気味な話でも後味が悪くない。
    読者を強引に怖がらせるよう

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    2018年07月27日
  • 岡本綺堂集 青蛙堂鬼談 ―怪奇探偵小説傑作選1

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    レビュー:

    岡本綺堂、と言っても最近は知らない方が多いだろう。岡っ引の回想録という形での推理小説「半七捕物帳」や歌舞伎の劇作、そして卓越した英語力(父が英国公使)でディケンズやデフォーの怪奇小説の翻訳、とその精力的な創作力にはただただ圧倒。又、明治の文人でありながら江戸情緒に並々ならぬ愛情と造詣が深く世相を織り込んだ随筆も、これまた素晴らしい出来だ。(勿論、筆致はすべて静謐として味わい深いし。)しかし、やはりオイラは先生の「怪談」が好きだ。今はホラーブームで、映画から小説から漫画から…とかく「恐怖」を描きたがる。しかし、この綺堂先生の「怪談」は田舎のほの暗い日本間の隅に何かがいるようなどこか

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    2009年10月07日
  • 劇場の迷子

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    中村雅楽老シリーズ4作目。恋愛模様を描いた短編が多かったように感じました。シリーズの初めからのおなじみ竹野さん、江川刑事に加えて、関寺真知子という若くて美しくてお行儀の良い雅楽老お気に入りの登場人物も加わり、若くて様子のいいお嬢さんが大好き、という、歌舞伎界の重鎮の雅楽の弱点というか茶目っ気というようなところが描かれていて微笑ましいです。特に「おとむじり」という聞き慣れない言葉がタイトルになった作品が、味わい深かったです。

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    2009年10月07日
  • グリーン車の子供

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    雅楽が活躍するシリーズ2作品目。本当に安心して読めるすこぶる上質のミステリ。とはいえときどきどきりとするような毒も入ってはいます。表題のグリーン車の子供、は、タイトルを受賞した作品らしくバランス良くまとまった作品。細部にあまりこだわらない私はまったく気になりませんでしたが(むしろ気づきませんでしたが)巻末の解説による、新幹線<ひかり>と<こだま>の話なども、興味深かったです。

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    2009年10月07日
  • 團十郎切腹事件

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    これぞコージーミステリ。本当に上品で、でも甘くなくシビアで、しっかりと読ませる短編連作。老成した歌舞伎俳優から聞き書きをして記事を書いている東都新聞の芸能記者竹野を狂言回しに据えて中村雅楽という架空の歌舞伎役者を主役にした珠玉の連作ミステリ。殺人事件もなかにはありますがそれよりも日常の恋愛沙汰のもつれだったりライバルの人気のあるのを妬んだいたずらだったりと、そういう細かい謎を鮮やかに、さらになぞ解きの際の当事者たちの気まずい思いを最小限に押さえながらさばいてゆく手並みは本当にスッキリと育ちの良い感じで、読むと身になる感じがします。文庫だと片手で持って読むのに少々重たいですが、とても面白かったで

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    2009年10月07日
  • 久生十蘭集 ハムレット ―怪奇探偵小説傑作選3

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    重厚。ぐっとくるほどの何かが魅力です。恋愛を軸にした話が多かったけど、どれもセンスがあって好きでした。ストーリーというよりは、その世界観を楽しむ作品。ハムレットをゼミ発表で使う予定ですが、ストーリーは刺客、細かい描写はやはりハムレット。これだけの世界、知性が無くてはかけるはずが無い、と思えるほどものを感じます。

    読めばはまる人はどこまでもはまると思う。私もその一人。
    是非全集制覇をしたい。
    傑作だ・・・とただただ感じます。だけど、それは近年のミステリのようなトリックとかキャラクタ性とか、ストーリー性おいてではなく。

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    2009年10月04日
  • 江戸川乱歩全短篇(3)――怪奇幻想

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    これは、くる。ほんと冗談抜きでお勧めします。乱歩読んでみたいけどどこから手をつけて良いか分からない!って方にもお勧めしたい。短編だから時間も取らないですし。「赤い部屋」「人間椅子」「芋虫」「押絵と旅する男」なんて私の大好きな作品ばっかり。人間椅子なんか初めて読み終わった時は鳥肌たちました。エンターテインメント性も持ってるのが乱歩の素敵なところ。怪奇幻想、実に良い響き。

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    2009年10月08日
  • 江戸川乱歩全短篇(1)――本格推理(1)

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    大正から昭和にかけて発表された短篇集を集めた一冊。暗号解読がキーとなる「二銭銅貨」「黒手組」等が入っている。明智氏や小林少年がでてくるとやっぱり面白い。犯人の心の機微(動揺)がこまやかに描かれていてついつい続けて読んでしまう。第二巻も読みたくなる。

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    2010年10月18日
  • 江戸川乱歩全短篇(3)――怪奇幻想

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    なんていうか、真髄ですな。怪奇幻想。
    「赤い部屋」「人間椅子」「芋虫」「白昼夢」「空気男」「押絵と旅する男」「双生児」「人でなしの恋」「鏡地獄」なんて名作ばっかり。
    ウットリですよ。

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    2009年10月04日
  • 江戸川乱歩全短篇(1)――本格推理(1)

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    江戸川乱歩の短編で本格推理物を集めた本。
    江戸川乱歩はグロくて暗くてエロいんだけど、美しくて儚くて切ないから素敵だ。
    もう短編だけにどれも外せないぐらいおもしろい。。。オススメは、、、全部!

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    2009年10月04日
  • 江戸川乱歩全短篇(1)――本格推理(1)

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    久方ぶりの読書は、推理小説の巨匠「江戸川乱歩」に足を踏み入れてみる。したらばバッサリやられた。
    読む者を己の作り出した世界に引きずり込むかのような面白さ!今までは推理小説というと、ややこしくて、人が沢山登場して、人間関係と、凶器と、アリバイと…って、読みながら認識しなければいけないものが非常に多く、読むだけで疲れてしまうので敬遠しがちだったんですな。しかしながら、この本は『短編集』というだけあって、スッキリとしたスピード感の中に腹一杯の充実感を詰め込んであるような秀作でした。これから江戸川乱歩を読み漁る予感…。

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    2009年10月07日
  • 久生十蘭集 ハムレット ―怪奇探偵小説傑作選3

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    読み方がわかりにくいですが、「ひさおじゅうらん」と読むのが一般的らしい。
    同郷で先輩で、一等好きな作家。

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    2009年10月04日
  • ビショップ氏殺人事件 曽野綾子ミステリ傑作選

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    表題作含む六作品収録の短編集
    いずれの作品も楽しめました
    ミステリ小説も書いていた人だったんですね
    表題作は横浜の山手が舞台でした
    家政婦さんや居候など登場してきて
    犯人は誰なのかと新聞記者が調べるが・・・
    気になる作家さんがまた増えちゃいました

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    2025年12月12日
  • 赤い猫 ──ミステリ短篇傑作選

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    ネタバレ

    三影潤の『白い部屋』、植物学者と拓の共演『青い香炉』、植物学者の妹『子をとろ 子とろ』とシリーズ探偵が出る作品が好きだけど『小さな矢』『赤い猫』などそれ以外の作品も良くできていて面白い。良い短編集です。

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    2025年12月11日
  • あるフィルムの背景 ──ミステリ短篇傑作選

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    編者推しの前半部分はほぼ男女関係や恋愛のもつれ、性的倒錯などに関わる短編ミステリ。嫌ミスという括りになるのかはともかく、読後感は当然ながら爽快ではない。
    後半は一捻りある「奇妙な味」の短編、ショートショートであり、個人的にはこちらのほうが好みであった。

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    2025年11月01日
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿

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    SF短編集にハマって、この筒井康隆氏の短編集をも手に取って読んでみた。

    まず物騒なタイトル、中身もまあ物騒(社会通念的に?)だった。

    これが50年前くらいに書かれていたのかと思うとかなりの慧眼、未来視でもしたのかと思うほどだった。解説にもあるように、人間の本質が変わらないということだろう。

    気に入ったのは「いじめないで」「一万二千粒の錠剤」の二つ。
    「うるさがた」「懲戒の部屋」などは読んでて没入し、かなりイラついた(これはかなりいい意味で)。

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    2025年05月14日
  • 怪奇小説集 恐怖の窓

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    遠藤周作の「こわい話」を集めた短編集。怖いと言ってもどストレートに幽霊が出てくるものはほとんどなく、好井まさおさん言うところの「ナニソレ」話が多いのだけど、サブタイトルにもなっている「恐怖の窓」をはじめ、めちゃくちゃ怖いと言うわけでもないけど記憶の隅に残ってしまうようなじっとりした話が多くて良かった。
    あと、「戦中派」という人たちがいたことが衝撃だった。簡単に言えば「戦時中の方がよかった」という人たちだと思うんだけど、まあ確かにそういう人もいたかもな…と思わされた。「平和(仮)」の世の中では自分を保てなくなってた人、結構いるのでは。
    私が子供の頃は、祖父をはじめ戦争に行った人たちが5-60代だ

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    2025年05月09日
  • キスギショウジ氏の生活と意見

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    SFの日常系短編集。

    どこかの星の変わったストーリーを紹介している
    感じ。

    ちゃんと各章にオチがついているのが
    素晴らしい。

    草上仁(くさかみじん)の本は初めて読んだが、
    星新一の正当な後継者と言ってもいいくらい
    期待出来る。

    SF初心者にもおすすめの一冊

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    2025年04月28日
  • 丹夫人の化粧台 横溝正史怪奇探偵小説傑作選

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    ネタバレ

    横溝正史、怪奇探偵小説傑作選。

    怪奇要素は薄めでミステリ寄りな短編集。

    言葉や文化に時代を感じるけどあまり気にならずに楽しめた。
    基本話が暗くて個人的には大好き。犯人の自死エンドとか多い。

    地味に双子ネタ2つも入れてきてる。
    犯人が分かって終わりじゃなくて色々パターンある。

    「犯罪を猟る男」と「青い外套を着た女」がすき。

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    2025年04月16日
  • 箱の中のあなた ──山川方夫ショートショート集成

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    純文学作家のショート・ショート集。星新一のような統一された様式のようなものはなく、純文学短編のように読めるものから、SF、ミステリーまで、多岐にわたるジャンルごとに筆致も変化する。
    特に冒頭の「親しい友人たち」シリーズが様々なジャンルのあわいを行く、「奇妙な味」があり好ましかった。

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    2025年03月17日