【感想・ネタバレ】あるフィルムの背景 ──ミステリ短篇傑作選のレビュー

あらすじ

検察が押収したわいせつ図画販売罪の証拠品、その中のフィルムの映像に妻と似た女性の姿を見つけた検察官の笹田は独自調査に乗り出すが、たどり着いたのは思いもよらない残酷な真相だった(表題作)。普通の人々が歪んだ事件を引き起こす恐ろしさと悲しみを巧みに描き、読者の予想を裏切る驚愕の結末を鮮やかに提示する。昭和の名手の妙技を堪能できる、文庫オリジナルの短篇傑作選。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

オビに「昭和に書かれていた極上イヤミス」とあって、その通りなのよね。それなので、その時代を知らない人には楽しめないかもなー・・・
第一部は角川版で既読、二部ではたぶん未読のものも読めて満足。

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2017年11月26日

Posted by ブクログ

編者推しの前半部分はほぼ男女関係や恋愛のもつれ、性的倒錯などに関わる短編ミステリ。嫌ミスという括りになるのかはともかく、読後感は当然ながら爽快ではない。
後半は一捻りある「奇妙な味」の短編、ショートショートであり、個人的にはこちらのほうが好みであった。

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2025年11月01日

Posted by ブクログ

小市民が悪事に手を染める瞬間と人々の破滅を描く。強姦被害者がトラウマに翻弄されて暗鬱な人生を送り最後は犯人に報復、強姦されかけてプライドを取り戻すも殺人する不美人、妻が出ているポルノを探し求める男(まるで赤い教室)、オリンピック反対者の殺人犯という正体、不気味な少年による殺人など不安が根底にある短編集。不気味で面白い。

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2018年09月16日

Posted by ブクログ

ミステリ短編集。でも実は、それほどミステリっぽくない印象のものも多い気がしました。だけど特に事件が起こるわけでなくとも、心理的にじわじわと嫌な感じが漂う物語があって、その結末に驚かされるのでこれはやっぱりミステリなのだなあ、と認識させられます。一見地味だけど、読めば読むほどじわじわ来るなあ。
お気に入りは「みにくいアヒル」。とにかく主人公は気の毒なのだけれど、それでもまあまあうまく生きられていると思っていたのに。まさかそんな選択を! でもそれが幸せと思えるのかあ、と何ともいえず切ない気分になりました。同じような印象で、「老後」も幸せの意味を考えさせられますね……。
「絶対反対」にもやられました。とても短い一作。なだけに、これに気づかなかったよ! と驚愕。あまりにシンプルなだけにガツンと来た感じでした。

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2018年02月28日

Posted by ブクログ

前半と後半で趣の違う短編集。前半はイヤミス寄り。後半はサプライズ重視。後者が好みであった。

惨事
いきなり悲惨な話。ラストの葛藤は、どうぶつタワーの時間切れかと思ったわ(失礼
時代背景あり、インパクト絶大のはじまりだった。
蝮の家
予想は容易く、清々しい。証拠のひとつが素晴らしかった。
孤独なカラ
教育環境が人格形成の大元。狂いそうな時間が流れた異質な作品。
老後
全然見合わない老後でもの哀しい。もっと弾けてほしかった。
私に触らないで
誘惑。違う未来。自分の判断って大事でねー。
みにくいアヒル
私も自分の容姿に自信がないが、この物語は哀しくも彼女が選んだ道なのだ。
女の鑑
読みにくい???いやいや、寒気のするラスト。本作の推し。
あるフィルムの背景
感情をぶつけるところもなく、後悔しかない。胸が痛い話だ。
絶対反対!!
おう!?第二部ときていきなりシャープなどんでん返し!!
うまい話
には裏がある…見えやすいがニヤリのラスト。
雪山賛歌
素晴らしい。イかれた犯人の容赦のなさといったらもう…これも推し。
葬式紳士
これはまた洒落た話である。殺しの話なのにほっこり。
温情判事
1番辛い短編。またやり直すことはいかに不可能なのか。

高水準の作品群。ミステリでありサスペンス。ハードボイルドな文体。
今後も読みたい作家であった。

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2018年09月15日

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