あらすじ
現実と非現実のあわいの世界と人間の狂おしい心情を描く久生十蘭。その該博な知識と彫琢を凝らした世界の魅力を網羅した1冊。高等遊民の男と、非常な美しさをたたえた女性との数奇な運命を描いた「湖畔」「墓地展望亭」、戦後間もなく発表され代表作とされる「ハムレット」と、その原型となった「刺客」等14作品収録。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
重厚。ぐっとくるほどの何かが魅力です。恋愛を軸にした話が多かったけど、どれもセンスがあって好きでした。ストーリーというよりは、その世界観を楽しむ作品。ハムレットをゼミ発表で使う予定ですが、ストーリーは刺客、細かい描写はやはりハムレット。これだけの世界、知性が無くてはかけるはずが無い、と思えるほどものを感じます。
読めばはまる人はどこまでもはまると思う。私もその一人。
是非全集制覇をしたい。
傑作だ・・・とただただ感じます。だけど、それは近年のミステリのようなトリックとかキャラクタ性とか、ストーリー性おいてではなく。
Posted by ブクログ
久生十蘭の本で現在、手に入れやすい一冊。『黒い手帳』の端正な書き出しから幕を開ける。『海豹島』『墓地展望亭』の浪漫に酔いしれ、『月光と硫酸』の黒いユーモアにニヤリとし、『昆虫図』の最後の一行に戦慄することになるだろう。壮大にして精密な構成を支える文体の魔術師、少女小説から時代物までを書きこなす舞台の広さ。観客はこれから始まるであろう、久生十蘭劇場の開演を待ち望んで欲しい。