【感想・ネタバレ】マインド・イーター[完全版]のレビュー

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Posted by ブクログ 2013年06月05日

当時歴史ものばかり読んでいた私にSFの面白さを知らしめた一冊。 「前宇宙の残滓」たるマインド・イーター(以下M・E)という鉱物のような得体の知れない小天体とそれが人類にもたらす恐怖を軸に展開される連作短編集。
宇宙艇に搭乗した人間とM・Eのドッグファイトや月面探索、宇宙船の船長とそのコンピュータとの...続きを読む対話など、様々な雰囲気のSFが楽しめる。

かく言う私はいわゆる「ゆとり世代」に属する人間だが、この『マインド・イーター』と神林長平の『戦闘妖精・雪風』の世界観は、幼少より親しんできたファミコンののゼビウス、スターフォース、グラディウスといったSTGの世界観を想起させるものがあり、心が踊る。この手の「人類VS何か」というSF要素を含むものが80年代に集中しているのも興味深い。

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Posted by ブクログ 2012年03月07日

これは面白い! 地球外の生きる鉱物であるマインド・イーター、そしてそれと関わる人間を、短編を使って様々な角度から描いている。人間とは? マインド・イーターとは? という一つの謎を辿る、壮大な物語。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月08日

水見稜。1980年代のみに活躍し、作品数も10作に満たない作家でありながら、今でも名前を見ることがある。
特にこのマインドイーターは良いニュアンスで名前が出されているのを目にし、一度読んでみたいと思っていた。

読んでみた感想は「これが30年以上前の作品なのか」というもの。
MEとの壮絶な戦いを期待...続きを読むしていた私には肩すかしではあったが、決して期待外れでは無く、人間の内面、特に弱い部分や気持ちの移ろいの描写はすばらしいものがあった。
近年のSFでは忘れられている感もある「地球を離れて人間は生きられるのか?」というテーマも含まれていて、宇宙から俯瞰して見た「生きる」とはどういう事かを考えさせられる。

また、評価の割に作家としての活動期間が短かったので、「もしかしたら早世されているのでは」と思っていたが、2011年の完全版出版時のコメントが載っており安心した。

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Posted by ブクログ 2015年10月16日

宇宙へ進出した人類に襲い掛かり精神を破壊し、その肉体を異質なものに変化させる鉱物意識体マインド・イーター(M・E)と人類との攻防を基本設定に8話から成る短編は、宇宙と人間、感性と感情、生と死という哲学的テーマを通して、人はなぜフィクションを求めるのか?、SFとは何か?という問いを読者に投げかける。
...続きを読む1980年日本SF小説の全盛期において小松左京、筒井康隆らも盛んに作品の題材に取りあげたテーマ。その≪文系SF小説≫の中においても本書は今なお傑作を謳われる一作であり、30年前の作品とは思えない全く古さを感じさせない文体と構成は見事。
1984年にハヤカワJA文庫で刊行され長い間絶版になっていた本書に未収録の2話を加えた「完全版」。

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Posted by ブクログ 2014年04月09日

読後感がすっきりするってわけじゃないのだけど、もう一度読み返したいと強く思える作品。
マインドイーター、M.E。それってつまり「私」なのだ、という後書きに痺れた。

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Posted by ブクログ 2013年04月20日

六割わからないけど好きです!
いやマジでSF用語以前に、誰の台詞なのか、誰が何してるのかが分からない

元来『夢の浅瀬』が好きな浅瀬の読者のため、宇宙船は女性人格に限るという浪漫くらいしか語れません

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Posted by ブクログ 2012年02月21日

最終的にM・Eと人はどうなるのだろう。どちらが正しいのだろうということは読者に任せられた気がする。
面白い作品です。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年01月25日

一編の長い詩を読んだような気持ち。宇宙と、その中の地球、そして人の物語。美しくてゾクゾクした。何かこう、根源的なものを揺さぶられる感覚が怖くてゾクゾクもした…。連作短編で、「夢の浅瀬」「憎悪の谷」が特にお気に入りだが他も好き

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Posted by ブクログ 2012年01月25日

30年前の作品であるにもかかわらず、全く内容及び文章が古びていないことに驚きを隠せない。悪意を持つ謎の小天体M・E(マインドイータ)。それを様々な視点から描いているのだが、実験作という意味合いもあるためか、多彩な趣向が凝らしてあり、読んでいて目が離せない。

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Posted by ブクログ 2012年10月14日

内容(「BOOK」データベースより)
宇宙へ出た人類に襲いかかったもの、それがM・E。ひとつ前の宇宙の残滓であり、人間に悪意をもつ、小天体の姿をした存在。精神を食いちぎり人を異質なものに変える。これを破壊せんと連合はハンターを育成し宇宙へ送るが、戦いは絶望的だ。しかもハンターがM・Eの顎に倒れると、...続きを読む精神的に強く結ばれた恋人や肉親までもが変貌するのだ。日本SFの里程標的傑作を完全版で贈る。

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SFマガジン連載時からワクワクしながら読んでいて、1984年にハヤカワ文庫から出たときは夢中で「これは未完の大傑作だ!」と吹聴して回っていた。このたび書籍未収録だった2編を加え、創元SF文庫から[完全版]として復刊された。完全版とはいえ、本書はマインド・イーターと人類との戦いのごく一部の事象を描いただけで、書かれなかった物語の奥行の広さを感じずにはいられない。惜しいことに作者は1989年以降執筆をしていないようなので、[完全版]と標榜しつつも、やはりどうしても未完の大作という感覚がぬぐえない。

マインド・イーター。それは、ビッグバン以前の宇宙の残滓であり、人類に対する憎悪が結晶したものである。彗星と呼ばれる形態で人類に襲いかかり、接触したものを異質な存在に変化させ、被害者と強いつながりがある者の精神を食いちぎる。
マインド・イーターは岩石であり、結晶であり、音楽であり、原初の言語である。

30年近く前に読んだ本を再読したわけだが、自分で驚くほど細部を覚えていた。描かれるシーンや会話が魅力的だったせいだろう。一方、未来社会の描写(通信手段やコンピュータ、新聞、車等)が古めかしく見えてしまうのは、致し方ないところか。

飛浩隆が「日本SFが成し遂げた最高の達成」という惹句を書いているが、「日本SFが到達した“極北”のひとつ」という意味では賛意を表する。これほど絶望的な精神戦も、そうそうあるものではない。

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Posted by ブクログ 2011年12月15日

宇宙に進出した人類が遭遇した謎の敵・マインドイーターとの戦いを描いた連作短篇集。外宇宙の、人類とはまったく異質な存在を描こうとする挑戦や、同時にそれを自己の内宇宙の探求へとリンクさせていく思弁的な作品世界が素晴らしい。個々の作品間の実験的な関係性も印象的。それにしても飛浩隆さんの「解説」と日下三蔵さ...続きを読むんの「解題」はありがたかったなあ。
お気に入りは「サックフル・オブ・ドリームス」、「おまえのしるし」かな。

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Posted by ブクログ 2012年10月09日

久々に、ずっしりと重厚感のあるSFを堪能。

R-TYPEのバイドを彷彿とさせるような(時間順序的には逆)
宇宙からの異物「マインド・イーター」との邂逅を通して描かれる、
人とは何か、我々はどこから来てどこへゆくのか。
人は涙を流すことをやめた時に人でなくなるのか?
とかそんな感じ。

ある意味で、...続きを読むSFとして不滅のテーマ。
物語というよりは作者の叫びや足掻きに近く、その意味で個人的には
フィリップ・K・ディックを想起する。。。あちらのねっとり感に比べると、
多分にソリッド感が強いですが。

なお、小松左京「ゴルディアスの結び目」必読の模様。

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Posted by ブクログ 2012年06月21日

30年前の作品。画期的。つぎはぎだし、破綻プロットも多いけれど、シューベルトの未完成ってな感動があるね。連作によるマインド・イーターという架空の存在に対する人類の位置づけを描いている。

 「野生の夢」は読みやすいが、あまりインパクトがない。「サック・フル・オブ・ドリームス」は音楽が生命の証であると...続きを読むいう印象が新鮮。「夢の浅瀬」ではあまりに強烈なエンディングが続く作品の影を薄くしてしまう。

 「おまえのしるし」で一気にマインド・イーターとはってなところに進むが、「緑の記憶」では植物を題材にして新しい局面にトライするものの消化不良に終わり、「憎悪の谷」では新しい試みがあるが不発。「リトル・ジニー」に飽きた頃、エンディングの「迷宮」でひとつの結論に至る。

 マインド・イーターとはなにかは関係ない。人類が先か宇宙が先か。知性か生命かってなところが掘り下げられるのだが、とにかく未完である。惜しい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年03月19日

 年末年始の暇な時期に何か小説でも読もうとおもって池袋のジュンク堂にて購入。新書もちょっとした恋愛小説のようなものも読み進まないなぁと思っていたときにふとSFを読もうと思いついてSFコーナーで目線の高さに表紙を向けて陳列されていたこの本をチョイス。

 マインドイーター(M.E)というタイトルの通り...続きを読む、人の精神を喰らうイキモノの話かと思いきや「人の精神に作用して、崩壊させたり遺伝子を書き換えて(本文にそんな記述はなかったかもしれない)壊すもの」のようで、意思をもった彗星や石、砂のような鉱物の形をしていると。そんなM.Eのいくつかの話が1冊収録されているのがこの本で、1つ1つの話のフィールドも地球上から宇宙空間まであり、ただ人間はそれを破壊するといった話ではない。M.Eに対する解釈も人間が作っただの、M.Eによって人間の言語が作られただのいろいろ出てきますが、基本的に憎しみというものが核になっているとか。遺伝子構造を変えられてかなにかで、人間の体がいろんな動物をくっつけたようなものに変化して最後には核酸になってり液体になったりするというのが何とも恐ろしかった。

 過去と未来を知っていて純粋理性のような「神様」みたいな存在を通して人間が何で人間として、猿のような姿形をして理性をもって言葉をつかって、家族や仲間や社会をもったり、神様を信じたりして生きているのかを考えるということを訴えかけてくる。M.Eは特定の社会や家族や姿(一応鉱石の形をしているが)を持たない思念のような存在なので人間の営みを理解することができない。人間が生きるというのは、進化の中で大きい猿のような姿形のようなものが二足歩行を始め、脳を発達させて理性をもち神様を信じるようになったり(人によってはならなかったり)っていう過程からまずは考えられるものであって、過去も未来も死も生からも自由な状態では理解できないとか思ったり。


 それにしても「緑の夢」とか過去と未来の遺伝子のすべてを持っていてそのビジョンをみせてくるとか、彗星のように地球にふってきたりしようとするとかとあるゲームのラスボスみたいだなとか、考えちゃうよね(*´ω`*)

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