日下三蔵のレビュー一覧
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71年頃の作品集。匂い立つようなエロスに満ちた話が多い。全7編。
「姦臣今川状」
菊池寛の短編に「三浦右衛門の最後」という酸鼻を極める話があって、私はずっとこれを架空の人物と思っていたのだが、この話を読んで実在の人物であったと知り驚愕。
「売色奴刑」
実に風太郎らしい作品。男どもが女の美しさにまなこくらんで、勝手にそれぞれ自滅した事件にもかかわらず、奉行のお裁きによって、懸想されただけの女たちがなぜか奴女郎に堕とされて、禽獣の見世物もかくや、倫理も人権もあればこそ、という肉の奴隷に処せられる話。まったくもって理不尽に過ぎる話でどうなってしまうのかと思ったら、そこはさすがに風太郎だけあって、なる -
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ミステリを先ず読み始め、SF系にまで手を出すのは止めようと考えてきたので、著者の名も知らなければ、その作品もこれまで全く読んだことがなかった。そうした次第だったが、竹書房文庫から日下三蔵編のちょっと面白そうなアンソロジーが出始めたことを知り、本書を初めて手に取った。
各編、アイディアがなかなか面白く、文章も読みやすいので、サクサク読めた。
ある男が飼っている”別れ”の呪いを譲り受けた男に次々と迫る恐怖を描いた「お別れ」、花を出し忘れてしまい、去っててしまった”新聞蝶”を何とか探し出そうとする少年の冒険を描いたファンタジックな「お父さんの新聞」、なぜかいつ見ても一つのトイレの扉がしまって -
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『黒死館殺人事件』で有名な名探偵・法水麟太郎。法水麟太郎物の短編を発表順にすべて集めた短編集。
衒学趣味ってどういう事なのかいまいちつかみ切れていなかったのですが、この本を読んで何となく理解できた気がします。
他の方々も書いている通り内容は難解ですし、トリックや動機もそんな事ある? と驚くものばかり。「そうはならんやろ」「なっとるやろがい」という懐かしのネットミームが頭をよぎりました。
とはいえ、お寺や礼拝堂、劇団などを舞台にした様々な事件の数々は神秘的でとても心惹かれます。詩的な幻想怪奇の世界に溺れるような雰囲気を楽しむくらいでも良いのかも。
メインとなるトリックや動機の中に、病気や障 -
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横田順彌が無類の古書マニアというのは知らなかった。昭和のハチャメチャ・パロディSF作家というイメージしかなかったので。
横田順彌が平成になってから文芸誌に掲載していた古書ミステリ系の連作短編を、横田順彌の没後、日下三蔵が纏めて書籍化したのが本書。
作家志望のフリーライターの青年と、脱サラして街の古本屋の店主、その娘による、古書にまつわる不思議な出来事は、SF、ホラー、ミステリ、パロディ等色んな要素を盛り込んだ内容でいわゆる横順ワールド満載な作品。
時代設定もタイトルにも平成となってはいるが、キャラクターの思考も会話も、昭和の建てつけ。今読むと昭和レトロを彷彿させる。しかし古書業界や古書店の営業 -
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昭和中期に書かれた眉村卓さんのSF・ホラー短編作品集。日下三蔵編。
2部構成で、Ⅰ部はショートショート22編を、Ⅱ部は短編3作を収録している。
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個人的には Ⅰ 部の方がおもしろかったように思います。特に気に入ったのは、「奇妙な妻」「人類が大変」「できすぎた子」ですが、表題作「仕事ください」も悪くないし、その他も概ねまずまずだったと思います。
けれど Ⅱ 部の作品は首を傾げざるを得ないように感じました。 Ⅰ 部の各作品よりもページ数を割いているのにも関わらず、端折りすぎの感があったからです。まるでダイジェストみたいに説明中心で話を進めているた -
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ネタバレ24編の幻想小説集。
特にのめり込んだのは『妖瞳』だった。東京で男色研究をしている主人公が、因果な運命を背負った青年を目の前に、心の内で言葉が止まらないシーン。「内心舌なめずりする」のが文章だけで手に取るように分かって身震いした。主人公との対話によって硬く閉ざされた扉が開かれ、覆い隠された青年の心が再びその柔らかさを取り戻すのが切なく美しかった。
纏足の少女をテーマにした『紅い鞋』や生きたくも死にたくもない女の話『青い扉』も印象的だった。淡々と身の上を語る主人公に共感した。静かだけれどたしかな意思が彼女たちの中に渦巻いている。 -
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戸板康二の短篇ミステリ作品集『團十郎切腹事件―中村雅楽探偵全集〈1〉』を読みました。
戸板康二の作品は、昨年12月に読んだアンソロジー作品『鉄ミス倶楽部 東海道新幹線50』に収録されていた『列車電話』以来なので1年振りですね。
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ミステリ史に燦然と輝く老歌舞伎役者・中村雅楽の名推理
第1巻は、第42回直木賞受賞作「團十郎切腹事件」など全18編
江戸川乱歩に見いだされた「車引殺人事件」にはじまる、老歌舞伎俳優・中村雅楽の推理譚。
美しい立女形の行方を突きとめる「立女形失踪事件」、8代目市川團十郎自刃の謎を読み解く、第42回直木賞受賞作「團十郎切腹 -
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山川氏は所謂純文学とエンタメの境界領域で活躍した作家さん。教科書に採用されたこともあって、代表作と目される「夏の葬列」も〝オチ〟の後に、主人公の独白が続くという、ショートショートとしては異形なもの。巻末の座談会にもあるようにショートショートに明快な定義なんてないのだけれど。とはいえ、望まない結婚を強いられそうになっている女性の屈折と飼い猫の死を重ね合わせた「猫の死と」や、発表媒体が三田文学だという「昼の花火」が、一般的なショートショートの概念を外れているのは間違いのないところ。他にもショートショートとしては歪さを感じさせる作が多い。むしろ、きちっとまとまっている方の作が、今の眼では古さを感じさ