日下三蔵のレビュー一覧

  • 法水麟太郎全短篇

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    縦横無尽な知識と推理で事件を解決する超絶探偵の短編集。先に黒死館殺人の方を読んでいるがコチラも十分に難しい。見取り図等あるのは親切。
    作者の中でも黒死館殺人は大きかったのか作中でも結構触れられていた。

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    2023年08月26日
  • 山田風太郎時代小説コレクション 地の巻 南無殺生三万人

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    巻末をみると71年の頃の作品が中心となっている。時代の特徴なのか読者の要望なのか作者の好みなのかは分からないがエロネタが目につく気がする。
    伊藤一刀斎が乳吸い老人と化す話など『バガボンド』を読んだ身としては奇想すぎて引いてしまった。
    盗賊改として江戸の悪党(たぶん冤罪含む)をぶち殺しまくったお役人の話で奥様の方が適応して記録までつけ出すのは不謹慎ながら笑ってしまった。

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    2023年08月04日
  • 山田風太郎時代小説コレクション 天の巻 元禄おさめの方

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    時代小説というと戦国、江戸、幕末が主であるだろうが首を切り落としたは生えてくる中国譚や釈迦が登場するインドの小指斬りの盗賊の話などバラエティに富んでいる。
    短編ながらも関ヶ原以降の豊臣恩顧武将の死の連続の不自然さを解釈するのみならずミステリー要素も入っている作品など風太郎氏の奇想が味わえる。

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    2023年08月03日
  • 法水麟太郎全短篇

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    『黒死館殺人事件』で有名な名探偵・法水麟太郎。法水麟太郎物の短編を発表順にすべて集めた短編集。


    衒学趣味ってどういう事なのかいまいちつかみ切れていなかったのですが、この本を読んで何となく理解できた気がします。
    他の方々も書いている通り内容は難解ですし、トリックや動機もそんな事ある? と驚くものばかり。「そうはならんやろ」「なっとるやろがい」という懐かしのネットミームが頭をよぎりました。
    とはいえ、お寺や礼拝堂、劇団などを舞台にした様々な事件の数々は神秘的でとても心惹かれます。詩的な幻想怪奇の世界に溺れるような雰囲気を楽しむくらいでも良いのかも。

    メインとなるトリックや動機の中に、病気や障

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    2023年05月30日
  • 平成古書奇談

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    横田順彌が無類の古書マニアというのは知らなかった。昭和のハチャメチャ・パロディSF作家というイメージしかなかったので。
    横田順彌が平成になってから文芸誌に掲載していた古書ミステリ系の連作短編を、横田順彌の没後、日下三蔵が纏めて書籍化したのが本書。
    作家志望のフリーライターの青年と、脱サラして街の古本屋の店主、その娘による、古書にまつわる不思議な出来事は、SF、ホラー、ミステリ、パロディ等色んな要素を盛り込んだ内容でいわゆる横順ワールド満載な作品。
    時代設定もタイトルにも平成となってはいるが、キャラクターの思考も会話も、昭和の建てつけ。今読むと昭和レトロを彷彿させる。しかし古書業界や古書店の営業

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    2023年05月27日
  • アリバイ奪取 笹沢左保ミステリ短篇選

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    笹沢左保氏の初期短編の傑作集。古い話なので風俗が違いすぎ、若い世代の読者などほとんど時代劇やファンタジーの世界かも知れない。プロットやオチの付け方などに既視感を感じることが多いが、いやそれは違う。こっちがオリジナルなのだ。

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    2023年05月16日
  • 平成古書奇談

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     フリーライターの主人公が、古書にまつわる不思議や謎に遭遇する連作短編集。各編ごとに、SF、ミステリー、ホラー、ファンタジーの要素があって、多少の出来不出来はあるものの、古書に関する蘊蓄も勉強になり楽しく読むことができる。
     友だち以上恋人未満の彼女との恋の進展も、今の時代ではちょっと感はあるが、それも愛嬌かな。

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    2023年04月05日
  • 仕事ください

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    昭和中期に書かれた眉村卓さんのSF・ホラー短編作品集。日下三蔵編。
    2部構成で、Ⅰ部はショートショート22編を、Ⅱ部は短編3作を収録している。

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     個人的には Ⅰ 部の方がおもしろかったように思います。特に気に入ったのは、「奇妙な妻」「人類が大変」「できすぎた子」ですが、表題作「仕事ください」も悪くないし、その他も概ねまずまずだったと思います。

    けれど Ⅱ 部の作品は首を傾げざるを得ないように感じました。 Ⅰ 部の各作品よりもページ数を割いているのにも関わらず、端折りすぎの感があったからです。まるでダイジェストみたいに説明中心で話を進めているた

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    2023年02月24日
  • 夜のリフレーン

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    ネタバレ

    24編の幻想小説集。
    特にのめり込んだのは『妖瞳』だった。東京で男色研究をしている主人公が、因果な運命を背負った青年を目の前に、心の内で言葉が止まらないシーン。「内心舌なめずりする」のが文章だけで手に取るように分かって身震いした。主人公との対話によって硬く閉ざされた扉が開かれ、覆い隠された青年の心が再びその柔らかさを取り戻すのが切なく美しかった。
    纏足の少女をテーマにした『紅い鞋』や生きたくも死にたくもない女の話『青い扉』も印象的だった。淡々と身の上を語る主人公に共感した。静かだけれどたしかな意思が彼女たちの中に渦巻いている。

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    2023年01月03日
  • 獏鸚

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    戦前の帝都東京を舞台にしたミステリー短編集。
    昔の小説という感じはさすがに否めないが、雀荘の雰囲気、恵比寿や目黒ですらうら寂しい感じ、井戸に旦那を放り込んでしまう感じ、会話のテンポ感など、随所に漂うレトロ感や当時の空気感が何とも言えず味わい深い。

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    2022年12月28日
  • 團十郎切腹事件

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    戸板康二の短篇ミステリ作品集『團十郎切腹事件―中村雅楽探偵全集〈1〉』を読みました。
    戸板康二の作品は、昨年12月に読んだアンソロジー作品『鉄ミス倶楽部 東海道新幹線50』に収録されていた『列車電話』以来なので1年振りですね。

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    ミステリ史に燦然と輝く老歌舞伎役者・中村雅楽の名推理
    第1巻は、第42回直木賞受賞作「團十郎切腹事件」など全18編

    江戸川乱歩に見いだされた「車引殺人事件」にはじまる、老歌舞伎俳優・中村雅楽の推理譚。
    美しい立女形の行方を突きとめる「立女形失踪事件」、8代目市川團十郎自刃の謎を読み解く、第42回直木賞受賞作「團十郎切腹

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    2022年12月24日
  • 箱の中のあなた ──山川方夫ショートショート集成

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    山川氏は所謂純文学とエンタメの境界領域で活躍した作家さん。教科書に採用されたこともあって、代表作と目される「夏の葬列」も〝オチ〟の後に、主人公の独白が続くという、ショートショートとしては異形なもの。巻末の座談会にもあるようにショートショートに明快な定義なんてないのだけれど。とはいえ、望まない結婚を強いられそうになっている女性の屈折と飼い猫の死を重ね合わせた「猫の死と」や、発表媒体が三田文学だという「昼の花火」が、一般的なショートショートの概念を外れているのは間違いのないところ。他にもショートショートとしては歪さを感じさせる作が多い。むしろ、きちっとまとまっている方の作が、今の眼では古さを感じさ

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    2022年12月20日
  • 平成古書奇談

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    古本にまつわる事件に巻き込まれるのは「ビブリア古書堂〜」と同じなんですが、あちらよりも地味で神保町などの古本街にあるお店に近く馴染みがありイメージしやすい。短編集。

    各話どういう話で終わるのかわからないのは本と同じ、見た目ではわからない。それが面白い。

    ぼんやりとしたまむたいなオチの話も、その方がありそうで好きです。

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    2022年12月09日
  • 仕事ください

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    眉村卓は小松左京・筒井康隆・半村良・光瀬龍・星新一といった日本SF第一世代に所属している。これまで眉村作品は殆ど読んできたという自負がある中、本書「仕事ください」は読んだことがないと思っていたが、実はハヤカワ文庫JA「奇妙な妻」の収載作品とほぼ同じであることが後に判った。SFに感銘を受け、SFにのめり込んでいった時期に読んだにもかかわらず、その内容を殆ど覚えていないことに愕然とした。人間の記憶とはそんなものなのか、それとも単に私の問題なのかは言わないでおこう。

    昨年の6月に刊行された「眉村卓の異世界通信」で著作リストが掲載されていたが、それよりも詳しい解説、作品の出典に関する情報が編者である

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    2022年10月10日
  • 平成古書奇談

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    横田順彌の単行本未収録だった古書を題材にした連作短編を文庫化したもの。
    作家志望の青年と、行きつけの古本屋店主とその娘が主人公の古書を題材にした連作だが、SFだったりホラーだったりミステリだったりとその内容はバラエティに富んでいて全体的に軽めのテイスト。

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    2022年09月17日
  • 日露戦争秘話 西郷隆盛を救出せよ

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    快男児中村春吉の小説第三弾。前二作と異なり、SF的表現は少ない。シベリアの奥地の監獄に捕われた西郷隆盛を救出に行くのだが、全般的に間延びしている感があり、今一盛り上がりにかける。とはいえ、途中で仲間になるキャラクタは魅力たっぷりで可愛いのだが。特筆すべきは編者による巻末の解説。横田順也による当シリーズの初刊本の背景や中村春吉の足跡をたどる話が面白い。

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    2022年08月05日
  • 平成古書奇談

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    古書にまつわる、というよりは古書をきっかけに紡がれる連作集、という感じでしょうか。ファンタジーっぽいのやホラーっぽいのやミステリー風なのやいろいろ。自分に合うのがあったら当たり、という感じで読むのがいいかな。

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    2022年07月31日
  • 平成古書奇談

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    フリーライターをしながら作家を志す25歳の馬場浩一は、街の古書店、野沢書店に出入りしている。店主の野沢勝利と娘の玲子と懇意にしながら、趣味や仕事、執筆の資料として出会う古書を通じて不思議な事件や謎にぶつかる。古書マニアの著者が知る業界の事情を巧みに盛り込み、SF、ホラー、ファンタジーを横断する連作集。

    著者の作品は、大昔読んだ記憶があるが、小説ではなかったと思う。まずまずでした。

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    2022年07月24日
  • フェイス・ゼロ

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    ネタバレ

    「恐怖と欲望幻想」なSIDE Aも良かったし、「科学と冒険」なSIDE Bも面白かったです。
    「一匹の奇妙な獣」「フェイス・ゼロ」「魔神ガロン 神に見捨てられた夜」が特に好みでした。SIDE Bに偏ってるな。。
    『戦争の子供たち』も気になるのに、構想だけで創作されなかったみたいなのは残念です。SFの、「何が書かれているかわからないのにむしょうに面白い」というのはとてもわかります…わたしもこういうSFが好き。
    「不気味の谷」は聞き覚えがありました。ロボットの外観が人間に近付き過ぎると嫌悪感を覚えるってやつ。

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    2022年06月30日
  • 大人になる時

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    2022-05-23
    久しぶりの草上仁。相変わらず読みやすくて捻りがあって面白い。ちょっとホラー風味強めかな?しかし12編すべて面白いって異常。

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    2022年05月24日