【感想・ネタバレ】仕事くださいのレビュー

あらすじ

あれ、なんか変だな……。
気づいたとき、あなたはすでに別世界。
奴隷を求めた男の前に現れた“奴”、哀切なる猫SFなど、現実と幻想の狭間に迷い込む傑作短篇集。

仕事仕事仕事ください……。意のままになる奴隷を求めた男の前に現れた“やつ”は仕事を求め続ける……。表題作ほか、不思議で哀切なる猫SF「ピーや」、恋人との会話がどんどん食い違ってゆく「信じていたい」、戦争の傷痕を異様な迫力で描く「酔えば戦場」などに加え、第一長篇『燃える傾斜』の原型となった「文明考」などの初期未収録作3篇を収録。
読めば世界がずれてくる、ぶれてくる。気づいたとき、あなたはすでに別世界。現実と幻想の狭間に迷い込む傑作短篇集。まずは一篇、踏み出してみませんか?

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Posted by ブクログ

作品集「奇妙な妻」をベースに単行本未収録作品三篇を含む四編を加えた作品集。

奇妙な妻
ピーや
人類が大変
さむい

セールスマン
サルがいる
できすぎた子
むかで
酔えば戦場
風が吹きます
交代の季節
仕事ください
信じていたい

隣の子
世界は生きているの?
機械
くり返し
ふくれてくる
やめたくなった



その夜
歴史函数
文明考

『奇妙な妻』あとがき
変化楽しや?

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2023年01月28日

Posted by ブクログ

 作者がSFを書き出した1960年ころから1970年ころまでの初期作品をまとめた短編集。多くの作品はハヤカワ文庫JAの『奇妙な妻』収録のものらしい。
 単行本未収録の巻末に収められた3作品は、その題材からして確かにSFと思われるが、多くの作品は編者も言うとおり ”奇妙な味” といった感じ。

 サラリーマン生活の鬱屈から書かれたと思われる作品が結構あるが、正にその当時の作者の置かれた心象を思わせる。やや時代を感じさせる作品もあるものの、古びたところは少なく、今読んでも楽しく読めた。

 

0
2024年09月01日

Posted by ブクログ

昭和中期に書かれた眉村卓さんのSF・ホラー短編作品集。日下三蔵編。
2部構成で、Ⅰ部はショートショート22編を、Ⅱ部は短編3作を収録している。

     * * * * *

 個人的には Ⅰ 部の方がおもしろかったように思います。特に気に入ったのは、「奇妙な妻」「人類が大変」「できすぎた子」ですが、表題作「仕事ください」も悪くないし、その他も概ねまずまずだったと思います。

けれど Ⅱ 部の作品は首を傾げざるを得ないように感じました。 Ⅰ 部の各作品よりもページ数を割いているのにも関わらず、端折りすぎの感があったからです。まるでダイジェストみたいに説明中心で話を進めているため、こちらもストーリーを追うだけになってしまいました。

 眉村さんといえば当時は SF の名手だったように思いますが、やはり ( 科学的な部分の描写は除いても ) 古さを感じるのは仕方ないことなのでしょうか。少し淋しく感じました。

0
2023年02月24日

Posted by ブクログ

眉村卓は小松左京・筒井康隆・半村良・光瀬龍・星新一といった日本SF第一世代に所属している。これまで眉村作品は殆ど読んできたという自負がある中、本書「仕事ください」は読んだことがないと思っていたが、実はハヤカワ文庫JA「奇妙な妻」の収載作品とほぼ同じであることが後に判った。SFに感銘を受け、SFにのめり込んでいった時期に読んだにもかかわらず、その内容を殆ど覚えていないことに愕然とした。人間の記憶とはそんなものなのか、それとも単に私の問題なのかは言わないでおこう。

昨年の6月に刊行された「眉村卓の異世界通信」で著作リストが掲載されていたが、それよりも詳しい解説、作品の出典に関する情報が編者である日下三蔵によって纏められている。昨年の10月には、ハヤカワ文庫JA1500番到達記念復刊フェアで「司政官」が刊行され、久々に眉村卓の新刊らしきもの(5刷)を手にして、初版を手にした当時(1975年)の頃を懐かしく思い返した。

そして、各作品を読んでみたが、初めて読んだ頃の感動は得られなかった。それは時代が違うのだからしょうがない。世の中が変化している、私も変化しているのだ。しかし、日本SF第一世代の作品は現在のSF作家に直接・間接問わず影響を与えているのは間違いなく、第一世代の精神は形を変えつつ引き継がれている。

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2022年10月10日

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