日下三蔵のレビュー一覧
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終戦直前の疎開先で起きたある出来事のため、少年だった男は暗い記憶を持ち続けてきたが、長じてその地を再訪してある場面に遭遇し、自らの責任はなかったと解放の感を持ったのも束の間、思いがけない事実を知ってしまうという「夏の葬列」、教科書で読んだその作品が、作者の作品を読んだ初めてだった。どんでん返しの面白さとともに、戦争の悲劇とは言え救いようのない結末に恐ろしさを感じた記憶がある。
その後、作者は山川方夫という人であり、芥川賞の候補に何度もなったこと、ショートショートと呼ばれる作品を多数書いたこと、若くして交通事故で亡くなってしまったことなどを知った。
本書は、著者のショートショート全編を -
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ネタバレ不思議に、ぎゅっと、摑まれる。
「センチメンタル・ジャーニイ」、〈チグリスとユーフラテス〉外伝などの未収録作と初文庫化作を中心とした短篇集。
(竹書房公式サイトより)
短編集をさらに集めたような一冊、このページ数で様々な新井素子ワールドが詰まっていて読み応えがあった。
恒例のあとがき収録もあり、巻末の編者による作品解説、補足が豊富な収録内容をさらに充実させている。お得感たっぷり。
目当てだったチグリスとユーフラテス外伝について
「馬場さゆり チグリスとユーフラテス外伝」
レイディ・アカリとキャプテン・リュウイチの親しい友人、明…の嫁視点の物語。
医者になるまでその仕事の「生々し -
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ネタバレ水見稜。1980年代のみに活躍し、作品数も10作に満たない作家でありながら、今でも名前を見ることがある。
特にこのマインドイーターは良いニュアンスで名前が出されているのを目にし、一度読んでみたいと思っていた。
読んでみた感想は「これが30年以上前の作品なのか」というもの。
MEとの壮絶な戦いを期待していた私には肩すかしではあったが、決して期待外れでは無く、人間の内面、特に弱い部分や気持ちの移ろいの描写はすばらしいものがあった。
近年のSFでは忘れられている感もある「地球を離れて人間は生きられるのか?」というテーマも含まれていて、宇宙から俯瞰して見た「生きる」とはどういう事かを考えさせられる。 -
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横溝正史を読み、繋がりのある海野十三へ。名前は有名ですが読むのは初めて。
横溝正史と海野十三について。
当時雑誌「新青年」の編集者だった横溝正史が、海野十三の原稿を他の人に「校正しておいて」と渡したらその人は原稿をまるっきり書き直してしまったらしい。そのため海野十三っぽさはまるで無くなってしまったんだが、時間もないし、申し訳なく思いながらもその書き換えたものを発表した。しかも当時公務員だった海野十三がペンネームを使っていたのに、うっかりと本名を雑誌に載せてしまったんだそうな。個人情報、著作権ってもんが全くない 笑
横溝正史は海野十三に対して「大変ご迷惑を…」と大いに反省しているが、海野十三は -
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江戸川乱歩や横溝正史など著名なメンバーがリレー式で書き継いだ合作探偵小説「五階の窓」、「江川蘭子」、「殺人迷路」、「黒い虹」の4編収録。
前に江戸川乱歩の本で「江川蘭子」の乱歩担当回だけ読んだことがあって続きが気になっていたのだが、今回まとめて読めたのは大変嬉しい。
「五階の窓」は最後に執筆陣の所感がついており、それによると人物や筋は事前にいっさい決めずにそれぞれ書いたという。それにしては破綻せずまとまっているのはさすがだが、「殺人迷路」と「黒い虹」で最終回を担当した甲賀三郎は伏線回収にかなり苦労したと思われ、「黒い虹」の最終回冒頭がぼやきで始まっているのは笑った。
あと伝奇の一筋の人だと思っ -
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うわあぁ、草上仁を、何十年ぶりかに読んだ!
うんうん、コレコレ!
「国境の南」「飛び入りの思い出」「アイウエオ」がベストスリー。
逆に、読みはじめの数行でネタバレしたのもあり、ありゃりゃ。
巻末に作品リストが載っているのがありがたい。初期の短編集はたぶん全部読んでるハズ…
その頃の作品から透かし見た未来が、今の現実にとても近いことに、何やらにやりとしたり、ぐっときたり。
たとえば、新型ウィルス対策でマスクを手離せず、透明なパーテーションを挟んで黙って飲み食いするなんて、まるっきり「くらげの日」だと思って眺めていた。
通信障害スマホが使えないと何もできなくなるなんてのも、とっくの昔に見て -
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曽野綾子の思想的原点はどこにあるのだろう
いくつかの初期作品に触れた感触だけで想像するに
太宰治の影響が強いのではないか
勝手にそう思っている
「ビショップ氏殺人事件」
昭和30年代のはじめだから、朝鮮戦争の少しあと
優しいアメリカ人の見せる父性に対して
若き日本人の抱える甘えと屈託が
殺人事件を引き起こす
「華やかな手」
女子生徒に人気のある大学教授
彼は赤ん坊のとき、事故で片方の手首を失っている
不具の意識から結婚を避けている様子だが
しかし人生に絶望してはいない
明確ではないけれどもキリスト教への傾倒が垣間見える
「消えない航跡」
生きてるときは嫌なやつと思っていても
死んだあとで -
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ネタバレ短編集。
SF+ミステリ系なお話から、ちょっとクスッとくるお話まで色々。
以下、ネタバレ含みます。
スタート・ピストル ロボットものですが、ミステリ要素も少々。
スカイダイブ 世にも奇妙な…みたいな話。
大酋長 やりとりが面白い
ハパンサペナ 言葉が厳格に定められた世界の話
顔 これはちょい怖い
大人になる時 難しい
犬のプレゼント イヤミス系
自分殺し 個人的に好き。クローンでも受け継がれない後発的に獲得したもの…
妻の味 悲しい話
皮まで愛して これはギャグ枠
バディ なかなか特殊な世界観
ワクチン 今のコロナの時代にあった話かも。結局教授は…どうなんだろ