日下三蔵のレビュー一覧
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横溝正史『丹夫人の化粧台 横溝正史怪奇探偵小説傑作選』角川文庫。
横溝正史の初期短編14編を収録。角川文庫から横溝正史の新編集本が刊行されるのは15年振りらしい。30年前は本屋に行けば必ず角川文庫の横溝正史作品が並んでいた。当時は書棚に並んだ黒い背表紙に緑色のタイトルに目を引かれ、読み漁ったものだ。本作の場合は黒い背表紙に白文字タイトルだった……
今読み返すと流石に時代を感じるし、今では差別用語となった言葉も登場し、少しドキリとする。
横溝正史の作品は江戸川乱歩の作品とも似ているが、江戸川乱歩よりも陰湿で底知れぬ不気味さを感じる。いつも事件を颯爽と解決してしまう神出鬼没の明智小五郎に対し -
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『百億の昼と千億の夜』に代表される光瀬龍の世界とは、私が思うに、とどめようのない衰退と絶望、そのなかでひとり抗う主人公というものだ。
かつて栄耀栄華を誇った世界である事が前提となるものの、必ずといって良いほど、作品のあちこちに、その世界が今吸いたいに向かっていること、滅びつつある事がうかがえる。
一方、短篇が多い光瀬龍の未来宇宙では、しばしば「東キャナル市」という火星の街が登場する。
この街もまた、かつては太陽系の中心都市ですらあったのに、今は見る影もない場所として描かれる。
たとえば、いったい誰を表したものとも知れない銅像の下でたむろする、老いさらばえたスペースマンたち。彼らの多くはサイ -
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ミステリ短編集。でも実は、それほどミステリっぽくない印象のものも多い気がしました。だけど特に事件が起こるわけでなくとも、心理的にじわじわと嫌な感じが漂う物語があって、その結末に驚かされるのでこれはやっぱりミステリなのだなあ、と認識させられます。一見地味だけど、読めば読むほどじわじわ来るなあ。
お気に入りは「みにくいアヒル」。とにかく主人公は気の毒なのだけれど、それでもまあまあうまく生きられていると思っていたのに。まさかそんな選択を! でもそれが幸せと思えるのかあ、と何ともいえず切ない気分になりました。同じような印象で、「老後」も幸せの意味を考えさせられますね……。
「絶対反対」にもやられました -
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前半と後半で趣の違う短編集。前半はイヤミス寄り。後半はサプライズ重視。後者が好みであった。
惨事
いきなり悲惨な話。ラストの葛藤は、どうぶつタワーの時間切れかと思ったわ(失礼
時代背景あり、インパクト絶大のはじまりだった。
蝮の家
予想は容易く、清々しい。証拠のひとつが素晴らしかった。
孤独なカラス
教育環境が人格形成の大元。狂いそうな時間が流れた異質な作品。
老後
全然見合わない老後でもの哀しい。もっと弾けてほしかった。
私に触らないで
誘惑。違う未来。自分の判断って大事でねー。
みにくいアヒル
私も自分の容姿に自信がないが、この物語は哀しくも彼女が選んだ道なのだ。
女の鑑
読みにくい?? -
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眉村卓『日本SF傑作選3 眉村卓 下級アイデアマン/還らざる空』ハヤカワ文庫。
隔月刊行の全6巻。現代日本SF誕生60周年記念シリーズの第3弾。眉村卓の記念すべきデビュー作を含む、全22篇を収録。700ページを超えるボリュームに圧倒される。
第一部は異種生命SFを13編、第二部はインサイダーSFを9編と構成に気を使った感はあるが、同じテイストの短編ばかり並び、飽きてくる。出来れば、もう少しバラエティに富んだセレクトにしてもらいたかった。
眉村卓はジュブナイル向け作品を皮切りにだいぶ読み込んだ記憶がある。昔、NHKがまだまともだった時代に眉村卓の初期代表作である『なぞの転校生』がドラマ放送 -
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宇宙へ進出した人類に襲い掛かり精神を破壊し、その肉体を異質なものに変化させる鉱物意識体マインド・イーター(M・E)と人類との攻防を基本設定に8話から成る短編は、宇宙と人間、感性と感情、生と死という哲学的テーマを通して、人はなぜフィクションを求めるのか?、SFとは何か?という問いを読者に投げかける。
1980年日本SF小説の全盛期において小松左京、筒井康隆らも盛んに作品の題材に取りあげたテーマ。その≪文系SF小説≫の中においても本書は今なお傑作を謳われる一作であり、30年前の作品とは思えない全く古さを感じさせない文体と構成は見事。
1984年にハヤカワJA文庫で刊行され長い間絶版になっていた本書 -
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1930年代に描かれた日本SFの先駆者による奇想天外なミステリー集。探偵・帆村荘六が活躍する10編の短編を収録。さすがに時代を感じる短編が多いのだが、奇抜なトリックと時代を超越した発想力に今読んでもなお魅力を感じる。
『麻雀殺人事件』。オーソドックスな探偵ミステリーといった作品。帆村の目の前で起きた殺人事件…犯人は誰か…
『省線電車の射撃手』。電車内で起きた女性を狙った連続射殺事件に帆村が挑む。
『ネオン横丁殺人事件』。密室で起きた射殺事件に挑む帆村は真相をあばくことが出来るのか。
『振動魔』。まさに奇想天外なトリック。この短編には帆村は登場しないのかと思いきや、最後に颯爽と登場する。