あらすじ
現代日本SF誕生から60周年を記念して、第一世代作家6人の傑作選を日下三蔵の編集により刊行するシリーズ。第3弾は眉村卓。収録作は「下級アイデアマン」「悪夢と移民」「正接曲線」「使節」ほか。
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前半は宇宙もの、後半は著者の代名詞であるインサイダーSFです。特に後半は時代を感じさせない(時代を先取りした)同時代性があり(産業士官学校ってビジネススクールでは?)、面白かったです。不定期エスパーとか引き潮のときとかカルタゴの話とかも復刊希望。
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眉村卓『日本SF傑作選3 眉村卓 下級アイデアマン/還らざる空』ハヤカワ文庫。
隔月刊行の全6巻。現代日本SF誕生60周年記念シリーズの第3弾。眉村卓の記念すべきデビュー作を含む、全22篇を収録。700ページを超えるボリュームに圧倒される。
第一部は異種生命SFを13編、第二部はインサイダーSFを9編と構成に気を使った感はあるが、同じテイストの短編ばかり並び、飽きてくる。出来れば、もう少しバラエティに富んだセレクトにしてもらいたかった。
眉村卓はジュブナイル向け作品を皮切りにだいぶ読み込んだ記憶がある。昔、NHKがまだまともだった時代に眉村卓の初期代表作である『なぞの転校生』がドラマ放送されていた。この傑作選を読んで、日本SF小説に胸をときめかせていたあの頃を思い出した。
Posted by ブクログ
知性の格差を基にして、そのズレから生じる価値観や死生観を描いているかのような物語が多かったという印象の「日本SF傑作選3 眉村卓」。
その生まれてしまったズレを埋めようとするものもあれば、マウント気味に上の位階に引き上げようとする傲慢さが見えるものもあったなぁ。しっぺ返しがあったり、あちら側がより上の位階に達していたりするのが、オチとなっていましたね。
「惑星総長」の無為無気力感が酷く陰鬱な気分にさせる。あそこはもう一種の牢獄になってしまっているような気がする。アルカロイド系飲料を飲んでいるのは、緩やかな死を待つ心の表れなんだろうな。
「正接曲線」「キガテア」も滅亡することが、決定されてしまった種族との出会いが生む未知への恐怖であったと思います。自分以上の何者かの意思に触れてしまった畏怖というものもあるかもしれないけども、単純に理解しきれない恐怖が先に来ました。種明かしはされるけども、だからと言って納得しきれないというのもある。
「サバントとボク」「我がパキーネ」の2作は、少々毛色が違いますが、希望に満ち溢れた未来が待っているのか、というとそうではないんだよなぁ、という予想をしてしまうので、なんともいえない。主人公の選択を、心底応援できないというのが出てきてしまう。愛情のまま突っ走るのはいいけども、それだけで報われる人生でもなんよなぁ、という感想になってしまう。
本書に収録されている作品だけでいうのであれば、総じて暗さを纏った物語が多かったように思います。フィクションゆえのハッピーエンドをさせてくれない、というか。結果として、読むのに体力がいるものとなりました。
面白いので読まされてしまうために、体力の消費も激しくなりましたね。