日下三蔵のレビュー一覧
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人間のよさ。戸板康二が描く「中村雅楽」という人物の魅力をひとことで言えば、そういうことになるのではないか。
鋭い観察力と洞察力とで身の回りに起こる「面白い」事件(「日常の謎」と言ってもいいが)を鮮やかに解決しながらも、そこにはいつも人間のあたたかい血の流れが感じられるのだ。それは、主人公「中村雅楽」が歌舞伎役者(しかも名門の出ではない)として人生の大部分を劇場で過ごしてきたことと無関係ではないだろう。役者はひとりでは生きられない。相方や脇役、裏方としてはたらくたくさんの人々、そして劇場に足を運ぶ観客がいてはじめて、舞台の上でスポットライトを浴びることができる。雅楽の、事件の当事者に対する慈愛 -
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歌舞伎役者「中村雅楽」が、不可解な事件の《なぞ》を解く人気シリーズ。老優・雅楽のたたずまいがとにもかくにも魅力的で、つい手に取ってしまう。
この第一巻に収められているのは、江戸川乱歩の後押しで世に出ることになった「車引殺人事件」をはじめ、初期に書かれた18の短編。なかには、第42回直木賞を受賞した表題作「團十郎切腹事件」も含まれる。これは、ナゾの自殺を遂げた八代目市川團十郎の有名な事件を、およそ百年後に「中村雅楽」がなぞ解きするというもの。若い時分に耳にした知人の昔話をきっかけに、次第に切れ味を増してゆく「雅楽」の推理に圧倒されるが、じつはこれ、ジョセフィン・テイの古典『時の娘』への秀逸なト -
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内容(「BOOK」データベースより)
宇宙へ出た人類に襲いかかったもの、それがM・E。ひとつ前の宇宙の残滓であり、人間に悪意をもつ、小天体の姿をした存在。精神を食いちぎり人を異質なものに変える。これを破壊せんと連合はハンターを育成し宇宙へ送るが、戦いは絶望的だ。しかもハンターがM・Eの顎に倒れると、精神的に強く結ばれた恋人や肉親までもが変貌するのだ。日本SFの里程標的傑作を完全版で贈る。
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SFマガジン連載時からワクワクしながら読んでいて、1984年にハヤカワ文庫から出たときは夢中で「これは未完の大傑作だ!」と -
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おもしろい
ミステリとしては解決部分で読者に提示されていない手がかりが現れるなど、謎解きを主眼としてみた場合はがっかりするかもしれない
しかし、それは読み手が読み方を間違っているだけで、不可解な事件が起き、それを雅楽が解決するという一連のストーリーを楽しむという読み方をしていけばものすごく面白くなっていく
読んでいて思ったのは半七捕物帳によく似ているなということ
実際作者もある程度意識していたようで、読者のあまりなじみのない世界でおきる様々な魅力的な謎を解決していくというあたりに同じ魅力がある
まだまだ作品はたくさんあるようなので読むのが楽しみ
読んでいないかたは是非 -
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全集最終巻には、長編2編と探偵小説にまつわるエッセイを収める。
表題作は、1959年から1960年にかけて東京新聞に連載された。全集第1巻の最後に収められた「文士劇と蝿の話」に、浅尾当太郎の悲恋への言及があり、それを書いた話があるの? と思っていたら、「松風の記憶」がそれだった。先に解題で、最初に単行本化されたとき「鷺娘殺人事件」の副題がついたということを読んでしまったため、いわばゼロ時間へ向かって読むこととなった。"鷺娘"が殺されるのは、全体の85%を過ぎたところ。そこまで、登場人物の動向と心情を丁寧に記しているのだが、それだけでも面白いのだが、いつどうやって殺されるのか -
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中村雅楽(がらく)ものを年代順に編集(長編は別立て)。第1巻は1958年から1960年にかけて発表された、第1作「車引殺人事件」や直木賞受賞作の表題作を含む、18作を収める。
雅楽ものは昔結構読んだが、単行本だったと思うので、立風書房版だったのか? 中村勘三郎が雅楽を演じた土ワイの2時間ドラマも好きだった。「奈落殺人事件」の、メイントリックではなくメイン錯覚はずっと覚えていたのだが、今回読んでいるうちに、ある人物が土ワイで淡島千景だったことを思い出し、それで犯人も確信(淡島千景が出ていて何でもない役というのはありえないでしょ)。いやあ懐かしい。再放送を見たいものだ。
TVが出たて、新幹線はまだ