【感想・ネタバレ】松風の記憶のレビュー

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Posted by ブクログ 2020年02月25日

後年の人の死なない短篇群を先に読んでいたから、ことに若い人が死ぬ話は辛い。それだけ人間がよく書けているということでもあるのだろうが。

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Posted by ブクログ 2010年08月01日

全集最終巻には、長編2編と探偵小説にまつわるエッセイを収める。
表題作は、1959年から1960年にかけて東京新聞に連載された。全集第1巻の最後に収められた「文士劇と蝿の話」に、浅尾当太郎の悲恋への言及があり、それを書いた話があるの? と思っていたら、「松風の記憶」がそれだった。先に解題で、最初に単...続きを読む行本化されたとき「鷺娘殺人事件」の副題がついたということを読んでしまったため、いわばゼロ時間へ向かって読むこととなった。"鷺娘"が殺されるのは、全体の85%を過ぎたところ。そこまで、登場人物の動向と心情を丁寧に記しているのだが、それだけでも面白いのだが、いつどうやって殺されるのか、"鷺娘"はやっぱ彼女なのか、とか思って読むので、緊張感溢れるものになる。登場人物への親近感も増していき、特に"鷺娘"はどんどん魅力的になっていって、殺人事件なんて起きなくていいよ! と思ってしまう。結果として悲劇の端緒を作ってしまった当太郎の父で雅楽の親友浅尾当次も、冒頭で死んでしまうのに、なんだか床しい人柄で、好きになってしまった。
もう1編の長編「第三の演出者」は1961年の書き下ろし。関係者6人の1人称話と雅楽の1人称推理で構成されるが、藪の中方式で、人によって言い分が違う、というわけではなく、違う角度からの叙述によって、徐々に何が起きたかが明らかになっていく、という趣向。雅楽の推理の前に犯人はわかってしまい、謎解きとしてはひねりがないが、十分面白い。当時の新劇の位置づけも興味深い。

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