日下三蔵のレビュー一覧

  • 夜のアポロン
    単行本未収録の短編集。
    溜め込んで持て余した感情はやはりどこかで使い果たせねばならないのだと感じる。それがどう言った結末になるかわかっていても。
    時代が古くあっても、その感覚は昔では、と思っても最後まで読み終えるとなんだか納得してしまってこの結末を迎えることに読者が諦めを感じてしまう。
    流れ着いたな...続きを読む
  • 箱の中のあなた ──山川方夫ショートショート集成
    大好きな作家。
    この人の作品は全体的に淡々としているような冷たさがある。でも話に引き込んでいく魅力がある。自分が一番衝撃を受けたのが「お守り」という作品。どの作品も人間の根底を暴いていくような一面があり、読んでいて少しヒヤッとする。でもこれがクセになる。この全集でなくても、買って読んでみてほしい。
  • 赤い猫 ──ミステリ短篇傑作選
    仁木悦子さん、やっぱり好きだなぁ。
    事件も陰惨なものでないのも読みやすくていい。
    今回収録の作品のいくつかで探偵役を務める悦子さんが車いすなのは、自身を投影しているのだろうな。
    最後の「最も高級なゲーム」での学生たちの様子も好き。
    また仁木さんの作品を読んでみたい。
  • 江戸川乱歩全短篇(3)――怪奇幻想
    角川ミステリーに収録されている「芋虫」が伏せ字が酷くて本書を購入。「芋虫」は良かったのは言うまでもないが、「人間椅子」「虫」など人間が無意識下に封印しているが確かに持っているであろう残虐性・異常性が描かれた作品がすばらしく、乱歩の虜になってしまった。なお、本書は全短編集であるがゆえに「悪霊」や「空気...続きを読む
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿
    モナドの領域同様、こっちも御書印巡りのときに買ったやつだったはず。モナドよりだいぶ昔のはずだが。
    こっちはSF短編集だった。小説の背景設定を見ると、だいぶ昔に書かれたものっぽくはあった。1964年から78年の作品。

    ・いじめないで
    出力が穴開きテープというだいぶ古いタイプの人工知能と、世界崩壊後に...続きを読む
  • 見習い天使 完全版
    天野さんのイラストが描かれた表紙で思わず購入。クスッと笑えるショートミステリ集で、見習いの天使の視点で描かれた人間界の伝聞話が収録されてます。

    ミステリや謎解き、話の裏を描くオチがあって、分かると痛快。見習い天使によるミニ解説がついてるので、オチが分からないというのは少ないのでは。だから安心して読...続きを読む
  • 日露戦争秘話 西郷隆盛を救出せよ
     中村春吉秘境探検記シリーズの3冊目。SF色も怪奇色も薄い。西郷隆盛が、もしも生きていたらという"if"がSFらしいところか。なにか番外編っぽい感じがする。それにしても、相変わらずの冒険活劇が痛快だ。

     さらに、ヨコジュンさんの単行本未収録の短編が5話も載っているじゃありませんか。これはお得ですね...続きを読む
  • 大聖神
     痛快娯楽小説とでもいうべきか。中村春吉秘境探検記シリーズの長編。相変わらず明治という時代の香りが文中の漂う。

     「幻綺行」を読んだばかりなのだが、短編の方が面白く感じた。長編だとちょっとダラダラしているように感じた。そこで、巻末に収録されている「自転車世界無銭旅行者 中村春吉」のほうが面白く読め...続きを読む
  • 影絵の街にて
    未収録作と初文庫化作を中心とした短篇集。
    「チグリスとユーフラテス」外伝が読みたくて購入。
    そろそろ、素子さんの長編SFが読みたい。
    そして、あとがき、解説が面白かった。
  • 大人になる時
    「キスギショウジ氏の生活と意見」も面白かったけど、こちらも面白い。
    「出来の良いものを(本書のために)残して置いた」と解説で編者が述べているのも納得の粒ぞろいの短編集。
    とにかく世界観がいい。どの作品も冒頭でグッと引き込まれ、映画を一本観たくらいの満足感があります。
  • 吸血鬼飼育法 完全版
    お金をいただければ合非問わず引受ける「何でも屋faa 片岡直次郎」
    “007”張りの活劇ちょいワルオヤジの短編集
    電子機器は一切出てこないのに全く違和感はなく
    タイトルも今風
    名作は時代を超えるものだなぁと深く感じ入りました

    ラストは短編をハードボイルドにしたショートショートでまとめられ、幾重にも...続きを読む
  • 怪奇小説集 蜘蛛
    おもしろい!!!ユーモアとおぞましさがミックスされていて読み応えがある。冷や汗をかきながら読んでいたけど、共感できる部分があるからこそ、ヒヤヒヤしてしまう。「あなたの妻も」「初年兵」がすき
  • 怪奇小説集 蜘蛛
    怖がりで幽霊を信じていなくてちょっとシタゴコロのある遠藤周作が、「周作恐怖譚」という連載のため実地取材した怪談集。…となっているけれど、一部以外はドキュメンタリー風の怪談小説であって、完全実体験ではないってことでいいんですよね。


    幽霊を信じていない遠藤周作本人が体験した三つの不思議な話。ルーアン...続きを読む
  • キスギショウジ氏の生活と意見
    SF、ホラー、ファンタジー、ミステリなどの様々なジャンルの入ったかなり幅の広い短篇集。最後の書き下ろしである現代のネット社会に注目した「R依存対策条例」を除けば88〜91年の短篇ばかりだが、古臭さは感じないし、読みやすいし、面白い。著者の短篇集は初めて読んだが、ジャンルが次々とかわり、飽きることなく...続きを読む
  • 獏鸚
    幅広いバリエーションに富んだ作品集。これだけあれば、必ず1つくらいは気に入るものがあるのではないだろうか。私は「省線電車の射撃手」が結構気に入った。青空文庫でほとんどが読めるので、そこで読んでみるのもおすすめ。
  • 夜のリフレーン
    短編小説には作家の技量が出る。

    まさにそれのお手本のような作品集でした。

    幻想的な作品は美しい。

    大好きです。皆川さん(//∇//)
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿
    久々の筒井康隆。50年以上前の初期短編集だけど全く古びない毒の強さは流石、公共伏魔殿なんかむしろ今こそ読まれるべき。そして人が死ぬ描写のリズミカルさは爽快的でいつも笑ってしまう。
  • くらげ色の蜜月
    これはホラーなのかミステリなのか…よくある昭和ミステリとは一線を画する、何かすごいモノを感じる。
    江戸川乱歩が好きな方におすすめします。
  • くらげ色の蜜月
    昭和だなあ、という感慨も抱けそうな、濃厚な短編集。戸川氏というと、『緋の堕胎』を絶賛した筒井康隆氏が、女流作家というはどうしてこんな怖い話が書けるんだろうと記したように、女性性を強調されることが多い気がする。今の目で見ると、そういうのは感心しない、というべきだろうが、それより、戸川氏の側があえて男性...続きを読む
  • 筒井康隆、自作を語る
    筒井康隆作品との出会いは、中学生の時のNHK少年ドラマシリーズの「タイムトラベラー」。原作は「時をかける少女」。やはりファーストコンタクトしたテレビドラマの方にイメージが固定されがちで、その後に読んだ文庫本からはあまり感動を得られなかった記憶がある。しかし、他の文庫本を読み進めるに連れて、どんどん筒...続きを読む