途中から登場人物の名前がごちゃごちゃになったので(あ、いえ、本がごちゃごちゃなのでなく、私のワーキングメモリが壊滅的なのです…。)流し読みしてしまったのだけれど、かなり面白かった。
エモさや世界観を押し出した作品に対しては「小説という箱庭」を見せられているようで、辟易してしまうというか、読むために自分の感性を物語に忖度するような姿勢になる場合が多く、通常、読み終わる頃にはハッキリと自分の中に疲労感を覚える。
しかし、この作品は仕事場が舞台であるからか、感性というよりは「行動の原理」の説明が多いように感じ、だからこそ、そういった各々の信念と「信念だとでも説明しなければ説明がつかない思惑(見え隠れする感性)」という矛盾した意志が熱を持って作品の中に渦巻いている。
つまりは、登場人物は「自らの地位たる態度」を意識しその自己像に合うよう理性的であろうと意味付けをしつつ、読者から見ると非常に「野蛮」なのである。それは獰猛や狡猾、と言った言葉とはまた違い、言い換えるなら「人間味」のような、小説のために昇華され美化され他者に語りかけるために調整されてしまう前の、人間として正直な本質だ。
「蛮政」というのは造語らしく、この作品は政治のスキャンダルを描いたものであるから、それだけでもなんとなくこのタイトルになった背景やニュアンスは通じるのだが、登場人物の1人1人に焦点を当ててみても、積極的に語られることはないものの、終始「蛮性」が描かれており、作者の強い言語センスを感じられる。
秋、という四季の落日を見送るような孤独さと、厳しさと、日没後に残るある種の「敬虔」のようなものを感じさせる単語と繋がるのもまた上手いなと思う。
堂場作品を読むのは今回がはじめてであったので、他の本も読んでみようと書店でタイトルの並ぶ本棚を眺めてみたが、その言語センスが他の作品にもひしひしと感じられたので、かなり興奮した!