Posted by ブクログ
2021年02月04日
「検証捜査」シリーズ完結編。
わざわざ、作者があとがきで「これはシリーズものではない」と言い切っているけど、全作読んでいる読者からすれば、完全なシリーズ。
前作「凍結捜査」で、主要人物が一通り、主人公を務めたので、個人的には前作がラストと読んでいたが、まさかラストにもう一度全員集合パターンが出て来る...続きを読むと思わなかった。
しかも、今回の舞台はフランス・リヨンと東京、大阪、神奈川と多岐に渡る。
1作目となる「検証捜査」で処分された神奈川県警の元刑事が処刑された遺体で発見される。
殺された手口と、被害者と面識があった警視庁の神谷は、警察庁の特命を受け、福岡県警の皆川、埼玉県警の桜岡と共に特命で捜査を行う。
一方リヨンで、ICPO内で新しい組織を立ち上げの為、渡仏していた官僚の永井が何者かに拉致される。
永井の手伝いで、同じくフランスに渡っていた凛は永井を救出する為に見知らぬ土地で奔走する。
一見、別々の事件のように思えるが、両方の事件に前作「凍結捜査」のラストで獲り逃したロシアン・マフィア「ブラン」が関与していることが判明し…
と言う展開。
うーん、正直、ラストで力みましたね、と言う感想。
作者の警察小説だけを読んでいるせいか、あまり国際的な舞台の作品を読んでいないので、フランスやスイスが絡んでくるのが、若干違和感。
ただ、いつもうんざりする食事の細かいシーンが少なかったので、ラストと言うこともあり、久しぶりに評価は高めで。
好きなシリーズだっただけに終わってしまうのは、ちょっと残念だけど、最初の「検証捜査」から、もう10年!そんなに続いていたのか…
解説に「単体で読んでも面白い」とあるが、これから読む方はちゃんとシリーズ最初から読まないと、神奈川県警の不祥事の話も、神谷と凛の関係も、「ブラン」の存在も分かりません。どうせ読むならば、全作読むことをお勧め。どうしても、読めない方は最初の「検証捜査」と前作の「凍結捜査」は読むことをお勧めします。
その他は確かに「検証捜査」のスピンオフかも。