麻耶雄嵩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あらすじ、本編、解説を読む限り、著者の他作品のキャラクターが登場しているようだが、未読でも遜色なく楽しめた。
主人公がようやく辿り着いた、隔離された名もなく地図にも載ってない村。
そこは大鏡という神が支配する閉鎖的な村だった。
村で起こる全てのことがどこか怪しく、村人の肚の底も見えず不気味さを感じさせる。
村人全員に疑惑を感じ、孤独が際立つ状況での推理から雪崩れ込むように明らかになる事実まで、テンポよく読み進められる。
しかし最後4ページでの更なる事実は読み直した。
自分自身の中で読み積み上げてきた情報が、ダルマ落としのようにスコッと抜けたようだった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレすごいものを読んだ。ずっと読んでみたかったので、読めてよかった。
『翼ある闇』に比べると衒学趣味が抑えられ、新装改訂版でかなり手を加えられているであろうことを差し引いてもかなり読みやすくなっている。
それでもやはりキュビスム、キリスト教、音楽、と目眩く知識量に圧倒されるけれど、衒学趣味が邪魔しない。これらの要素が暴走して物語の根幹を成しているわけで、排除できないし読めば理解できる。
烏有の最後の選択があまりに衝撃的で、ああまた作者に突き放された、と思った。
麻耶雄嵩は当人物も読者も等しく突き放す。
放り出される快感。
謎が解ける快感。
わからないままでいる快感。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ「貴族探偵」という強烈なキャラクターと、駆け出しの女探偵。
対照的な探偵を登場させることで、前作よりも貴族探偵のキャラクターが際立っているように感じる。
1作目〜3作目は、派手さはないがロジックがしっかりしている。ただ、読んでいてあまり新しさがないのは難点。
4作目『弊もとりあへず』は前作の『こうもり』でも用いられていたトリックが使われている。
もちろん驚いたし面白いが、一度味わっちゃってるからな...
と、ここまでは出来としては及第点といった感じだが、5作目でなんと連作短編集のような作りになっていたことがわかる。
1作目〜4作目に散りばめられた伏線を回収し、愛香が学んだ"貴族 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「7人の名探偵」で気になっていたメルカトル鮎シリーズ?が読みたくてこちらをチョイス。麻耶雄嵩氏のデビュー作らしい。
色々ぶっ飛んだ作品らしいけど……ああ(察し)
コレはすごいな。以下ネタバレ
二転三転どころかゴロゴロ転がってるやないかレベルで話が変わる後半(笑)
結局シリーズでのメルカトル鮎は一番最後に残った人、なんだよね?
大量殺人な割にはサクサク話が進むのは、出オチかと思ういきなり現れた二人の死体が原因?
というか、国内ミステリーで警察が名探偵と言われる人物の発言を重要視するのってなんか意外な気がする……気のせいかな。
探偵がゴロゴロいる世界観が読んでて不思議やった。
犯人は -
Posted by ブクログ
ネタバレ叔父さん、ただのサイコパス!
ライト?な連作短編集。
やっぱり麻耶さんのテイスト好きだわ…と再認識させられた1冊。
年齢的にどうしても叔父さん寄りになり、35歳なのに叔父さん呼ばわりを許容しててエライな、と思った。
表紙絵に引っ張られて脳内イメージが表紙絵のまんまで読み進めたけど、フケさえ落ちなければかなり好みである。
一般的に見てそれ(叔父さん)がかなり異様でも、身内的には常態なのでおかしさに気づかないんだよね。分かる。
優斗の世間知らずに起因する高校生らしい呑気さとか、彼女真紀や元カノ明美や親友陽介らとの高校ライフとか、鄙びていくだけの地方の町の閉塞感とか、よく書けてた。
叔父さんと優 -
Posted by ブクログ
ネタバレメルカトル短編集。もしかしてこの短編集が美袋くん初登場なのかな?
文庫の最後に初出一覧があるといいのにな。まさか「瑠璃鳥」が美袋くんのシリーズ初登場ってことないよね?だったらどうしよう……。しょっぱなからやばいやつじゃん。それはメルもだけどさ。
麻耶雄嵩はこれを含めてまだ三作しか読んでない(しかもすべてメルカトルもの)けど、タイトルのセンスがすごく好き。「メルカトルと美袋のための殺人」というのも、殺人をほんとに道具か何かのように粗雑に扱うこの二人にはふさわしいタイトルで面白い。
「遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる」 美袋の恋愛顛末。メルの説明に納得しちゃうのうそでしょ? メルの説明通りだとし