【感想・ネタバレ】貴族探偵のレビュー

あらすじ

信州の山荘で、鍵の掛かった密室状態の部屋から会社社長の遺体が発見された。自殺か、他殺か? 捜査に乗り出した警察の前に、突如あらわれた男がいた。その名も「貴族探偵」。警察上部への強力なコネと、執事やメイドら使用人を駆使して、数々の難事件を解決してゆく。斬新かつ精緻なトリックと強烈なキャラクターが融合した、かつてないディテクティブ・ミステリ、ここに誕生! 傑作5編を収録。

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Posted by ブクログ

貴族探偵と名乗りながらも、自分は貴族なのだから、自分の"所有物"である使用人達に捜査も推理も全て任せるという、ホームズとワトソンの関係性に重点を置く著者にとって突き詰め過ぎてなんか行くとこまで行ったなーと感じさせられた短編集。

五話からなる短編のうち、やはり「こうもり」が白眉。
読み終わった時は最初何が起こったか分からなかったけど、読み返してみて、作者の捻くれた企みに唖然とさせられた...
今まで読んだ短編ミステリで一番面白かったと言っても過言ではないくらいの完成度だと思った。

他4編もどれも作者らしい捻くれた真相が面白いけど、やはり「こうもり」のインパクトが強過ぎて霞んでしまいがちかな?

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2023年09月27日

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読みやすく面白かった。麻耶雄嵩はメルカトルものばかり読んでいて、他シリーズなどはあまり読んでなかったが相変わらずの癖と面白さがあった。

謎解きをしようと思って読んではいなかったが、こうもり を読んだ後は最初意味がわからず、再度読み返してやられたとわかった。

貴族探偵対女探偵も読みたい。

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2022年02月20日

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ネタバレ

「こうもり」白眉。短編の中だと一番好きかもしれない。叙述トリックは読者と
登場人物の認識のずらすわけだが、普通は読者側に誤認させる。逆に読者は正しい情報を得ていて...というのは普通の叙述トリックを読んだ後に読むとやはり面白い。「蛍」と構造は同じ。蛍の方が純粋な逆転になっている(こうもりでは読者に貴生川を絵美の彼氏だと誤認させる構造になっているので)から綺麗な気もするが、こういうのは短編の方が映えると思っている。

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2020年12月30日

Posted by ブクログ

メルカトル鮎と比べるとだいぶまともな探偵(比べる対象が悪い)で、全体的にだいぶまともにミステリをしている。

そしてなんと言っても「こうもり」。
この作品は素晴らしい。
非常に精緻に作り込まれており、舐めていると一瞬で手のひらの上で転がされる。
読者と作者の真剣勝負。
ここまでやられると、もはや小説の枠を超えたナニカであるような気さえしてくる。

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2025年11月26日

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ネタバレ

大学時代の友人らと会い、久しぶりにミステリを読まねばという気になり、BOOKOFF 110円コーナーから勘で手に取った短編集。久しくミステリを読んでいなかったので、短編集はリハビリに最適。(とはいえ、ミステリを読むのが久しぶり過ぎたのか「こうもり」の叙述トリックが一読で理解できなかった。読解力が落ちている……)

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2025年08月11日

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うわー何だか不思議な読書体験だった……。
読み終わった今も何だかふわふわしてる感じがします。


前回は一気に知念先生の作品を読み切ってしまおう!と思っていたのですがとある作品を読んでいる最中に「いや何か今この気分じゃないな」と思ってしまい、積読用の本棚をぼーっと眺めていたときにたまたま目に止まったのがこの本だったのですが。
何かこれあれだよね、月9であってたよね!
ドラマ自体はやたらアバンチュールって言うことと「ジャッキアップが上手すぎる!」ってセリフしか覚えてなかったんだけど原作のどこにもそのセリフなくて笑いました。オリジナルだったんかい。 


やたら育ちのいい雰囲気の本名すら告げない「貴族探偵」。
まぁ作中の所作といい言動といい恐らく育ちはいいんでしょう。いいんでしょうけど、何か最後まで「本当に育ちがいいのか?やんごとなき身分なのか?詐欺師の雰囲気もない?」と思ってしまったのは私だけなのでしょうか。
多分出自も何もかも分からないままだからこそちょっとだけ疑っちゃうんだろうけど。
本人は特に何もせず(することと言えば出会った女性を口説くくらい)身の回りの全てを、推理すら使用人に任せてしまうっていうのは斬新な設定だと思いました。
美味しいところだけ持っていくとかするのかと思っていたらそれすらしないんだもの。
まさに「暇を持て余した貴族の遊び」って感じ。
しかし一流の使用人と言うのは大変なんだな……推理まで出来ないと務まらないとは。


短編なのでちょこちょこ読むのにちょうどいいやーとか思ってたんですけどはまっちゃってすぐに読み終わっちゃいました。
でも「なるほどそうだったのか!そうやったのか!」と読みながら納得しいるのに何故か読み終わったあと「……いや何かもっと他の方法もある気がするぞ?ん?間違ってないんだけど何か……ん?」って首を傾げちゃう感じが初めての読書体験すぎました。


そういえばあとがきで読んだのですが短編のタイトルは全て同じ作曲家のクラシックの曲名で統一されているそうです。
私はその情報をもらって初めて「そう言えば何か見たことあるなこのタイトル」と気付きました。
まぁ育ちが良くない人間なんで仕方ないです。

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2025年05月29日

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 職業=貴族、趣味=探偵と自らを『貴族探偵』と名乗る男が執事やメイドたちを駆使して次々に難事件を解決するミステリーで、これまでに無かった探偵像を表すキャラクターと外連味たっぷりでありながら精緻なトリックの数々など斬新でありつつ麻耶雄嵩先生の魅力が詰まった作品だった。

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2025年05月21日

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「こうもり」にやられました。読み終わった後呆気にとられて読み返したらあぁそうか!と。確かに嘘は言ってないなと。ヨハンシュトラウスのオペレッタ「こうもり」と趣が似てるかも。

貴族と使用人という設定も面白く、各エピソードも趣向が様々でそれぞれ楽しめました。
最後のエピソードだけは成り立つかな?とちょっと腹落ちできなかったので星一つ減らしてます。

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2024年04月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ふざけた設定以外は、至極真っ当な作品だと思う。
文章も読みやすいし、内容もおもしろいので、さっさと読める。
捜査も推理も何もしない、使用人に丸投げの探偵が、ただただおもしろい。
貴族探偵=織田裕二がピッタリだと思う、ずっとイメージしながら読んだ。
当たり前のように威張っている姿は、本当におもしろい。

ただひとつ気になったのは、「こうもり」のランチのシーン。
なんか自分の中で辻褄が合わなくて、違和感のある名前が出てて、何度か読み直して、引っ掛けられていたことに気づいた。
ちょっと納得できない部分ではあった。

2024/04/28 12:37

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2024年04月28日

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殺人現場に偶然居合わせた貴族探偵(正確に言うと貴族探偵の使用人)が推理するというお決まりのパターンで話が進んでいくため、名探偵コナンを彷彿とさせる展開だった。
髭ズラの優男って想像しにくいのは私だけですかね…。

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2024年01月24日

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金の力でありえない解決方を導く、富豪刑事(筒井康隆)に似た作品かと思っていた

ナンパしかしない探偵の連作集

詳細はぼかされつつも設定が面白いのと、主に彼の使用人達のキャラクターが良い

各編ともにトリックは特筆する点は無し
個人的には及第点

最後の「春の声」がマイベストかな
被害者3人の事件を使用人3人が担当する意趣

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2024年01月14日

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姓名不詳、貴族探偵と書かれた名刺だけを持つ謎の御曹司を主役にした短編集。
ミステリーに出てくる探偵で金持ちだったり貴族だったりはいただろうが捜査や推理も使用人がするものとして丸投げし自身は女性を口説く(刑事には横柄だが女性には丁寧な言葉遣い)のみの探偵というのは斬新すぎる。作者の凄いのはコイツがボンクラなのか賢才なのか不明にしているところ。
話の方も本格ミステリになっており個人的には楽しめた。

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2024年01月07日

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面白かった!
探偵と名乗るのに捜査も推理もその披露までも使用人にやらせる貴族探偵。こんなんアリかよと思うんだけど、アリだなあとなっちゃうのが麻耶雄嵩。短編のタイトルがシュトラウスで統一されてるのがなんとも言えないおかしみ。
『春の声』とかもうほんと麻耶雄嵩全開では?
『こうもり』はすごかった!すぐ読み返しちゃった。

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2023年02月27日

Posted by ブクログ

楽しかった!
難事件の只中に颯爽と現れ、執事やメイドを駆使して解決していく。人呼んで、貴族探偵。
彼の仕事は、使用人が捜査をしている間、ソファーに座って紅茶を飲むこと。
労働は家人が行い、彼自身は決して自ら動くことはない。
なぜなら彼は、貴族だから。

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2023年01月12日

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2017年に相葉雅紀さん主演のドラマ原作。
突如あらわれた思は「貴族探偵」と名のる。警察上部への強力なコネと、執事やメイドら使用人を駆使して難事件を解決してゆく。貴族?探偵?この男、一体何者?(きうい)

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2022年11月07日

Posted by ブクログ

娘の学校の「朝の読書時間」用に購入。
全く読まれずに放置されていたものを娘の部屋から救出して読み始めました。

他の方の感想などで、全く何もしないとは知っていましたが、ここまで何もしないとは。
女性を口説いてばっかりで、ともすればただのアホぼんに思いますが、不思議とそうとは感じない。
何故かこの男にはなにかすごい力や能力があるのでは?と感じてしまうのは、召使いたちの彼への忠実な態度からでしょうか。

続編の対女探偵をこれから読み始めますが、そちらにはもう少し探偵の素性とか分かるのかな?
もう少し探偵の過去とかを知りたいって思ってしまいました。

余談ですが…
実写化されてるものは登場人物のイメージが固定されちゃうからちょっと苦手だなぁ。
ドラマは見てないんですけど、相葉氏のかおがチラついて(^_^;)

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2021年11月25日

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『こうもり』が圧倒的。
"フェアすぎてもはやアンフェア"
こんな叙述トリック初めて見た...!!
それ以外はまぁ悪くはなく、そこそこといった感じ。同シリーズの『貴族探偵対女探偵』も楽しみ。

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2021年05月09日

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ネタバレ

貴族探偵と名乗る探偵が様々な事件を解決していく話…。
しかし、貴族探偵自身が自分で調査したり、推理したりするといったことはなく、従者やメイドが推理していくというちょっと変わった探偵だった。

短編がいくつかあるというものだったので、読んでいくうちに探偵推理したり、探偵の正体が分かるのかと思ったが最後まで分からずじまいだったのは個人的に残念だった。
ただ、謎のままにしておくことで想像するという楽しみはあるのかなと思う。

すらすら読むことができ、どのように推理していくのか楽しみながら読むことが出来た。

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2020年08月30日

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短編集なのでわりとあっさり気味
「こうもり」は読み返しちゃったね!

ただ麻耶雄嵩はやっぱりあんまり合わないかもなぁ

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2024年10月23日

Posted by ブクログ

短編集です。
というか、貴族探偵は推理しないんかい。
とツッコミを入れたくなる面白い作品です。
探偵の正体はわかりませんが、使用人たちの活躍には驚かされました。


信州の山荘で、鍵の掛かった密室状態の部屋から会社社長の遺体が発見された。自殺か、他殺か? 捜査に乗り出した警察の前に、突如あらわれた男がいた。その名も「貴族探偵」。警察上部への強力なコネと、執事やメイドら使用人を駆使して、数々の難事件を解決してゆく。斬新かつ精緻なトリックと強烈なキャラクターが融合した、かつてないディテクティブ・ミステリ、ここに誕生! 傑作5編を収録。

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2024年01月01日

Posted by ブクログ

短編集。
奇抜な設定なのでお気楽な読みものかと思いきや、けっこうガチな推理小説。
もちろん探偵周辺の人物はキャラが立っていて設定もしっかりしているので、キャラものとしての面白さはちゃんとあるのだけど、推理ものとしてけっこう頭を使わないと話についていけないので、疲れてるときに読むには適さないかな。
くに短編「こうもり」は推理小説好きには良作かもしれないけど、人物像や名前を覚えるのが苦手な人にはかなり厳しい一編。私は人物が覚えきれなかったのでメモを取りながら読んだけど、それでも最後のオチは一読では理解できなかった。
ライトな読者向けなのかヘビーな読者向けなのかわからない一冊。

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2023年12月17日

Posted by ブクログ

貴族探偵が、執事やメイドや運転手を駆使して、事件を解決する。そんなお話でした。
思ってたのと少し違う所が面白かったです。
でもしっかりと本格ミステリィでしたよ。

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2023年10月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なるほど、貴族探偵とは、紅茶を嗜むばかり。どの執事やメイドをどの探索/推理に当てるか采配するくらいはするが、後はさあ、推理してくれ、と丸投げ。安楽椅子探偵すぎる。謎の強い圧力で、よくある、電話越しに上司に口利きをし、現場の刑事を従える様は笑った。女性にはキザな台詞を吐いたり、執事の経緯から語る推理披露に、そんなことはいいから早く犯人の名前を言ってしまえ、とあっさり名前から披露されたり、おかしな人間で面白い。

ドラマ化では相葉くんが演じたらしいが、イメージが違うんじゃ??

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2023年06月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編集。推理をしない貴族探偵と、推理をする従者。
「こうもり」と「春の声」の2篇が好きだった。特に「こうもり」の叙述トリック(?)は騙された。

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2023年03月21日

Posted by ブクログ

有能かどうか不明な貴族探偵。優秀なのは使用人たちではと思ってしまうが、何かただならないものを持っているのだろう。事件の真相やトリックも使い古されてはいるが新しいといった感じだった。

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2022年08月14日

Posted by ブクログ

皆さんはミステリー小説をどのように読んでいるんでしょう?
私は「謎解きや面倒な辻褄合わせは作者にでもやらせとけば良い」とばかりに、ただただ読み進めて行くスタイルですので、設定の巧みさや緻密さよりも、語り口のスムースさや登場人物の魅力の方が重要な要素となります。
貴族探偵は、流れるようなストーリーとキャラ立ちした主人公で、サクサクと読むことが出来ますが、フォーマットが強固過ぎて、水戸黄門や大岡越前でも観ている気になってしまいます。
読み易いし退屈はしないんだけど、特別面白いかと言われればそうでもない。少し残念。
収録作の中では「こうもり」が面白かったんだけれども、理由を考えてハッとしました。この作品は終盤まで探偵が出てこない。
早くもこのフォーマットに飽きてきたようです。

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2022年06月11日

Posted by ブクログ

安楽椅子探偵というものは、推理小説のジャンルに歴として存在していますが、事件の調査は言うに及ばず、推理までも使用人にさせてしまう探偵の事は、何といえばよいのでしょうね?貴族探偵というのでしょうか?

そのシチュエーションを楽しむ作品で、事件そのものは、多少捻りや、練り方が足りない印象を受けます。ある意味、出オチと言っても過言ではないかもしれません。

嵐の相葉雅紀主演でフジテレビ系にてドラマ化もされましたが、そちらは見ておりません。設定を見る限り、だいぶ原作とは異なっているっぽいですね。

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2021年10月06日

購入済み

普通

普通に面白かったが、目新しいところがあったかというと推理してるのかしていないのかあいまいな主人公くらいか。
そのかっこいいらしい貴族探偵がどうもわたしは好きになれず。
そうか、以前にはまった浅見さんとは正反対だもんな。

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2017年04月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 捜査どころか、推理まで使用人にさせる貴族探偵が主人公のシリーズ。5つの短編からなるが,「こうもり」が秀逸。ただし,総合すると,複雑すぎる嫌いがある。もっとシンプルに騙してほしいところ。設定は面白いが,その設定を生かしきっているとも言い難い。★3で。

〇 ウィーンの森の物語
デキ:★★☆☆☆
 密室モノ。トリックも平凡だし,そもそもバックルに正津の指紋があったことが真相に繋がる証拠とは思い難い。貴族探偵による真相解明という雰囲気だけはよいが,ミステリとしては及第点以下
※ あらすじ
 都倉計器の社長,都倉政一が密室で殺害される。密室は,密室にするために糸をつかった偽装がされていることがあきらからであり,自殺ではなく,他殺であると断定され捜査がされる。容疑者は以下の人物
都倉政一の妻  光恵
都倉政一の愛人 旗手真佐子
都倉計器の営業部長 正津幸彦
都倉政一の姪 都倉江梨子
都倉政一の子 都倉忠仁
 その後,旗手真佐子が自宅で殺害されていることが分かる。貴族探偵は,都倉江梨子とドライブをするために,事件を早期に解決すると宣言し,執事である山本を利用して推理をする。犯人は光恵。密室の偽装工作に失敗し,糸という物的証拠を残してしまう。光恵は,自分のバックと真佐子のバックを交換し,鍵をもっていないという状態を作ることで容疑の外に出ようとしたが,物的証拠が残ってしまったので,真佐子を殺害し,鍵を手に入れ,糸を回収する。その後,改めて偽装を行う。正津は光恵のバックに一度も触れていなかったが,光恵のバックのバックルから正津の指紋が出てきたことが証拠となった。
〇 トリッチ・トラッチ・ポルカ
デキ:★★★☆☆
 死体の首が切られた原因として,死体にパーマを描ける姿を見せることでアリバイを作っていたという部分は斬新。話のテンポもよく,なかなか面白い。
※ あらすじ
 首を切られた死体が発見される。その死体は複数の人間に恐喝をしていた主婦であり「K」というイニシャルの愛人がいた。教え子との関係を恐喝されていた高校教師の浜村康介が容疑者となるがアリバイが成立する。警察はアリバイ崩しの捜査をするが,捜査をする先々で謎のカップルが警察関係者として捜査をしていた。犯行現場と思われる倉庫で警察が捜査をしていると貴族探偵が現れる。貴族探偵がメイドの田中を使い真相を推理する。真犯人は美容師の小関。犯行時間は午後3時頃であり,犯行後,遺体の首を切り,その首から上にパーマをかけ,その姿を目撃させることでアリバイを作っていたというもの。警察は被害者の愛人の「K」が貴族探偵ではないかと指摘するが…真相は闇の中。

〇 こうもり
デキ:★★★★☆
 大杉のそっくりさんである貴生川を絵美の恋人だと思わせる叙述トリックを駆使した作品。字の文では貴生川と書き,会話文では大杉と書く事で,あたかも貴生川と大杉が別の人物として同席していたように読者に誤認させるという技工の限りを尽くした作品。面白い。こういう技巧的な作品は好みである。欠点は技巧的すぎて一読して分かりにくいこと。もう少しすっきり書いて,分かりやすくした上で騙してほしかった。
※ あらすじ
 ストーカーに悩まされ,傷心旅行に来た寺崎紀子と安永絵美。二人は老舗旅館,風媒荘を訪れた。風媒荘には,作家,大杉道雄,その友人の作家堂島尚樹,大杉の妻の真知子,真知子の妹の佐和子,佐和子の夫の水橋,そして松野という男がいた。佐和子はかつて松野,堂島と付き合っていたが,現在は大杉と不倫をしていた。佐和子が殺害される。一見,アリバイがあると見えた大杉が犯人であり,妻の真知子も共犯だった。アリバイには貴生川という大杉に似た男を使っていた。

〇 加速度円舞曲
デキ:★★★☆☆
 俗説や迷信を盲信する厄神という人物が被害者。殺害現場が異なることを誤魔化すが,北枕にならないように部屋全体を模様替えしたという作品。バカミスなのだが,貴族探偵の設定そのものがバカミスなので,これはこれでアリだろう。

〇 春の声
デキ:★★☆☆☆
 弥生という女性の三人の婿候補が,お互いに他人を犯人に見せかけて他者を殺害し,死んでしまうという作品。入り組んでいるうえに,読みにくい。正直ピンとこなかった。

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2022年09月18日

購入済み

まぁまぁ

少し拍子抜けしたが、軽い読みものとしてはよかったかな。

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2014年03月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

そ、そういう方向性なのか!
意外とおもしろかったかも。
ドラマ化しやすそうな雰囲気。
表紙に口髭がないのが気になったり。

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2025年05月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

予想以上に貴族探偵が動かなくて驚いたwこれじゃ実質使用人探偵wその使用人たちの有能さに、一流に仕える人もやはり一流なのだなぁと感心しきり。『こうもり』は大胆かつ斬新な仕掛けで「んんっ!?」ってなった。やられたw

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2022年08月20日

シリーズ作品レビュー

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