麻耶雄嵩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
初っ端で犯人を名指しして、どうやってそこに着地させるのかというミステリー。その展開にこれだけのバリエーションを与えられるものかと感心しながら読んだ。
シリーズ前作「神様ゲーム」の方が、当然中編として内容に奥行きがあるように思うが、こちらは連作短編ならでは色とりどりなところに魅力がある。
共通しているのは暗鬱な方向に一直線のストーリーで、神様こと鈴木の存在は実際のところ厄介以外の何者でもない。
本書ではさらに一歩踏み込んで、最終的に非常にグロテスクな「真相」の想起を経た主人公が、神様と訣別する境地に至る。
この結末をせめてもの救いと捉えるか、救いの無い開き直りと捉えるのかは読者 -
Posted by ブクログ
どう見てもシリーズ化できそうなのに、なぜしないのか。ラストで納得した。隻眼の少女、御陵(みささぎ)みかげ。母の名を受け継ぎ探偵デビュー戦が始まる。ミステリアスな雰囲気、「medium」を先に読んでいたので翡翠ちゃんをどうしても彷彿とさせてしまう。
しかし、舞台は1985年、山奥の村。村の権力者の娘が首を切られて殺される。疑義をかけられたのはたまたま滞在していた大学生種田。みかげの推理で無罪を晴らされ、事件解決のためみかげの助手として巻き込まれる。
そして18年後、解決したと思われた事件は再び起きていく。
古くからの言い伝えや家の事情も含まれており、雰囲気は「ひぐらしのなく頃に」のような独 -
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Posted by ブクログ
蛍とはなんなのか… 梅雨の山荘に奏でられる恐怖の調べ、過去の凶悪事件が交錯する本格ミステリー #蛍
オカルト探検サークルの大学生たちが、かつて凄惨な事件が発生したいわくつき山荘を訪れる。怪しい山荘で一晩を過ごすと、過去の事件と同じ殺害状況で死体が発見される。雨は降り続け、街とつながる唯一の橋が崩れてしまい…
この小説は情景描写が美しい!
梅雨のじめっとした感じ、山荘の暗澹たる雰囲気、惨殺事件の狂気、怪しく神秘的な音楽と蛍。あー旅行に行きたい。山荘じゃなく、南の島がいいな。
お話としても有り体な背景ストーリーではありますが、しっかり組み立てられており興味深く読み進められます。登場人物も背景 -
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ネタバレ正直に言うと、思ってたより普通。
「神話的最高傑作」とか言うんだし、一瞬理解不能になるようなものを期待していたのだが、残念ながら予想の範囲内。
叙述トリックが使われていると知っていたからか、櫻花は弟の名前が明記されないので怪しいとは思っていた。
が、おそらくこっちがメインであろう村の秘密、大鏡の正体には驚いた。
櫻花が履いていた汚れたズボン、カインの服の色などの伏線もあったし、独特の世界観やカタルシスはやはり一級品。
だが色々な書評サイトでも取り上げられていたが、アンフェアな記述もあり、さすがにそれはいただけない。
楽しみだっただけに少し残念。
(御簾を開けたら御座に鎮座するメルカトルって -
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傲岸不遜にして唯一無二の銘探偵、メルカトル鮎シリーズの短編集。そこはもちろんメルなので、事件を素直に解決はしない。事件そのものを破壊するのである。論理的に。何の予備知識もない読者が本書を読むと、なんだこれはと放り投げてしまうかもしれない。
ミステリにおける探偵とは、いわば作者という神の神託を告げる者だ。ゆえに、かの者が白と言えば黒いものも白くなる。絶対的な存在であり、無謬である。そういう自分をメルは軽やかに演じる。シルクハットにタキシードという道化のような装いは、彼がトリックスターである証でもある。
本書収載の短編は、いかにもメルカトル鮎的なものばかりだが、個人的に好きなのは「答えのない絵 -
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娘の学校の「朝の読書時間」用に購入。
全く読まれずに放置されていたものを娘の部屋から救出して読み始めました。
他の方の感想などで、全く何もしないとは知っていましたが、ここまで何もしないとは。
女性を口説いてばっかりで、ともすればただのアホぼんに思いますが、不思議とそうとは感じない。
何故かこの男にはなにかすごい力や能力があるのでは?と感じてしまうのは、召使いたちの彼への忠実な態度からでしょうか。
続編の対女探偵をこれから読み始めますが、そちらにはもう少し探偵の素性とか分かるのかな?
もう少し探偵の過去とかを知りたいって思ってしまいました。
余談ですが…
実写化されてるものは登場人物のイメ