麻耶雄嵩のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ新本格のこれからに乾杯!
新本格は綾辻行人の『十角館の殺人』から始まるとされる。そこ刊行から30周年を記念して出版されたアンソロジーの文庫版。豪華だった。以下、お気に入り。
我孫子武丸「プロジェクト:シャーロック」生成AIで探偵を作ったら…まぁホームズがいる世界にはモリアーティがいるからねぇ、と言うのは簡単だけどそれを面白く書くのってプロだよなと。この世界もう来ている気がしてしょうがない。
歌野晶午「天才少年の見た夢は」才能のある子たちを集めたアカデミーも敵国からの爆撃に晒された。シェルターに逃げ込んだ少年少女たちは全滅したが…名探偵鷺宮藍の正体はなるほど。しかしこれも人工知能でなんかもうそろそろ来そうな世界なんだよな。
綾辻行人「仮題・ぬえの密室」お祭り作品。登場人物が豪華。寡聞にして知らないのですけど先生方は本当にこんな感じなのだろうか。ラストの人物もすぐ正体がわかった。ぬえの密室が書かれてほしいなぁ、なんて。いっそ2人競作しませんか、なんて。 -
Posted by ブクログ
メルカトル鮎シリーズ二作目。
語るのが非常に難しい作品。一見、ライトノベル的なキャラクターがメインの青春小説じみた孤島ものであり、芸術論や神学をまぶした衒学的かつ複雑怪奇な幻想小説でもあり、シュールなバカミスと切って捨てる事もできる。長大なペーズ数から察せさられるが、ある意味では全部乗せのミックスプレートのような高カロリー作品。
やはり本作の核は作中でもしつこい程に言及されたキュビズム的手法を始めとした二十世紀芸術による既存のミステリーの再構築にあるのだろう。(その試みがどれくらい成功してるのかは分からないが)
作中でも触れられていた十二音技法のように、記号化された本格ミステリーという主題についてアクロバティックな構築と展開を経て唐突に解決されずに結末を迎える奏鳴曲のようと捉えれば分かりやすい。つまり従来のミステリー的な解決ではなくプロセスに重きを置いている。少なくとも他に類を見ない作品である事だけは確か。 -
Posted by ブクログ
ネタバレすべての真相が分かるという「神様」が犯人を教えてくれたという前提での特殊ミステリー、新鮮で面白かった。
主人公だけが神様を自称する転校生の言葉を聞いているというところで「神様の言うことは本当に確かなのか?」「その犯人にたどり着くために、神様の存在を明かさずにどんな理屈を組み立てるか?」という観点が入るのが面白い。
ミステリーとしてはとても面白いんだけど、これが少年少女向けレーベルで出てたとなると、真相の部分の「主人公の親が女児と密会してた」って部分がちょっと許せないなーと思う
別に殺人のグロさや怖さで子供のトラウマになるのは構わないんだけど(ホラーやミステリー読む子供ならそれは覚悟の上だろうし)
今まで頼れる大人だと思ってた親が敵になる、って展開はそれとは比べ物にならないくらい傷付く子供多そうだから児童向けでやるのあんまよくないと思う…… -
Posted by ブクログ
ネタバレwhiteのときも思ったけど、最後の一行というタイトルでまとめるほどの驚きは別にない。
普通にミステリーのアンソロジーだったら最後に期待しない分もう少しおもしろく感じられそうだけど…
『プカプカ島』は初読みの作家さんだったし、オノマトペに気を取られすぎでいたから、最後の黒い卵の正体に「わー!そうだったか!そう言われればそうだよ」と楽しい驚きだった。
結果、一番おもしろい作品だった。
『雷鳴と稲妻』はこの夏メルカトル鮎シリーズに手を出そうかと考えていたので、様子見にちょうどいいと思ったけど…なにこれ?
ストーリーもおもしろい、ミステリーの世界観も好み、なのに最後ちょっとよくわからん。
本当にそんな動機で殺人するの?メルカトルってそういう人なの?それでシリーズ成り立つの?
???
とりあえずこの夏手を出すのは見送ろう。