【感想・ネタバレ】夏と冬の奏鳴曲  新装改訂版のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

孤島に閉じ込められた雑誌記者烏有と助手が殺人事件に遭遇するミステリー。ここまでだとアガサクリスティの『そして誰もいなくなった』が連想されるが現実にはあり得なそうな事象、和音なる幻の女優と彼女を信奉していた者たち、更に烏有たちの過去とも絡み合うといった要素で特異な様相を呈している。
読みやすい文章ではあるがキュビズムの話や神父のご高説が難解で、トリックがある意味トンデモミステリーみたいになっているので前作同様に人を選ぶと思われる。個人的には色々な考察ができる傑作。

0
2024年02月12日

Posted by ブクログ

 まさか解決編が明示されないとは思わなかった。「この作品は読者の考察がそのまま解答になりうる作品である。」という風に感じ、問題作を書き続ける作者ならではの傑作だなと感じた。これは確かに「ドグラ・マグラ」「黒死館殺人事件」「虚無への供物」、そして「匣の中の失楽」に続く第五の奇書といっても過言ではないといえる作品だ。

0
2024年02月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いやぁもうすっごい...!
トリックかどうかも怪しい超絶雪密室もそうだけど、それが霞むぐらいラストの怒涛の展開に圧倒された...
二人の桐璃が出てきたあたりから訳分からんようになって、ラストのメルカトルの一言で完全に放り投げられたw
読後、色々と考察サイト巡回したけど、意見がそれぞれ分かれていて、なんとなくの概要は理解出来たけど、細部まではふんわりしてる感じです。
モヤモヤする結末の話はそんなに好きじゃないんだけど、ここまで突き詰められると、逆に清々しくて良いですね(錯乱)

ラストで烏有が無傷の方の桐璃を選んだの見て「お前っ...!!!」ってなったわ...

0
2023年10月15日

Posted by ブクログ

これは難解。まるで奇書(;´д`)
『翼ある闇』に続け!
独特の空気感を存分に味わうべき作品。



この作品は賛否両論あるだろうなぁ〜と言うのが正直な感想。

難解な部分がとにかく多い。
自分なりに解釈していいのかしら?と思う描写ばかり。

これが摩耶ワールドなのだ!と言ってしまえばそれまで(〃´-`〃)

孤島、密室、で起こる殺人事件。
しかも首なし。
首なしといえば連想するのは入れ替わり。
ただ、そんな甘い推理では到底置いてけぼりを喰らってしまう(^▽^;)

ピカソの手法などで有名なキュービズムを事細かに説明し、美術、音楽、宗教のような思想を合間にパズルのように入り組ませ、読者を惑わすようなハッキリしない物言いで謎を深めて深めてさらに暗闇に落とす。

無理があると思われる点を、いかにロマンが上回るかにかかった作品だなと勝手に解釈しました。

私はこの作品、好きです。
まさに私の好きなロマンの塊♡⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝

人間とは、こんなもの。
という部分を突きつけられた感じがした。

謎を細分化してじっくり考えて味わえる、奇書のような作品。


次巻は『痾(あ)』

楽しみだ!!ヽ(´▽`)ノ


0
2023年01月02日

Posted by ブクログ

再読。新装改訂版の方は初めてだが。最初読んだ時の衝撃が凄まじかったので話の展開はほぼ覚えていた。何を書いてもネタバレに繋がりそうというか、逆に何を書いても真実には繋がらないのではないかとも思える。本書を詳しく知りたいなら読んでくれ、それしか書けることはない。

0
2022年01月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

幻想小説かと見紛うほどの大胆な展開。しかしあくまでも推理小説の体系で提示される謎。終幕の烏有の選択。最後に真相の一片を告げて去る銘探偵。圧巻でした。

迎えにきた船から眺める、事件の終焉を示す和音島の崩壊。和音という概念から端を発した凄惨な数日間は、信奉者の彼らの死体、絵画、黙示録、フィルム、展望台全てを海に沈めて幕を閉じる。和音は世界から消える。烏有は真相の追求をやめる。この、ある程度のしこりと寂しさだけを残して全てが消失する締め括り、最高でした。

最後に全て崩壊する孤島ものは堪らないですね!

0
2021年12月07日

Posted by ブクログ

これはとんでもないな…。自分にとっては面白かったが、賛否両論分かれるのは当然な気がする。
本作のテーマはキュビズムであるが、本作自体が恐らくキュビズム的な志向であり、コラージュのように一見チグハグになっている。
桐璃が「うゆーさん」と呼ぶ場合と「うゆうさん」と呼ぶ場合があることは気付いていたが、他に何箇所か誤字脱字があったのでここも単なるミスと思って見過ごしてしまったのは何とも言えない。
結局のところ本作は本格ミステリに限りなく近いものの、村上春樹のような観念的で比喩に溢れたシュールレアリスムなファンタジー小説だと思う。

0
2024年05月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

途中でキュビズムの説明がされたことで「なら世界が丸ごとキュビズムになってるってこと!?それなら雪の密室も館の構造も異常気象も桐璃が和音に似てることも説明できるし!」と思い至り、バラバラだった出来事に1本の線が通ったかのように思え久しぶりにミステリ小説を読みながら光明が見えた思いはしたものの、「でもこれミステリ小説だし流石にそういうオチにはならないよね(それだともうSFじゃん)、なにかのミスディレクションなのかな」と一度推理を捨てた。しかし、その後も一向にそれ以外の可能性を示唆する情報が出てこず、えーと思っていたらマジでそのまま突っ走っていき、え、謎解きパートは???

確かに名探偵による解説はないものの物語のテンションが変わって物語世界に一応の決着がつくという点ではこれ以上なくミステリだよねと納得しかけたもののやはり厳しいのでは?
1993年という時代を考えても、ミステリという舞台でこの話をやろうと思いつき書き上げてしまうって並々ならんことですよね。

0
2023年10月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

数十年ぶりに再読。当時は???しかなかったけれど、もう一度読んでもやっぱり分からない…
当時と違うのは、考察がたくさんあること。(昔もあったのかもだけど…)
とはいえ、いくつか考察を読んでも、謎は深まるばかり。
「和音」の復讐、という説がいちばんありそうかなーと思う。でも、烏有の過去が映画とシンクロしていたこととか、ふたりの桐璃とかは、ちょっと色々無理がある…
もう全部烏有の記憶が改竄されてたってことなのでは、と思う。

キュビズムとか奏鳴曲の形式と、物語の関わりについてはなんとなーく前よりは理解できた、気がするし、そこがこの作品をわからん…と思いつつ何度も読む理由というか要素?になっていると思う。
あとは烏有=ヌル=何もない、という主人公は大好物。ただし、これは麻耶作品なので、語り手に感情移入してはいけないのだな…

0
2023年08月14日

Posted by ブクログ

今やネットで考察を手軽に見ることができるが当時はどうだったんだろ〜。
読後はかなりモヤモヤする作品です。
匣の中の失楽に近いものを感じます。奇書。

0
2023年02月08日

Posted by ブクログ

一人の女性を忍び島につどった人たち。そこにやってきた探偵の助手が巻き込まれていく惨劇と破滅です。
傾倒していく、どこまでも落ちていく感覚が強烈なミステリ作品。陶酔に溺れた先の悲劇と選択。畳みかける一言。ラスト全ページで声が出ました。

0
2023年01月28日

Posted by ブクログ

こんなに感想に困る作品もなかなかないだろうと思う。ひたすらに難解。咀嚼してどうにか飲み込もうと試んでみても、霞を食べているよう。しかしこの世界観は麻耶雄嵩の理想郷。息を呑むほどの没入感。続篇の『痾』にも期待。

0
2022年11月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごいものを読んだ。ずっと読んでみたかったので、読めてよかった。

『翼ある闇』に比べると衒学趣味が抑えられ、新装改訂版でかなり手を加えられているであろうことを差し引いてもかなり読みやすくなっている。
それでもやはりキュビスム、キリスト教、音楽、と目眩く知識量に圧倒されるけれど、衒学趣味が邪魔しない。これらの要素が暴走して物語の根幹を成しているわけで、排除できないし読めば理解できる。

烏有の最後の選択があまりに衝撃的で、ああまた作者に突き放された、と思った。
麻耶雄嵩は当人物も読者も等しく突き放す。
放り出される快感。
謎が解ける快感。
わからないままでいる快感。

0
2021年10月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ものすごく読みづらかった。
結局、和音ってなんなの?とか何で神聖視されてるのとか作内では明確な答えなし。
キュビズムとかもよくわからないし。

終盤になると実はとうりが二人いるという衝撃の事実が明らかになるが、私は全然気づかなかった。
メルカトル鮎の二作目と聞いていたが、全然登場せず、ラスト数ページでやっと出てきたのはあんぐりだ。

0
2023年11月08日

Posted by ブクログ

20年前に何があったのか...
20年ぶりに集まった男女を襲う惨劇。
雪による密室、首を斬られた死体。
巻き込まれてしまった記者見習と女子高生...のはずが...

「いったい何なのだ...
いったい何なのだ...」

本当にこれでした!
読めば読むほど謎が深まるのに、解決されたのは事件のみ。
知りたい謎は多過ぎるけれど、考える、想像する、理解するということなのでしょうか。

そして、最後の三ページでこの本がシリーズだったことを思い出しました。

0
2023年10月13日

Posted by ブクログ

これ1冊じゃわからないやつ?
雰囲気や会話は面白かったし好きなシーンも多いのだけど期待したオチをわたしが全く理解できず。
烏有と桐璃が同一人物だとか全てが電子世界なのかと雑にあれこれ考えたけど結局よくわからなかった。それでも嫌いになれないところはある。
理三コンプのひとが身近にいたんだろうか。そこだけ辛辣に感じた。不登校をやたらとせめたり男尊女卑描写があったりは公開が1995年だから仕方ない気もする。装丁画がいま風なので新しい著書かと思ってたらすごく古かった。でもやっぱり好きかな。
はー、それにしても長かった。読み終えるのに1ヶ月近くかかったから私も和音島に幽閉されてた気分だ。途中で別の本を何冊か読み終えてしまった。
難しいだろうけど映像化してほしい。

0
2023年05月30日

Posted by ブクログ

ひたすら長い760ページ。人がようやく死ぬのが244ページ、普通なら終わってるよ。
ただ、なんか小難しいことが小気味よい文体で難しい単語とともに語られるので、文章読むのは楽しかった。760ページも読んだのになんだか訳わかんないで終わったのが自分的にやるせなかった。でも、モヤモヤしてるから、次も読むのかなぁ。きっと最後まで報われないんだろうなぁ。
作中時系列はあとがきによると本作→「痾」→「翼ある闇」だそうです。

0
2022年09月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

難解すぎる笑


春と秋の奏鳴曲の内容が烏有のこれまでと酷似しているのは何故なのか?
なぜこんな作品を作ったのか?


2人目の桐璃は誰なの?双子?


編集長の名前が「和音」だったとしたらなんなのか?武藤の絵の「和音」のモチーフが編集長?


ただミステリーとしてだけ見ればスッキリ終わりますよ笑

キュビズムむずすぎ。

0
2022年09月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

フーダニット・ハウダニット・ホワイダニットは解決してるけど、色々なことがよく分からない。解決したけど、してない感じが凄くて!面白かったし好きなんだけど、よく分からなすぎる。烏有も桐璃も和音も結局のところ何だったんだ…
そして、黙示録=この「夏と冬の奏鳴曲」そのものってこと??
続編「痾」も読もう。このあらゆる疑問が解消するとは思えないけど…

0
2022年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 新装改訂版の帯には「10万人の読者が唖然」と書かれているが、果たしてこれを読んだ人が10万人もいるのだろうか?

 文庫版で本文700p超、価格は税別1270円。麻耶雄嵩作品の中でもダントツの問題作とされている本作に、とうとう手を出した。デビュー作『翼ある闇』はそれなりに楽しめたが…。結論から言ってしまうと、何だか拍子抜けした。

 覚悟していたほど読みにくくはないし、『翼ある闇』より文章はこなれている。キュビスム云々は読み流したけれど、難解というわけでもない。読み終えてまず最初に思ったのは、この長さが必要不可欠だったのかということだった。

 舞台は離島の邸宅、そして訳ありな人物たちと、典型的な本格ミステリの設定だが、最初の事件が発生するまでが長い。しかも、元々離島という隔離された舞台なのに、さらに「雪の山荘」にしてしまうとは。なぜ夏でなければならないのか?

 死者が1人出たことでゴングが鳴ったのか、色々と動き出す。かつてこの島で共同生活を送っていた面々による愛憎劇には苦笑する。一応探偵役?の烏有と同様に、彼らの論理は理解不能だろう。とはいえ、一応説明はされている。

 終盤に新たに提示された謎の一部は、説明されないまま終わってしまう。ネット検索してみると、熱心な読者は本作の解釈を試みているが、自分にはその気力もなかった。それほど魅力的な謎とは思わなかったのが正直なところであるが。

 最後の最後に「銘」探偵メルカトル鮎が登場するのだが、問題の一言を読んでも特に衝撃は受けず。はあ…くらいにしか思わなかった。自分の読み方が悪かったのか、修業が足りなかったのか。この一言、メルカトル鮎に言わせる必要があるのか?

 問題作という先入観を持ちすぎていたのが、裏目に出たか。予想ほどぶっ飛んではいなかったし、予想よりまとも。受け付けないという点では、清涼院流水氏の初期作品の方が上だった。『コズミック』『ジョーカー』は感想が書けなかったんだもの。

 解説によると、麻耶さんの第3作である『痾』を読めば、もう少し手掛かりを得られるのだろうか。現在入手可能なんだっけ。血眼で探すわけではないけども。

0
2022年02月26日

「小説」ランキング